オーストラリア、7月にもNZと国境封鎖解除か:「1,500円航空券」販売セールも【世界のウィズコロナ 】

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※オーストラリア政府は2020年10月11日に、隔離措置を伴わない渡航を数カ国との間で検討していることを明らかにした。

世界各国の中でも新型コロナウイルスの封じ込めに成功したといわれているオーストラリアでは、4月中頃から感染者数の増加に落ち着きを見せています。国内の規制緩和が進み、各州内での移動や消費が回復しつつあります。

まもなく州境制限解除の方向に向かっていましたが、ビクトリア州での感染者急増による第2波の懸念から、制限措置の延長が見直され始めています。

この記事では、オーストラリア国内の経済活動再開に向けての動向について解説します。

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日豪間のトラベルバブル、可能性は?

日本政府はオーストラリアを含む4か国で、まずは入国制限緩和を検討する方針を発表しました。一方オーストラリアでは、ニュージーランドとの国境封鎖を解除を目指しており、早ければ7月にも両国間の移動が可能となります。

早ければ7月にも豪、NZ間で国境封鎖解除

オーストラリアとニュージーランド両首相が発表した、「トランスタスマン・トラベル・バブル」の動向に世界の注目が集まっています。「トランスタスマン・トラベル・バブル」はオーストラリアとニュージーランドの両国間の移動を自由にし観光再開をめざすものとして、5月上旬に締結されました。

ただし、早急に国境封鎖が解除されるわけではなく、観光再開はロックダウンなどの状況を見ながら行われるものであると両首相は強調しています。

オーストラリアは段階を踏みながら国外との観光再開ができるよう国内の州境閉鎖解除を進めていましたが、クィーンズランド州などいくつかの州での解除が遅れています。

7月初め現在、国境封鎖が解除される明確な日程は決まっていません。さらに、ビクトリア州の新型コロナウイルス感染者急増により各州が警戒を強めているため、計画がさらに遅れる可能性があります。

豪観光相、来年まで国境を閉じる可能性を示唆

新型コロナウイルス感染者数増大を抑えているオーストラリアは、その大きな成功理由として早い段階での国境閉鎖、州境移動を制限したことを挙げています。そのため、国境解除に対し慎重な姿勢を取っています。

2020年6月にサイモン・バーミンガム観光相は、「ニュージーランドとの国境再開協議は専門家の意見を取り入れながら進めているものの、他国との国境閉鎖は来年まで持ち越される見通しである」と発表しました。

国境解除後の海外からの出入国規模を考え、国民の健康を第一に考えた結果であると話しています。一部の学生ビザや、ビジネスや投資などを目的とした渡航については来年より早い入国許可が出る可能性を示唆していますが、一般に向けた入国制限の解除は時間がかかると考えられます。

この発表後、オーストラリア最大手のカンタス航空は10月末までの国際線運休を発表しました。

海外からの入国後の隔離措置「自己負担」に

オーストラリアへ入国した全ての海外からの渡航者に対し、国の指定する施設での2週間隔離措置が義務付けられています。

ホテルまでの移動、宿泊、食事、警備などこの措置にかかる全費用は入国する各州が負担していましたが、クィーンズランド州政府は、7月1日以降の入国に関しては帰国者自身が費用を負担するよう定めました。クィーンズランド州政府は、措置開始後から6,000人以上の帰国者を1,900万豪ドル(約14億円)をかけて受入れ、州内での感染拡大防止に成功しています。

隔離措置に伴う費用の自己負担については、支払いが困難な人に向けた救済基準なども設定する予定ですが、2週間でひとりあたり約2,800豪ドル(約20万円)、4人家族の場合約4,600豪ドル(約34万円)を負担する必要があります。

この費用は各州で大きな負担になっています。帰国、入国者が多いシドニー空港があるニューサウスウェルズ州では、負担費用として当初1,600万豪ドル(約11億円)を予定していましたが、予想をはるかに上回り、5,000万豪ドル(約37億円)を負担しています。

