【今日は何の日?】1968年、黒人の「貧者の行進」が阻止された日。52年間で変わったこと・変わらなかったこと

公開日:2020年06月24日

52年前の今日にあたる1968年6月24日は、黒人による「貧者の行進」が行われた日です。

キング牧師が黒人差別撤廃を呼びかけた1963年のワシントン大行進をモデルに始まった「貧者の行進」は暴動に発展し、ワシントン市が非常事態を宣言し、夜間の外出を禁止するという事態になりました。

52年後の今日において、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで発生した痛ましい事件を発端に、再び黒人差別への反動による大規模なデモが発生しています。

根が深く数世紀に渡る黒人差別問題に対して、我々の議論はどこまで進歩し、どこで立ち止まっているのでしょうか。6月24日の今日、52年前とを振り返りながら考察します。

貧者の行進とは

貧者の行進とは、1968年6月24日にワシントンDCで行われた、貧困問題で苦しむ人々によるデモのことです。

同年4月4日に39歳の若さで暗殺されたキング牧師らによって計画されました。キング牧師はアメリカで1950年代から60年代にかけて、黒人差別の撤廃を求めて公民権運動を率い、1964年にノーベル平和賞を受賞しました。

当時のアメリカでは、水飲み場を白人と区別されたり、暴力を受けたりといった黒人への差別が、特に奴隷制度が色濃く残る南部で横行していました。これに反対するキング牧師は、裁判や座り込みといった平和的な行動によって世論に訴えたのです。

1963年にワシントンで雇用と差別撤廃を求めて行われた「ワシントン大行進」と呼ばれる大規模デモでは、有名な「I have a dream(私には夢がある)」という演説を行い、平等な社会の実現を訴えました。

ワシントン大行進をモデルとして実行された貧者の行進では、黒人だけでなく白人やアジア人など幅広い人種の人が参加してワシントンの中心部を数千人が占拠し、アメリカ政府に対し貧困対策の必要性を訴えました。

デモは警察と衝突して壊滅させられたものの、貧者の行進の後、政府の意識は少しずつ変化し、アメリカの貧困層の存在が可視化されるようになりました。

写真家のジル・フリードマンが貧者の行進を記録した写真集が2017年に再版されるなど、現代に至るまで注目を集めています。

現代のBlack Lives Matter 運動とは

貧者の行進から52年たった現在において、Black Lives Matter (通称BLM)運動が活発化しています。Black Lives Matter とは、2012年にフロリダ州で黒人の高校生が射殺された事件を受けて、ある黒人女性がSNSに投稿した言葉に由来しています。

この事件の後も白人の警察官によって黒人の命が奪われる事件が相次ぎ、抗議の声が高まるにつれてBlack Lives Matterという言葉はさらに広がっていきました。そして2020年5月にミネアポリスで発生した、黒人のジョージ・フロイド氏が、白人警察官によって死亡させられた事件を受け、再び広がりを見せています。

1964年の貧者の行進と現代の状況の間には、今だ黒人の貧富の格差は無くなっていないという共通点があります。当時より見えにくくはなったものの、依然として人種差別の壁は存在しています。

一方で、情報化社会の発展とそれに伴うSNSの普及により、実際のデモの様子が動画で世界中に拡散され、アメリカ以外のヨーロッパにも運動が伝播しています。イギリスのブリストルでは、奴隷商人の銅像が引きずり倒され、市内を引き回された後に海に沈められるという事件も発生しました。

民間企業が声明を発表したり、セレブが意見を表明するなど、ムーブメントの拡散するスピードや影響力は、過去と比較しても格段に大きくなっているといえるでしょう。

人種の壁を超えて不平等改善への訴え広がる

貧者の行進から52年がたった現在においても、ミネソタ州の事件に象徴されるように、残念ながら人種差別は根強く残っています。しかし人種差別への抗議運動は人種の垣根を超えて行われており、白人やアジア人も参加していた貧者の行進当時から変わらず受け継がれています。

暴力的な抗議活動は問題ですが、平和的に問題を訴えたり、問題解決のために議論が行われることは有意義なことでしょう。不平等に苦しんでいるのは黒人だけにとどまりません。不平等を改善するために、構造的な差別の問題を変えるために何ができるのか、人種の壁を超えて議論されることは、よりよい未来の実現のために有益であるはずです。

<参考>

VICE:1968年ワシントンDCで起こった 〈貧者の行進〉を撮ったドラマティックな写真

BBC NEWS JAPAN:イギリスで人種差別に抗議続く、奴隷商人の銅像を引きずり下ろし

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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