パラリンピック「馬術」の競技日程・会場・見どころを解説:試合は夕方〜夜になる可能性

公開日:2020年05月12日

馬術では、人馬一体となって運動の正確性芸術性を競います。

特にパラリンピックでは、障害の程度によるクラス分けや、アシスタントのサポート、特殊な馬具の使用が認められるなど、通常のルールとは異なる部分も数多くあります。これらは、障害を持つ選手が公平性を保って競技に取り組めるだけでなく、観客にとっての見どころにもなっています。

この記事では、パラリンピックの馬術の概要、ルール、見どころを紹介します。

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

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パラリンピックの競技

パラリンピック競技としての馬術

オリンピックでは「障害馬術」「馬場馬術」「総合馬術」の3つが採用されていますが、パラリンピックでは「馬場馬術」のみ行われます。また、個人課目と団体課目、自由演技があり、障害を補う目的に限り、馬具の使用や改造が認められる点が大きな特徴です。

以下では、馬術の概要、パラリンピックの馬術を解説します。

そもそも馬術とは?

馬術では、馬に乗った状態で運動の正確性や美しさを競います。男女混合で同条件のもと行われる点が特徴で、人馬が一体となって試合に臨むため、選手だけでなく騎乗馬の能力やコンディションも問われます。

オリンピックの馬術では、3つの種目が設けられており、詳細は以下のとおりです。

障害馬術

コース上に設置された障害物を飛び越えながら走行します。飛び越える際のミスの少なさと走行時間が採点基準となります。

馬場馬術

ステップをはじめとする演技を行います。演技の正確性、美しさが採点基準となります。

総合馬術

障害馬術と馬場馬術を組み合わせた競技です。生垣や池など、自然環境に近い障害物を飛び越えるクロスカントリーの要素も含んでおり、総合的な力が問われます。

パラリンピックの馬術ならではの特徴

オリンピックの馬術では3種目が催されるのに対して、パラリンピックでは馬場馬術のみが行われます。各選手が1対1で競う個人課目と3名ずつの選手で競う団体課目があり、後者は音楽に合わせて演技をします。

さらに、個人課目で上位に入賞した選手のみが出場できる自由演技があります。これは、各選手が演技のパターンを考案し、音楽に合わせて自由に演じる課目で、「馬のバレエ」とも呼ばれています。

パラリンピックでは、公平性を保つために、選手たちは障害の種類、程度により、5つのクラスに分かれて競います。採点時に求められる技術レベルもクラスにより異なり、障害を補うための馬具使用、改造が認められます

パラリンピック・馬術のルール

パラリンピックの馬術では、各選手が障害の程度によって5つのクラスに分けられますが、東京大会では前回のリオデジャネイロ大会とは異なるクラスが設けられ、クラスにより馬場のサイズや求められるレベルが変わります。

以下では、パラリンピックの馬術のルールを紹介します。

障害の程度を考慮した公平なクラス分け

2016年のリオデジャネイロ大会ではIa、Ib、II、III、IVの5クラスがありましたが、東京大会ではI、II、III、IV、Vの5クラスに分かれます。Iは最も障害の程度が重く、Vにいくにつれて軽くなります。

グレードによって競技場の大きさも異なり、グレードIからIIIは20メートル×40メートルの馬場、グレードIVとVはオリンピックと同じサイズの、20メートル×60メートルの馬場を使用します。

また、パラリンピックの馬術では、馬の移動を3つの歩法に分類しており、各クラスで演技にどの歩法を盛り込むかが設定されています。

3つの歩法の特徴を以下にまとめます。

常歩(なみあし)

時速6.6キロメートル程度のゆっくりとした歩法です。人の歩く速度(時速4キロメートル前後)よりも少し速いくらいです。グレードIでは常歩のみを用います。

速歩(はやあし)

時速13.2キロメートル程度の歩法です。この速さになると左前肢と右後肢、右前肢と左後肢が対になり、速いペースで交互に歩を進めます。グレードIIとIIIは常歩に加えて速歩を用います。

駆歩(かけあし)