ニューサウスウェルズ州政府は「国内の感染拡大防止のためこの費用を負担したことに後悔はない」と述べているものの、クイーンズランド州の決定により、ほかの州でも入国者自身が費用を負担するようになる可能性が出ています。

オーストラリア国内の「ニューノーマル」と観光

オーストラリア国内では3段階の規制解除を実施し、7月10日には州境解除などを含んだ最終のステップ3を開始する予定です。

しかし、ビクトリア州の感染者拡大により、現在各州で州境再開のタイミングを見直す動きが出ています。

接触確認アプリ「COVIDSafe」

オーストラリア政府は、4月末に新型コロナウイルス追跡アプリ「COVIDSafe」をリリースしました。日本のCOCOA同様、携帯のBluetooth機能を使い、1.5m以内に接近した他ユーザーを記録します。感染者が出た場合、15分以上接近したユーザーに通知が送られるシステムになっています。

政府は、アプリを有効に使うためには人口の40%にあたる約1,000万人がダウンロードする必要があるとしていますが、現地報道によると、6月11日時点で620万人しかダウンロードしておらず、まだ十分に機能しているといえる状況ではありません。

ダウンロード数が低い理由として、多くの国民がプライバシー保護への懸念を挙げています。政府は保健当局以外で、たとえ裁判所命令であってもデータにアクセス権利はないと説明していますが、奏功していないようです。

アプリがリリースされてからビクトリア州では568人の感染が確認されましたが、アプリをダウンロードしていたのは約30ケースのみで、アプリから親密な接触者が特定できませんでした。他の州でも感染者が見つかってもアプリから接触者が特定できない、またはアプリをダウンロードしていないケースがほとんどとなっています。

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コロナ禍での観光再開を目指し、世界観光機関(UNWTO)が立ち上げたグローバル観光危機委員会は、観光再開に向けたガイドラインを発表しました。ガイドラインによると、今後の旅行では、旅行者の「安心」「安全」を守る取り組みが重要になるとしており、「ナショナルトラッキングアプリや移動経路のトラッキングアプリを推奨」と明記されています。日本では、2020年5月29日より、大阪府がいちはやく独自の追跡システム搭載アプリを開発・導入したことが話題になりました。6月19日からは厚生労働省によって、全国を対...


▲様々な言語でアプリを告知: Australia Government Department of Health 

スキーシーズン前、第2波への懸念

現在、規制解除のステップ2を実施しているオーストラリアでは、多くの州で州内の移動や、映画館、ジムなどの営業が再開しています。

7月10日から全州境移動可能も含めたステップ3が開始される予定でしたが、ビクトリア州の感染者急増により、他州から旅行者を呼び込もうとしていた各州政府の動きに影響を与えています。サウスオーストラリア州では州境閉鎖解除後、人口の多いビクトリア州から観光客の誘致を予定していましたが、閉鎖を続行し、誘致計画の中止を発表しました。

まもなく冬季に入るオーストラリアでは、6月末頃からスキー場がオープンする予定ですが、多くのスキー場がビクトリア州とニューサウスウェルズ州の境にあります。州境解除した場合、両州から多くの客が訪れるスキー場では感染拡大が懸念されることから、ニューサウスウェルズ州では警戒を強め、州境閉鎖継続を検討しています。

世界各地で「第2波」発生?米では1日3万人感染も...拡大抑止と経済活動、両立の困難さ極まる

新型コロナウイルスを早い時期に経験したヨーロッパやアジア諸国では、5月初めには感染者数が一旦減少する傾向が見られました。しかし、そうした国の中には5月下旬から局地的に再び感染者が増えているところもあります。この記事ではコロナウイルスの感染拡大の第2波の可能性と経済活動再開の両立の難しさについて、世界各国の様子を踏まえながら紹介します。目次世界各地で第2波の兆候が同時に日本やEUでは渡航制限の緩和が協議中五輪は「簡素化」か「再延期」か、調整つづく感染拡大防止と経済活動の両立の道を探る世界各地...

