4月6日、JNTO(日本政府観光局)が2020年度の訪日プロモーションスケジュールを公開しました。その中で今回は、欧米豪各国を対象としたプロモーションスケジュールを紹介します。
現在欧米豪の多くは、新型コロナウイルスの感染拡大で外出等を自粛せざるを得ない状況ですが、国外旅行ができるようになるまでに訪日意欲が高まった状態となるよう、早めのプロモーションが計画されています。
インバウンド業界の「反転攻勢」を狙うべく、JNTOのインバウンド拡大に向けた施策とその意図について把握しましょう。
※この訪日プロモーションスケジュールは、JNTOにより4月6日に公開されたものです。今後、新型コロナウイルスの状況によって変更される可能性があります。
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欧米豪向け訪日プロモーションスケジュール一覧
ここでは、JNTOの訪日プロモーションスケジュールから、欧米豪向けのプロモーションやイベントについて解説します。豪州市場
オーストラリアでは、8月に桜まつり、9月にSnow Travel Expo、12月にMatsuri Japan Festival、2月にMelbourne Japanese Summer Festivalと、それぞれの季節に応じたイベントが開催されます。
「SMASH!:Sydney Manga and Anime Show」は年に1度シドニーで行われる日本の漫画・アニメに関するイベントです。2020年は7月18日、19日に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で見合わせられ、開催時期は未定となっています。
米国市場
米国のBtoB向けのイベントは、5月のCruise 360は延期となったものの、毎月のように何らかのイベントが計画されており、他国より充実しているといえます。
一方、BtoC向けのイベントは2021年1月から開催される見通しです。「Travel & Adventure Show」は1月に予定されているニューヨークでの開催を皮切りに、各地域で行われる予定です。また、3月から4月にかけて、ワシントンD.C.で桜祭りが開催される予定です。
カナダ市場
カナダに対しては7月以降、旅行会社との共同広告を打つ予定です。多民族国家であるカナダは、ターゲットも英語圏、フランス語圏、中華系住民と多岐にわたります。そのため広告を打つ際も、英語・仏語・中国語といった多言語での情報発信が求められます。
また、11月にモントリオールで開催予定の「Salon International Tourisme Voyages(国際観光旅行フェア)」や、2月にバンクーバーで開催予定の「The Outdoor Adventure Show Vancouver」に合わせた商談会も計画されています。
英国市場
イギリスでは、スキー取扱旅行会社との共同広告が早くも7月から始まります。 また、8月には世界最大の野鳥観察・展示会であるバードフェア、9月には「Japan Matsuri」と、BtoCのイベントの開催が予定されています。
2021年1月には、20~30代個人旅行層や訪日無関心・低関心層に向けてSNS懸賞キャンペーンを行う予定です。
フランス市場
フランスでは、6月上旬に旅行会社の商談会があります。
また、7月初頭にパリにて「Japan Expo」の開催が予定されていましたが、2020年は中止となりました。11月の「Salon International du Tourisme et des Voyages(国際旅行観光フェア)」がBtoC向けイベントの皮切りとなりそうです。
ドイツ市場
ドイツでは、6月9日から14日にかけて、フランクフルトで日本の映画祭である「Nippon Connection」が開催されます。今回は新型コロナウイルスの影響からオンラインでの開催となり、日本映画の上映、ワークショップ、コンサートなどのプログラムが予定されています。その後イベントは10月のBtoB向けの商談会を除けば2、3月まで間が空きますが、その間もメディア招請やインフルエンサー等を活用した情報発信が行われます。
イタリア市場
イタリアでは、10月28日から11月1日にかけて、漫画・ゲームのイベントである「Lucca Comics & Games」の開催が予定されています。日本のコミックマーケットに次いで2番目に規模の大きい漫画・ゲームのイベントで、イタリア国内のみならずヨーロッパ中から注目が集まります。
その他にも、7月前後からBtoC向けの広告宣伝が行われます。
スペイン市場
スペインでは、日本が新婚旅行先として注目されているため、6月頃からハネムーナー向けのプロモーションが開始される予定です。
また、BtoB向けのイベントとして1月に「Feria Internacional de Turismo(国際観光見本市)」が予定されています。開催地のスペインだけでなくポルトガルや南米も対象とされ、2020年には一般参加者だけでも11万人以上を集めた大規模なイベントです。
ロシア市場
ロシアでは、6月頃から航空会社や旅行会社との共同広告が打たれる他、フォトコンテストも開催されます。
また、7月からは、TVクルーやインフルエンサーなどを活用した事業も行われます。
欧米豪向けプロモーションのターゲットとタイミングは?