時速20.4キロメートル程度の速い歩法です。乗馬している選手も上下に大きく揺れます。グレードIVとVは常歩、速歩、駆歩のすべてを用います。

細かな採点基準

コースは、馬場の周囲に記されたマークで示されます。「A、G、Iの順に常歩」のように指示が出され、選手たちはそれに従い、馬をコントロールします。5人の審判員は馬場を囲む形で配置されており、採点項目ごとに点をつけます。

採点にあたっては「着眼点」と呼ばれる基準が設けられており、それぞれの着眼点について達成度を10点満点で評価します。審判員は、馬の姿勢や肢の運びなど、細かなポイントを総合的に判断したうえで点数を決定します。最終的な順位は、各審判員の点数を合計して満点のうち、何%達成しているかで決まります。

馬術の採点基準となる着眼点を以下にまとめます。

  • 正確さ:正確な運動内容となっているか
  • ペース:歩法のリズムは適切か
  • 活発さ:馬が活気をもって歩いているか
  • 調和:人馬が一体となっているか

これらの着眼点とあわせて、点数を左右する要素となるのが演技の美しさです。美しい演技のポイントを以下にまとめます。

  • 馬の姿勢:首を縮め、頭を上げたうえで、顔は地面と垂直に垂れている状態が美しい姿勢です。
  • 後肢の踏み込み:歩く際の後肢が、前肢のつけた蹄跡に近い方が高評価となります。
  • 馬のリラックス:馬は緊張していると耳を伏せるため、この状態では十分なパフォーマンスが発揮できなくなってしまいます。

パラリンピック・馬術の見どころと競技日程

パラリンピックでは、視覚障害や記憶障害を持つ選手に対して、アシスタントによる補助が認められます。彼らとのチームワークは見どころの一つです。また、障害を補うために改造した馬具の使用なども注目ポイントです。

以下では、パラリンピックの馬術の見どころ、競技日程を紹介します。

パラリンピック・馬術の見どころ

パラリンピックの馬術では、信頼を築きあげた選手と馬が一体となってつくりあげるパフォーマンスを楽しめます。選手たちは障害を補うためのサポート役をつけられます。視覚障害を持つ選手には「コーラー」、記憶障害を持つ選手には「コマンダー」による補助が認められます。

前者は最大13人までつけられ、選手に対してマークの位置を声で知らせます。目の見えない選手がコースを知るうえでコーラーの声は必要不可欠です。

後者は選手に対して正しいコースを教えます。記憶障害の選手は、彼らの指示を頼りに進むべきコースを理解します。アシスタントをつけて臨む試合では、選手とサポート役とのチームワークが試されます。

また、選手の障害に応じて、特殊な馬具の使用を認めている点もパラリンピックならではの特徴です。選手たちは、まひや下肢切断などのハンディキャップを背負っていても、それらを感じさせない演技をみせるため、気付きにくい場合もありますが、義足に対応したブーツなどを使用していることもあります。

一人ひとりの異なる障害にあわせて、改造された馬具の使用は注目すべきポイントとなるでしょう。

競技日程・会場

※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

パラリンピックの馬術は、2020年8月27日(木)~31日(月)に行われます。会場は全日程とも東京都世田谷区の「馬事公苑」で、試合は夕方から夜にかけて催されます。

各日の予定を以下にまとめます。

8月27日(木) 個人戦(グレードII、IV、V)
8月28日(金) 個人戦(グレードI、III)
8月29日(土) 団体戦
8月30日(日) 団体戦
8月31日(月) フリースタイル

人と馬の絆、特殊馬具など見どころ満載のパラリンピック・馬術

オリンピックとは異なり、パラリンピックの馬術では「馬場馬術」のみが行われます。ステップを中心とした美しい演技が見どころです。パラリンピックでは、障害の程度によって5つのクラスに分けられており、クラスに応じて馬場の広さや必要な歩法が異なります。

また、障害を補うための「コーラー」「コマンダー」、改造した特殊な馬具も注目すべきポイントです。アシスタントの存在や工夫を凝らした馬具は、選手たちの障害を感じさせないプレーを可能にします。パラリンピックの馬術では、オリンピックとは違った楽しみ方ができるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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