中国人観光客による一度に大量購買する行為「爆買い」が広まった時期の購買対象は、主に高級ブランド品や電化製品などでした。
現在は化粧品や医薬品、ベビー用品、お菓子などの日用品に変化しています。
一部では中国人観光客の爆買いが終わったと言われていましたが、実は消費対象がかわり以前よりも単価の低いものが爆買いの主流になっています。
このような中国人爆買い消費には、日本で購入した商品をSNSなどを通じて中国人向けに販売する人々「ソーシャルバイヤー」が大きく影響を与えてきました。
しかし、今年1月1日に中国で「電子商務法(電商法)」が施行、それによりソーシャルバイヤーの取り締まりは厳重化され個人・法人問わずに海外代行販売する場合は営業許可の取得が必須となりました。
このような中国の消費トレンドや規制などが、今後どのようにインバウンド消費に変化をもたらしていくのか解説します。
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旅行消費額の約4割を占める中国人
中国人観光客といえば、百貨店やドラッグストアで姿を目にしない日はないほど無類の買い物好きとして知られています。
7月に発表された観光庁「訪日外国人消費動向調査」によれば、2019年4月-6月期の訪日外国人の旅行消費額は1兆2,810億円という結果でした。
そのうち中国が全体の36.7%の4,706億円で、買物代は2,632億円となり、2番目に多い台湾572億円と比較しても圧倒的なショッピング消費額を誇ります。
7月全国百貨店売上概況の資料では、インバウンド顧客が3.4%増で6ヶ月連続でプラス、購買単価も7.3%増の伸びを記録しています。
商品別には、高額品(宝飾・時計)と化粧品が売上を牽引した形です。
百貨店に関してはいえば、特に化粧品売り場の集客が好調で昨年あたりから全国各地で化粧品フロアを拡大リニューアルする店舗も増加しています。
訪日して購入する醍醐味は、買う前にその場で試せる「体験」ができる点だと推察されます。
試供品を通し化粧品の使い方や自分に合う合わないが購入前に判断できるので、購入時の満足感が購入後に低下する可能性が低い点も顧客満足度に繋がっていると言えます。
中国人が日本の化粧品を購入する理由
商品の原料を偽り、偽物が出回るのが当たり前の中国において、日本の化粧品は安心・安全という印象を与えています。
日本で販売されている化粧品の多くは、厳しい基準のもと製造されています。
またアレルギーを持つ人や敏感肌向けの商品も多いことから、安心して使用できるという理由で人気を集めているようです。
また、日本の化粧品が選ばれる理由の一つに、口コミによる影響が大きく関係しています。
一般消費者だけでなく、インフルエンサーやソーシャルバイヤーらもSNSなどを通して商品の口コミを投稿しています。
例えば、最近では口コミECアプリの小紅書(RED)などが人気を博しています。
日本に行く前に今のトレンドや人気商品の口コミを調べ、事前の買い物リストを作る人も多いようです。
また空港のように旅行中に必ず訪れる場所または、コンビニや百貨店などのようにアクセスが良い場所、慣れない土地でもすぐに見つけられるような場所で購入できるのであれば顧客の購入意欲を損なわずにすみます。
そのため商品情報と一緒に購入ができる場所をSNSや口コミで投稿されていることが一つのキーポントとなります。
またわざわざ日本に行かずともオンライン販売で購入できる環境を整えることも重要です。
電子商務法(電商法、新EC法)の影響
中国の電子商取引法の施行によりインバウンド需要が減速し、売り上げに影響が出るのではという懸念がありました。
しかし実際は前述したように、中国人による買い物消費にあまり深刻な影響が出ていない印象を受けます。その理由として、
- 電子商取引法(電商法、新EC法)によりソーシャルバイヤー減少した
- SNSからの代行販売が減少した
という点が挙げられます。その結果、一般消費者にとって購入しやすい環境が整備されたと考えられます。
基礎化粧品からメイクアップ商品への変化
近年、中国人の伝統的な考え方である「自然美」を重視する基礎化粧品の購入よりも、メイクアップ商品への購入が増加傾向にあるようです。
中国人女性の間で不動の1位であった薬用スキンケアの「アルビオン」の人気が低下し始め、逆に資生堂の化粧下地の「クレ・ド・ポー ボーテ」のインバウンド売上が好調になっていることからもその購入対象の変化をうかがい知ることができます。
IT技術の活用|新しい「体験」で消費行動を促進
中国人女性の消費動向が少しずつ変化し始めている中、日本の販売側でも「体験型」にフォーカスした新たな取り組みが始まっています。
高島屋大阪店では、9月1日にブランドの枠を越えデジタルコスメ体験ができるスペース「ティーズ ビューティベース」をオープンしました。
特に注目したいのが、AI技術取り入れたポップアップを展開する「SK-Ⅱ」です。
これまではメイクを中心にしたバーチャルテクノロジーが活用されてきましたが、このポップアップではARを活用した肌測定やトイトラッキングなど、スキンケア体験にもテクノロジーが使われています。
中国の化粧品販売の現場でも、デジタルとの融合や体験型店舗は存在しており成功を収めています。
例えば「Meitu(美図)」が開発したAI肌診断機器「MeituEve」などの肌診断機は、店舗カウンターやサロンでカウンセリングの際に利用され始めています。
その他にも、あらゆるブランドの化粧品を時間貸しで試せるシェア型ボックス機無人型の「17beauty」と有人型「PlusBeauty」が、中国都市部の商業施設を中心に展開されています。
WeChat上で予約・決済を行い、このボックス内にあるスキンケアからメイクアップまでを試すことができるサービスです。
日常的にメイクをする習慣がない中国人にとって、浸透を促す起爆剤になるかもしれません。
中国人の化粧品人気でインバウンド消費を促す
ECの拡大が急速に進む現代において、リアル店舗は「販売の場」としてだけでなく、「体験の場」として役割を担っていく必要性に迫られています。
化粧品分野は店頭には美容家電を配置し、テクノロジーを駆使した体験を提供し、さらにSNSを上手に活用して消費意欲の促進に努めています。
一般的に中国の職場では、メイクをしないことが一般的です。しかし、現在SNS上ではしっかりメイクした美人動画は非常に話題を呼び、拡散されるなどの現象も起きています。
中国市場においてブームは一気に拡大するため、少しの変化も見逃ずにビジネスチャンスへと繋げることが重要です。今後もインバウンド好調といわれる化粧品業界の動向に注目が必要です。
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