ここからは、JNTOの方針に沿って、インバウンド事業者が欧米豪向けプロモーションをする際、候補として考えられるターゲットやタイミングを解説します。
1.消費額の多い層をターゲットとする
今後、新型コロナウイルスの感染抑制のため、他者との距離を保つというのが観光でも必要になってくると考えられます。インバウンド業界においても、訪日外国人を多く呼ぶというよりは1人当たり消費額を増やす策が主流になってくるでしょう。
欧米豪は1人当たり消費額が他の地域よりも高いため、1人当たり消費額を増やすためには欧米豪からインバウンドを誘致することが効果的です。
欧米豪の訪日消費額の内訳では、買い物費よりも宿泊費と娯楽・サービス費に多くお金を使う傾向にあります。宿泊施設や娯楽施設のプロモーションに力を入れるべきでしょう。
また、「日本文化の歴史・伝統文化体験」に対するニーズが他の地域からの観光客と比べて大きい傾向にあります。着付けやお寺での修行など、体験型の観光プログラムの情報発信を重点的に行うと効果が期待できるでしょう。
さらに、欧米豪の中でも消費額の多い層向けに、米国市場では訪日クルーズセミナー(時期未定)、豪州市場では10月に行われるLuxperience(富裕層向け展覧会)出展や富裕層向け広告宣伝など、富裕層をターゲットとしたプロモーションが行われます。これらの開催時期と合わせた情報発信を行うのが効果的です。
ただしクルーズ船に関しては、ダイヤモンド・プリンセス号船内での新型コロナウイルス集団感染のイメージが強く、新型コロナウイルスの収束後すぐには乗客が戻らない可能性も考えられます。まずは風評被害を払拭するPRから始める必要があるでしょう。
また、ダイヤモンド・プリンセス号が停泊していた横浜港では、年間予定の3分の1以上のクルーズ船が寄港をキャンセルしました。しばらくは富裕層に対するクルーズ船以外の誘致の方法を模索する必要があるかもしれません。
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2.日本のイベントが開催されるタイミングの前後でプロモーションする
ドイツで6月にNippon Connection(オンライン)、英国で9月にJapan Matsuri、豪州で12月にMatsuri Japan Festivalの開催が予定されるなど、 日本にフォーカスした一般消費者向けの様々なイベントが予定されています。日本への注目度が高まるイベント前後の期間にプロモーションするのが効果的です。
旅行を計画し、スケジュールを決めていく期間を「旅マエ」といいます。日本への渡航を決め、具体的な手配を開始する時期であるため、事前予約・手配を要する航空会社、宿泊施設、イベント、アクティビティー、旅行代理店、通信(SIM、レンタルWi-Fi)などの業態において、プロモーションが有効となります。
特に欧米は東アジアや豪州よりも日本への距離が遠いため、旅行の準備をする「旅マエ」期間が他の地域からの観光客に比べて長い傾向にあります。新型コロナウイルスで旅行ができないことにより、国外旅行について調べる期間はさらに長くなっているといえます。早い段階から情報発信を行うことで、新型コロナウイルス収束後のインバウンド回復も早くなるでしょう。
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3.豪州市場の季節に応じてプロモーションする
豪州市場では、南半球のため、8月に桜、9月に雪、12月に祭り、2月に夏のイベントが開催されます。日本の季節に合わせてプロモーションを始めるのでは遅く、イベントの開催時期に合わせてプロモーションを行うとより効果が期待できます。
例えば、桜のプロモーションは「旅マエ」期間である桜のシーズンの2〜3ヶ月前(12~1月頃)から開始するのが一般的ですが、豪州市場に対しては「桜まつり」が行われ、桜への関心が高まる8月頃からプロモーションを開始するとよいでしょう。
欧米豪全体では6~7月頃からプロモーションが始まる
欧米豪は1人当たり消費額が他の地域よりも高い地域であるため、JNTOも富裕層をはじめとした欧米豪インバウンドの誘致に積極的なようです。
宿泊施設や娯楽施設、「日本文化の歴史・伝統文化体験」に関する情報発信を重点的に行うことで欧米豪の訪日意欲が高まるものと考えられます。
ただし富裕層の誘致については、クルーズ船内で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことから、風評被害の払拭や、クルーズ船以外の誘致方法についても検討する必要があります。
また、広告宣伝など、本格的なプロモーションは6~7月頃からの開始が計画されています。イベントの中止や延期、オンラインでの開催など例年と異なることも多い中、収束後の旅行需要拡大に向けて、適切なタイミングでプロモーションを行えるかどうかが鍵となるでしょう。
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<参照>
2020年度市場別プロモーションスケジュール:JNTO(日本政府観光局)
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