【ポストコロナのインバウンド戦略】ウィズコロナで考える今後の観光業〜変化できる体づくりを〜:ジェイノベーションズ 大森峻太

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緊急企画『ポストコロナインバウンド戦略』では、コロナ禍において、業界の「中の人」に聞くサバイバル術として最前線に立つ方々に特別寄稿いただきます。今回はインバウンドの専門家として自治体や企業のインバウンド課題の解決に取り組み、アドバイザーなどを務めるジェイノベーションズ代表 大森峻太氏に寄稿いただきました。


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コロナ禍が与えた衝撃

弊社は欧米豪の旅行者を中心にツアーを提供している他、行政や企業から委託を受けてガイドなどインバウンド人材の育成研修を行ったり観光案内所の運営なども行っています。2016年に創業してから、毎年倍々の成長をしてきました。弊社がいるツアー業界は例年春が繁忙期で、既に今年1月の段階の予約で春は過去最高の売上を見込んでいたため人員も多く準備していました。

コロナの影響が先に出ていた中国やアジア向けのビジネスと比べると影響が出るまでに時差がありました。関東と関西でツアーを提供しているのですが、2月はもともと閑散期ということもあり、キャンセルは数える程度でそれほど影響はありませんでした。

2月の後半から3月以降のツアーキャンセルが相次ぎ、3月初旬にはすべてのツアーの予約がキャンセルされました。人数でいうと弊社のメインツアーである渋谷のツアーだけでも1,500人ほどのキャンセルが出ました。

それと同時に弊社のもう一つの事業であるインバウンド研修も人が集まれないという理由で3月からキャンセルが相次ぎました。さらに東京オリンピックの中止と同時にオリンピック関連の仕事がすべて白紙になりました。観光案内所も休業しています。

そういうわけで、3月のツアー事業を昨年と比較すると9割減で、4月以降はツアー売上のすべてがなくなっています。これは弊社に限らずインバウンドに関わるほぼすべての会社に起きている状況だと思いますが、特にツアー関連の会社は直接的ダメージがとても大きいです。

「アフターコロナ」の観光業は

人々がコロナで自宅に閉じ篭っていた反動、そして世界中で国際観光客数は急増しているので、アフターコロナの観光業は今まで以上に盛り上がります。過去日本でもインバウンドが減少したことが何度かありますが、その時も危機の後は必ず反動で観光客が増えているのです。

ただ、今はアフターコロナがいつ訪れるかが全く見えない状況ですので、数年かかる可能性もありますし、アフターコロナではなく「ウィズコロナ(コロナがある前提)」で事業を考えていかなければいけません。

既に観光業の世界ではオンラインでの観光体験を提供する会社が増えています。例えばAirbnbは4月からオンライン体験サービスを開始しました。自宅からオンラインで料理教室や手品教室、音楽ライブ、瞑想などに参加することができます。

このサービスの面白い点は体験を提供するホストも参加するゲストも自宅でつながれることで、ウィズコロナを意識して作られています。まだ始まったばかりのサービスなので改善・変化していくと思いますが、チャンスというのは新しい領域から生まれます。観光事業者はこうした新しい領域にできるだけ早く触れていくことが重要です。

また、今までのトレンドとしても団体旅行から個人旅行に変わってきていましたが、ウイルス対策の観点からこの流れはさらに加速します。つまり、プライベートの体験の価値が上がるということです。「プライベート」や「パーソナル」というキーワードを意識して自分たちが行っている事業を見直すべきです。

今後観光業界では予想もしない(できない)ことがたくさん起こると思いますので、準備すべきは変化に適用できる体づくりです。どれだけ大きい企業であっても変化ができない企業は厳しい時代になります。逆に言えば変化できる企業には大きなチャンスがあります。

