現在日本では新型コロナウイルスの影響で訪日旅行客が大幅に減少しており、2020年3月の推定値は前年同期比93.0%減少の19万4,000人まで落ち込んでしまいました。
訪日旅行客の減少はいつまで続くのか、いつになったら客足が戻ってくるのか、それらのことがインバウンド業界共通の心配事となっています。
アジアに向けて日本を紹介するメディア『FUN! JAPAN』を運営する株式会社Fun Japan Communicationsは、2020年4月、日本好きの外国人を対象に新型コロナウイルスによる訪日旅行への影響を調査しました。
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調査概要:日本旅行の人気は衰えず
調査は、台湾・香港・タイ・マレーシア・インドネシア・ベトナム・インド・韓国・中国の9ヶ国10〜60代男女を対象に、オンラインで実施したもので、サンプル数は2,425件です。
7か国で「安全なら日本に行きたい」90%、韓国・中国に消極的姿勢も
「訪日旅行が安全であると判断出来たら日本に行きたいですか?」という質問に対して、対象9か国の内、韓国・中国の2ヶ国以外は「はい」が90%以上を占めました。
この結果より、新型コロナウイルスの感染拡大収束後は、アジア各地から訪日旅行客が戻ってくることが期待できそうです。
韓国は感染拡大以前から続く日韓関係悪化の影響なのか、「はい」という答えは38%に留まり、「いいえ」は62%にものぼりました。
中国に関しては66%が「はい」と回答しましたが、やはり韓国意外のアジア諸国に比べ低い比率となっています。中国ほど厳しくない新型コロナウイルス対策の様子を見て、念のため旅行は控えようと考えている可能性も考えられます。
安全と判断、いつ頃日本に行きたいか?香港・韓国・中国は積極的
「安全であると判断してから何時頃日本に行きたいですか」に対しては香港が「1か月以内」が8%、「1~3か月以内」が33%、「3~6か月以内」33%と、収束さえすればすぐにでも、と考えている方が比較的多くなっています。
「安全であると判断できたら日本に行きたい」が38%、66%にとどまった韓国と中国ですが、いつ日本に行きたいかの質問に対しては韓国が「1か月以内」13%、中国は「1~3か月以内」27%、「3~6か月以内」30%となっています。「行きたい」と考える人はアジア諸国より比率は低いものの、行きたい人に限っては比較的早い時期に訪日旅行に踏み切る可能性もあります。
全体的に「期間ではなく季節に合わせて訪日したい」と回答した割合が高くなっています。
行く行かないを決める重要なファクターは「季節」春と秋が人気
「安全であると判断してから何時頃日本に行きたいですか」という設問に対し「期間ではなく季節に合わせて訪日したい」と回答した方を対象に、「どの季節に訪れたいですか」と質問した回答は、以下のような結果になりました。
台湾と香港以外は桜の見頃である「春」と回答した割合が1番高くなり、台湾と香港では両地域とも「秋」と答えた方が最も多くなりました。
「夏」という回答は軒並み少なく、日本の夏はアジア諸国にとっては特別感がなく、訴求ポイントとはならないことが示唆されています。
日本の新型コロナの感染状況、外国人が判断材料にする情報は「日本発」「政府発」
同調査では、「訪日旅行に対して新型コロナウイルスの影響がなくなったと判断する情報源」についても回答を収集、分析しています。
韓国と中国の2か国以外は「日本情報発信サイト」を「知人・友人・家族の意見」よりも重視していることがわかりました。
韓国では「テレビ番組」、中国では「知人・友人・家族の意見」を「日本情報発信サイト」よりも重視する傾向にあり、これらが先に紹介した「訪日旅行が安全であると判断出来たら日本に行きたいですか?」への回答とも関係しているのかもしれません。
また、日本政府が発信する情報を元に判断するという割合も9か国全てで30%を越えており、特に香港とインドではそれぞれ71%、80%もの人が、日本政府発信の情報を参考にすると回答しています。
「WHO(世界保健機構)」が発表する情報を判断材料とする割合は、台湾・香港・韓国では15~24%と低くなっていますが、マレーシア・ベトナム・インドでは64%~75%と信頼されていることがわかります。後者の訪日旅行には、WHOの発表内容が大きく影響を与えると考えられるでしょう。
日本政府が新型コロナウイルスの国内感染状況を積極的に国外へ発信していくこと、そして参考にされている情報源での日本への言及のされ方にも注意を払うことが、ウィズコロナ、アフターコロナの訪日旅行プロモーションの成否を分けそうです。
「旅マエ」外国人の心配事は、交通機関&飲食店
「新型コロナウイルスに関連し、日本行きを再検討する際にどんな情報を事前に知りたいですか?」という質問に対しては「とにかく安全に対する情報が欲しい」が中国以外の8か国で70%以上となりました。安全が第一の関心ごとであることがうかがえます。
新型コロナウイルス流行で死亡者も出ているなか、安全について関心が高まるのは当然のことといえるでしょう。
一方で、交通機関や飲食店の営業状況に関する情報を知りたいと回答する人の割合も、複数の国で比較的高くなっています。
訪日旅行の際には、コロナ流行以前と変わらない程度に観光コンテンツが楽しめることを期待しているようです。
収束後の日本観光旅行では、以前と変わらず、スムーズに目的地に移動し食事を楽しめるというイメージを発信していくことが重要です。
どこで情報を発信するか?適切なメッセージを込めた訪日プロモーションを
調査結果からは、新型コロナウイルス収束後には日本を訪れたいと考えているアジアの旅行者像が見えてきます。
実際に訪日旅行に来てもらうためには、まずは新型コロナウイルスの感染拡大の収束が一番ですが、「安全だ」と判断してから客足が戻るまでに時間がかかることを考えると、日本は現状でも新型コロナウイルスの感染拡大に対し有効な対策を講じているということ、また今後安全になるだろうという情報を、根拠をもって伝えることも重要と考えられます。
情報発信の際には、アジアの見込み旅行客は、どのチャンネルから日本に関する情報を集めているか、どのチャンネルの情報を信用しているのかといった点は理解すべきでしょう。
収束後の訪日旅行のタイミングについては、季節も重視されていることがわかりました。東南アジアの旅行者にとって、日本の夏の暑さに魅力を感じることはあまりないと考えられます。どの市場にどのスポットやイベントをアピールするかについて、しっかり見定めてからプロモーションすることが重要でしょう。
<参照>
株式会社Fun Japan Communications:新型コロナウィルスの訪日旅行への影響は?アジア9カ国を対象にしたオンライン調査結果が発表
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