人気航空路線で「19豪ドルセール」開催

カンタス航空の子会社であるジェットスターでは、国内22路線を対象に1万席限定で、19豪ドル(約1,500円)で販売するセールを4日間限定で開催しました。これには人気路線のメルボルン〜シドニー、ゴールドコースト〜シドニー、アデレード〜ケアンズなどが含まれています。

さらに、カンタス航空では、6月末から約4か月間フライトに付与されるポイントを通常の3倍にすることを発表しました。

この2社のキャンペーンは、カンタス航空のCEO・ジョイス氏による「ツーリズムリカバリー計画」の一環にあたります。ジョイス氏は「カンタス航空の調査では、約75%以上のオーストラリア人が半年以内にフライトする予定があることが分かり、このセールで多くの人が旅行などにでかけるでしょう」とキャンペーンへの期待を見せています。

クイーンズランド州の州境開放予定日に当たる7月10日には、すでにシドニー〜ケアンズのフライトが満席になっており、増便予定があることも発表しています。

一方で、同社は人員整理や資金調達にも動き出しています。CEOのジョイス氏は国際線の営業再開は来年2021年になるだろうと発言しており、国内観光の需要喚起が今後続けられるとみられます。

小売りや宿泊施設、飲食店、レジャー施設

海外からのインバウンド需要が望めない今、各業界では「ローカルサポート」を合言葉に国内客獲得のため今までにないセールの実施などさまざまな施策が行われています。

6月末から7月中旬にかけて、スクールホリデー(学期間の休み)もスタートするため、アクティビティ業界も活気を見せています。

お土産店やホテルが、ローカル向けにセールや呼び込み開始

インバウンド顧客をメインにしていた店やホテルが、ローカル客獲得のためかつてないセールなどを実施しています。

国境閉鎖後には多くの土産店が時間短縮営業または休業していましたが、制限解除が進んだ6月から従来通りの営業を再開しはじめています。たとえば、国境閉鎖前には日本人や中国観光客で賑わっていた人気の土産店は、店内商品最大70%オフのセールを実施しました。

対象商品にはオーストラリアのお土産としても人気のアグブーツなども含まれ、今までにないセール金額に普段はなかなか来店しない多くの地元客が訪れました。

オーストラリア国内でも人気観光地のゴールドコーストにあるホテルでは、ローカル客に向けてホテルサイトからの予約ではなく、直接ホテルに電話して予約することを勧めています。直接ホテルに問い合わせることで特別価格での提供の可能性があるほか、ホテルや州に収益が入り、地元企業支援や雇用創出にも繋がるとしています。

飲食店:来店客の個人情報確認、テイクアウトなど営業スタイルの変化続く

店内に入れる顧客人数やテーブル席の配置距離規制は継続しているものの、飲食店の営業は通常通りに戻りつつあります。

店内飲食が禁止されていた3月から5月中旬までは、多くの店がテイクアウト用のメニューを用意し販売しました。駐車場を改造し自家製ドライブスルーでのオーダー体制を整えたり、自社独自の宅配サービスを開始する店舗も見られました。

スーパーの在庫が少なくなり日用品や食料の購入が難しい時期には、飲食店が在庫として抱えていたパスタや牛乳を販売するといった、その時々の状況に合わせた営業スタイルも確認されています。

5月中旬からは店内飲食が解禁となり、6月1日からは店舗の収容可能規定人数も増えたため外食する人も増えています。しかし、各店で独自の感染拡大防止対策を実施しており、店内消毒の徹底だけでなく、入店時に利用客へ個人情報の提出を求める店舗もあります。