どう向き合っていくべきか

まず観光業に携わる人にとってもっとも重要なことは「生き残る」ことです。

現実的な話をすると、出資を受けたり融資や助成金などをしっかりと活用するなどして、少なくとも一年分の資金を確保するのと同時に可能な限り資金の流出を止める必要があります。

また、サービスのターゲットによっても今後の動き方は変わります。コロナが落ち着いてきたら、観光業は国内旅行者が徐々に増え、アジアの旅行者、そして欧米豪を中心にアジア以外の旅行者の順番で復活していきます。

例えば国内旅行は比較的早く復活しますが、弊社のように欧米豪をターゲットにしている場合、観光業の中でも復活するまでにもっとも時間がかかることが予想されるため、国内旅行者やアジアの旅行者などターゲットを広げたり、そもそものビジネスモデルを変更していく必要があります。

今は生き残るためにインバウンドや観光業に限らず売上をつくることも一つの手です。

インバウンド業界は今後少なくとも一年、もしかしたら数年は厳しい状況になる可能性があるので、今後倒産や撤退する企業が多発することは間違いありません。ただし、インバウンドは必ず復活しますので、そこまで耐えてしっかりと準備をしてきた企業にチャンスが集中することになります。

今までも続けてきた会社や人にチャンスが集中していました。もっとも強い企業は新規事業を立ち上げて半年から一年で会社が回るくらいの売上を出し、今まで行ってきた事業もいつでも再開できるように温存できる会社です。

常に最悪を想定して準備しておくことです。インバウンドはビッグチャンスではありますが、インバウンドに依存することは大きなリスクがあることを今回多くの人が実感しました。アフターコロナというものは訪れない可能性もありますし、このタイミングで大地震が発生する可能性だってあります。

そんな中でもしっかりと生き残れるように、最悪を想定してすべてのことを見直す良いチャンスです。

観光業界は例外なく危機に直面しています。こんな状況の中では競合がどうとか言っている場合ではなく、業界全体が協力していくことが求められます。具体的にいうと業界内で知識や経験を共有し、協業できる部分は協業し、協力体制をつくるのです。

私自身インバウンドに関わる人たちに向けて自分の経験や知識を共有すべきと考え、YouTubeチャンネル「大森峻太のJLBインバウンドカレッジ」を立ち上げ、会社の戦略含めインバウンドの最新事例や成功事例などを発信し始めました。横のつながりを強化し業界全体で危機を乗り越えて、また正々堂々と競合同士闘えるように今は皆で力を合わせていきましょう。

著者:大森 峻太(Shunta Omori)

株式会社ジェイノベーションズ代表取締役社長

神奈川県出身。大学在学中にカナダ留学、オーストラリア留学、韓国留学を経験。大学卒業後はカナダに拠点を移し、1年半かけて海外を巡り観光の最前線を学ぶ。帰国後、外国人旅行者向けボランティアガイド団体を立ち上げ、約5,000人のボランティアガイドを全国で集める。

2016年12月にインバウンド事業をメインに手掛ける株式会社ジェイノベーションズを設立。会社を経営する傍ら、インバウンドの専門家として行政などのアドバイザーを務め、メディアなどでもインバウンドの最前線を発信している。東京都観光まちづくりアドバイザー。

観光庁「広域周遊観光促進のための専門家派遣事業」専門家。海外留学サービス「StudyIn」公式留学アンバサダー。関東学院大学国際文化学部客員講師。YouTubeチャンネル「大森峻太のJLBインバウンドカレッジ」ではインバウンドの最新情報を発信中。


緊急企画『ポストコロナのインバウンド戦略』寄稿募集

訪日ラボでは、現在のコロナ禍をどうやって乗り越えていくべきなのか?ポストコロナをどのようにとらえ、今対策をしていくべきなのかなどを、インバウンド業界の「中の人」に寄稿いただく特別企画を実施しております。本企画において寄稿を募集しておりますので、ぜひご応募ください。

ご応募の際には、まずは問い合わせフォーム( https://honichi.com/contact/ )より、

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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