政府は6月19日に都道府県をまたぐ移動の自粛を全国で解禁し、観光振興に取り組んでいく方向性を示しました。
そこで、訪日ラボでは各社のインバウンド事業に対する影響度合いを探るため、読者・メールマガジンユーザーの皆様を対象に「新型コロナと緊急事態宣言解除に関する意識調査」を実施しました。
前回の調査では主に、事業への具体的な影響や観光客の回復時期予想などをたずねました。今回は全国的な移動・観光緩和を受け、観光客の回復時期予想の質問に加え、「優先的に戻ってきてほしい国籍・地域」や「事業者のインバウンド推進ムード」などをたずねました。その結果を都市部・地方のエリア別、調査時系列別でも分析しました。
<調査結果>
- 調査対象:訪日ラボWebサイト読者・訪日ラボメールマガジンユーザー
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2020年6月4日〜2020年6月10日
- 回答者数:92名
- 設問数:12問(回答内容によって異なります)
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新型コロナ意識調査:調査概要
今回訪日ラボが行った「緊急事態宣言解除と新型コロナ意識調査」では、まず「日本人観光客/外国人観光客(インバウンド)の客足の回復はいつごろになると思うか」をたずね、次に「外国人観光客の客足は戻ってほしいか」「どこの国籍・地域の観光客に戻ってきてほしいか」などを選択式でたずねました。
今回の調査では、
- 客足の回復時期予想は、日本人観光客「10月ごろ」インバウンド「2月ごろ」が最も多い
- もっとも戻ってきてほしい国籍・地域は「台湾」で79.3%が選択
- 業界全体的にインバウンド推進ムードが回復傾向
ということがわかりました。以下で調査結果を紹介します。
日本人観光客の客足予想「秋ごろに戻る」が多数
- 質問
-
19日に全国的な移動と観光の解禁となった場合、「日本人観光客」の客足の回復はいつごろになると思いますか?※単一回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 10月の秋の行楽シーズン(4か月後)ごろには:51.1%
- 1か月後ごろには:22.8%
- 2月の春の行楽シーズン(9か月後)ごろには:7.6%
19日に全国的に緊急事態宣言が解除された場合、いつごろまでに日本人観光客の客足が戻りはじめると思うかたずねたところ、最も多かった回答は「10月の秋の行楽シーズン(4か月後)ごろには」で、回答者の過半数が選択しました。
続いて「1か月後ごろには」と日本人観光客の客足回復は比較的早いと予想している回答者が22.8%と2番目に多くなっています。「2月の春の行楽シーズン(9か月後)ごろには」が8%ほどいました。
インバウンドの客足予想「2月の春節ごろには戻る」が多数
- 質問
- 19日に全国的な移動と観光の解禁となった場合、「外国人観光客(インバウンド)」の客足の回復はいつごろになると思いますか?※単一回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 2月の春節(8か月後)ごろには:35.2%
- 7月のオリンピック開催までには:19.8%
- それ以上以後:17.6%
続いて、19日に全国的な移動と観光の解禁となった場合、いつごろまでにインバウンドの客足が戻りはじめると思うかたずねたところ、「2月の春節から3,4月の桜需要(8か月後)ごろには」戻ると予想した回答者が35.2%で最も多い結果となりました。
「オリンピック開催までには」「10月の国慶節・紅葉需要(4か月後)ごろには」を選んだ回答者も一定数いる一方、「それ以上後」とインバウンドの客足回復には時間がかかると予想している回答者も17.6%いました。
日本人観光客の客足回復時期については「10月の秋の行楽シーズン(4か月後)ごろ」と予想する回答者が多かった一方、インバウンドでは「2月の春節から3,4月の桜需要(8か月後)ごろには」が最も多く、日本人観光客より客足の回復が遅れると予想する人が多いようです。
なお、ほかに「解除後すぐに」「1か月後ごろには」という選択肢もありましたが、この2つを選んだ回答者はほどんどいませんでした。
インバウンドの客足回復、地方でわずかに悲観傾向/前回調査より状況改善か
インバウンドの客足回復予想について、「都市部」と「地方」のエリア別で集計すると、地方のほうが「それ以上後」の割合が高いことがわかりました。全体的に見ても、都市部のほうが若干インバウンドの客足回復について楽観的な傾向が見られます。
一方前回の調査時(5/18〜5/20)と比べると、今回の調査では都市部も地方部もわずかに先行きを楽観視する傾向が見られました。コロナ収束し経済再開の動きを受け、インバウンドの先行きを楽観視する人が増えたと考えられます。
