2020年行われる予定の東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界規模で感染拡大したため、開催が1年間延期となりました。
2021年の開催に向けてさまざまな準備が進む中、国際オリンピック委員会(以下、IOC)のトーマス・バッハ会長は5月20日に行われたBBCのインタビューに対し、2021年の開催ができなかった場合、東京オリンピック2020大会の開催を中止する見通しを示しました。
2021年に開催できなければ東京オリンピック中止か
IOCのバッハ会長は、5月20日に行われたBBCのインタビューに対し、2021年の開催ができなかった場合、東京オリンピック2020大会の開催を中止する方針を示すと同時に、安倍首相から2021年の開催が「最後のオプション」と伝えられていたことも公表しました。
IOC バッハ会長は安倍首相の発言に対し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会がオリンピックに関わる人材の雇用やオリンピック延期によって世界中のスポーツ大会の日程の変更、それに伴うアスリートの立場を踏まえ理解を示しています。
また、オリンピック・パラリンピックの開催条件にはワクチンの開発が必須という声に対して「世界保健機関(WHO)の助言に従う」とし、明言は避けました。
無観客での開催については、現時点で憶測としつつ、無観客は望む形ではないものの決断を迫られたらアスリート、WHO、日本側と相談する時間が欲しいと述べました。
課題山積みの東京オリンピック
新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックの延期だけでなく、世界各地でさまざまなスポーツ大会が中止となっています。
そこでIOCはオリンピックの追加費用と国際競技団体や各国のオリンピック委員会への財政支援として、合わせて約860億円を拠出すると発表しています。
その内、大会延期による追加費用は約700億円にものぼるとされています。
しかしこの追加費用はあくまでIOCが負担をする追加費用であって、日本は別に数千億円もの追加費用を負担することとなることが予想されます。そのため、組織委員会の森会長はIOCに費用の一部負担を求めています。
一筋縄ではいかない東京オリンピック2020大会
東京オリンピックは2021年7月23日からの開催を予定していますが、日本が多額の費用を負担しなければならないことや日本国内での新型コロナウイルスの感染状況、ワクチン開発の有無など、本当に予定通りに大会を開催ができるのか不安が拭えない状況です。
また世界的なスポーツの祭典であるオリンピック・パラリンピックが日本で開催されることにより、当初期待されていたインバウンド需要にも大きな影を落としています。
東京オリンピック・パラリンピックの開催が難しいと判断される状況では、落ち込んだインバウンド需要の低迷が長引く可能性が高くなります。
5月14日から緊急事態宣言の解除や、自粛要請が徐々に緩和される中、新規感染者を増加させないことが強く求められています。
東京オリンピック・パラリンピックの開催を実現するために一人一人が何ができるのか、またインバウンド需要が回復した際にその期待に答えられる体制をどのように準備していくのかが今後の焦点となるでしょう。
<参照>
朝日新聞 DIGITAL:東京五輪、21年開催が無理なら中止 IOC会長が言及
NHK NEWS WEB:IOC 東京五輪の追加経費など約860億円拠出へ