テイクアウト需要も引き続き大きいようで、多くの店がテイクアウトメニューの販売を続行しています。

6月1日の規制解除には、美術館や図書館、ネイルサロンや美容室などの施術も可能になり、通常の日常生活に大きく近づきました。しかし、現在も多くの人が行き交えるフードコートでの営業は禁止されており、7月中旬に開始予定のステップ3実施後に再開される予定です。

▲飲食店入店時には消毒液、入店個人情報記入リスト、追跡アプリの告知など、コロナ対策がなされている:筆者撮影

テーマパーク「シ―ワールド」人数規制等で営業再開

感染拡大防止のため多くのテーマパークや動物園が3月末頃より休園していましたが、感染者数が抑えられている州では、規制ルールに沿っていくつかのテーマパークが再開しました。

クイーンズランド州にある水族館などを併設したテーマ―パーク「シ―ワールド(Sea world)」は、休園中InstagramやFacebookを通して園内の動物の様子を投稿していたことで知られています。営業再開を発表したFacebook投稿には多くの「いいね」と再開を喜ぶコメントが寄せられました。

州ごとに設定される学校の学期休み前日に営業を再開し、同日は約2,000人の休暇明けのスタッフが顧客を出迎えました。

シーワールドでは、新型コロナウイルス安全ガイドに従い、入場者数を通常の50%にあたる最大約6,000人の入場者数に抑えて営業を再開しました。さらに、混雑をさけるため顧客にオリジナルアプリのダウンロードを推奨し、アプリを通じた入場券購入やアトラクション予約により混雑回避に努めています。

クイーンズランド州には他州からも多くの客が訪れるテーマパークが点在していますが、順次7月から9月にかけて再開することを発表しています。

冬を迎えるオーストラリアは引き続き警戒の姿勢、経済回復策に注目

新型コロナウイルス発生時、早い段階でさまざまな規制を行い感染拡大防止に成功したオーストラリアですが、現在ビクトリア州での感染者増大や、冬を迎えるにあたり警戒がより強まっています。

そうはいっても、国内経済の活性化も無策でいるわけにはいかず、接触アプリのリリースや、業界ごとの制限を設けながら、できることから消費の回復に努めています。

日本と四季が反対のオーストラリアの観光やレジャーの現場での取り組みには、この先の日本にとって参考になる部分があると考えられます。今後も最新情報へキャッチアップすべきでしょう。

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<参照>

日豪プレス:「NZとオーストラリアの国境再開遅れは豪の問題」

Yahoo!ニュース:7月にもオーストラリアとニュージーランドが相互の観光客受け入れ再開?「トランスタスマン・トラベル・バブル」の真価

The Guardian:Australia and New Zealand travel bubble: coronavirus-safe plan to reopen border

日豪プレス:「オーストラリアの国境閉鎖は来年まで続く」

THE PERTH EXPRESS:【新型コロナウイルス関連】オーストラリアの国境閉鎖は来年まで続く見込み

myGC.COM.AU:Queensland’s return travellers will have to cover their own hotel quarantine costs

日豪プレス:NSW州のコロナウイルス隔離ホテル料金膨張

ABC news:COVIDSafe has been downloaded by millions, but yet to identify contacts (and authorities say that's a good thing)

Yahoo!ニュース:豪州で新型コロナ第2波の懸念強まる-新規感染者が4月以来で最多に

BBC news:Coronavirus: Qantas to axe 6,000 jobs due to pandemic

The Guardian:Qantas to cut 6,000 jobs and keep 15,000 stood down in bid to survive coronavirus downturn

ABC news:Theme parks reopen as Gold Coast tourism takes next step in coronavirus recovery

news.com.au:Coronavirus Queensland: Sea World reopens as state records new virus case

7NEWS.com.au:Jetstar Australia launches huge sale with cheap domestic airfares from $19

7NEWS.com.au:The best travel deals as NSW coronavirus restrictions lift

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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