※なお、ここでの「都市部」は総務省の「大都市部」の定義に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県としています。企業の所在地を「その他・海外」とした回答は含みません。
インバウンドの客足回復、前回調査より比較的早めの回復期待
さらに同じ項目を前回の調査と比較しました。今回の調査では以前実施した2回の調査に比べ「それ以上後」の割合が微増したものの、「2月の春節から3,4月の桜需要(8か月後)ごろには」の回答者数が大きく増え、比較的早めの回復期待が見受けられました。
インバウンドの客足回復への期待感、都市部が地方を上回る
「あなたのビジネスや地域の状況を考慮した場合、 外国人観光客(インバウンド)の客足は戻ってきてほしいですか?」をたずねてみたところ、「戻ってきてほしい」と「どちらかといえば戻ってきてほしい」が多数で、「戻ってきてほしくない」と選択した人がいませんでした。
ただし、同じ項目を「都市部」と「地方」のエリア別で集計すると、地方のほうが「どちらかといえば戻ってきてほしくない」割合が高いことがわかりました。全体的に見ると、都市部のほうがインバウンドの客足回復に対する期待感が高いと見られました。
※なお、ここでの「都市部」は総務省の「大都市部」の定義に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県としています。企業の所在地を「その他・海外」とした回答は含みません。
優先的に戻ってきてほしい国・地域:1位 台湾、2位 香港、3位 タイ
- 質問
-
優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?※複数回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- 台湾:79.3%
- 香港:58.7%
- タイ:50.0%
「どこの国・地域の客足に優先的に戻ってほしいか」についてたずねたところ、もっとも回答率が高かった国籍は「台湾」で79.3%、そして「香港」の58.7%、続いて「タイ」の50.0%という結果でした。
戻ってきてほしい理由:「客足が多かったから」が多数
- 質問
- 前の設問で、その国籍・地域を選んだ理由はなんですか?※複数回答
- 回答(上位3項目を抜粋)
- その国籍・地域の観光客の客足が多かったから:60.9%
- その国籍・地域の観光客の消費額(客単価)が高かったから:32.6%
-
その国籍・地域の観光客のマナーが良かったから:25.0%
さらに、戻ってほしい理由をたずねたところ、「その国籍・地域の観光客の客足が多かったから」がもっとも選択され、60.9%の回答率でした。
前掲の「優先的に戻ってきてほしい国・地域」ランキングのグラフからわかるように、上位5か国は全て従来から訪日客数の多いところでした。これらのことから「もとからターゲットとしていた国・地域のインバウンド客足について早く回復してほしい」という意識が見えます。
また、「感染状況が落ち着いているから」と「感染対策が進んでいるから」と回答した人もいました。
インバウンド推進ムード モチベーション回復中
インバウンド事業者社内において、インバウンドに対する推進ムードについてたずねたところ、「非常に積極的なムード」と「まあまあ積極的なムード」と合わせて回答者が7割を超えました。
なお、「撤退を考えている」という選択肢もありましたが、選んだ回答者はいませんでした。
さらに、調査の時期別で見ると、「積極的なムード」と「消極的なムード」の差が広がっていることがわかりました。
調査を重ねるほとに撤退もしくは倒産した事業者がいて、その回答がなくなった=積極的な事業者が残った、という可能性はあるでしょう。しかし、コロナ収束にともなってインバウンド事業者のモチベーションも徐々に回復傾向にあると見られます。
コロナ対策を講じ、日本の安心感をアピール
国内で新型コロナウイルス感染が収束し、各種経済活動が再開していくことにつれて、インバウンドに対する期待感も高まり、全体的にモチベーション回復傾向が観察できます。
「コロナ前の外国人観光客をどう取り戻すか」や「コロナ後のインバウンド消費はどう予想されているか」など、前向きな質問も寄せられてきました。
現在観光客の渡航については見通しは立っていませんが、今後は一部の国をはじめ、徐々に解禁していくと考えられます。コロナの対策をしながら、日本は渡航先として安全な国との認識を広めつつ、高付加価値を提供することによって、質の良い顧客を獲得することに注力していくことが必要になるでしょう。
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