【世界のウィズコロナ】スペイン7月にインバウンド観光再開「隔離義務なし」小売・飲食店・美術館等の施設の現状は?

公開日:2020年06月16日

スペインでは、新型コロナウイルスによる自宅待機(ロックダウン)も徐々に解かれ、6月21日で国家緊急事態宣言も終了予定となっています。今後に向けたロードマップも、政府から公開されています。

国民の健康への被害を大きく受けたスペインですが、観光立国としての経済活動も完全にストップとなり、産業面でもその損失は計り知れません。

5月末には、7月1日から入国する観光客に対する隔離措置を解除することが報じられました。他国に先駆けてのインバウンド観光の再開となる見込みで、世界から注目が集まります。

今回の記事では、スペインの小売業や観光業における、新型コロナウイルスと共存するスペインの新しい日常(ニューノーマル)の現場を紹介します。


7月からのバカンスに向けて、観光業や小売業の活動が再開

3月に発令された国家緊急事態宣言により自宅待機期間となったスペインですが、その期間も2020年6月20日に終了予定です。基本的には6月21日から、すべての商店や美術館・博物館・教育関係などの施設は営業できるようになります。

同時に、約3か月間ほとんど営業ができず休業状態だったスペインの観光業や小売業は、夏のバカンスシーズンに向けて再開の準備を進めることになりました。

7月1日からは外国人観光客がスペインに入国できるようになり、入国後に義務付けられていた14日間の隔離措置の義務がなくなります。観光客に対する隔離措置の解除を世界に先駆けて実行することになるスペインには、海外旅行を待っていた世界の旅行者が足を運ぶことになるかもしれません。

6月6日現在、地方によってはレストラン・バールやプールなど、ホテルの共用部分の使用を禁止しながら営業しているホテルもあります。こうした施設も、6月21日からはホテルも基本的には全面営業できるようになります。

全面営業の再開から海外からの観光客の受け入れまで10日間です。この10日間は、店舗や宿泊施設にとって、インバウンド観光客受け入れのためのシミュレーション期間となると考えらえます。

スペイン市街の新型コロナウイルス感染対策

今までは敷地面積の大きいデパートや郊外の大型スーパーなどの小売業は営業が禁止されていましたが、6月21日からはこうした大型の小売店も営業再開できるようになります。

小売店では「ニューノーマル」の様式が取り入れられています。

スペインでは少なくとも2020年の秋まで、公共の場でのマスク着用が義務付けられています。 列車やバスをはじめとする公共交通機関内でも同様に、乗客はマスクを着用する必要があります。

▲[マスク着用の上での入店を求めるスーパーマーケットの張り紙]:筆者撮影
▲[マスク着用の上での入店を求めるスーパーマーケットの張り紙]:筆者撮影

加えて、現在スーパーマーケットでは入店時には店が設置した除菌ジェルで手を洗った上でビニール手袋を身に着け、買い物をしています。場所によっては、入り口でガードマンが入店するお客さんの手に除菌スプレーを吹きかけます。スーパーマーケット以外の小売業でもほとんどの店の入り口に、除菌ジェルが完備されています。

▲[スーパーマーケットの入り口に設置された除菌ジェルとビニール手袋]:筆者撮影
▲[スーパーマーケットの入り口に設置された除菌ジェルとビニール手袋]:筆者撮影

銀行のATMには、手袋を着用した上でのATMの使用を推奨する一文が表示されます。街中でも、医療関係者ではない人が使い捨てのビニール手袋やゴム手袋をして歩いている姿を見かけることも多くなりました。

こうした状況を反映して、ゴム手袋がいまだに品薄となっているスーパーマーケットもあります。

ソーシャルディスタンスを確保するための各施設の対応

スペインでは、ソーシャルディスタンスの確保をかなり強く意識しているようです。様々な場所で入場者数が厳しくコントロールされるようになりました。

たとえば、小さな個人商店では前のお客さんの買い物が終わり店を出た後で、次のお客さんの入店が許されます。その間、ほかのお客さんは店の外で列を作り、入店を待つことになります。

▲[ソーシャルディスタンス確保を呼びかける、小売店の床に張られた張り紙]:筆者撮影
▲[ソーシャルディスタンス確保を呼びかける、小売店の床に張られた張り紙]:筆者撮影


飲食店や美術館等、観光客が足を運ぶ施設では?

レストランやバルでも、入店できる定員の数が今まで以上に少なくなっています。そのため、テーブルに着くまでの時間が長くなり、その結果食事の時間自体も長くなることが増えています。また、レストランの中には、フェイスシールドをお客さん一人一人に配って着用させた上で、料理を提供しているところもあります。

そして、現段階ではスペインの観光業を支える美術館や博物館でも入場者数を厳しく制限しているため、時間帯によっては入場までに非常に時間がかかることもあります。

しかし、こうした人数制限により、来場者の中には「人が少ないため好きな作品を落ち着いてじっくり見ることができる」というメリットも感じている人もいます。

こうした感染対策は、すでにスペイン社会の中に浸透し始めており、生活の一部となっているようにも見受けられます。

ウィズコロナの観光業再開に向け、動き始めたスペイン

約3か月間にわたるロックダウンにより、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ方法として、マスク着用・手洗いの徹底・ソーシャルディスタンスの確保という3点の重要性が、スペインでも広く認識されるようになりました。

スーパーマーケットに買い物に行くなど人々の日常行動にはより多くの時間がかかるようになりましたが、こうした生活様式をスペイン国民は受け入れつつあります。国際社会において、日本人の時間厳守の姿勢は他国よりも厳密と評価されることもありますが、今後はスペインでの時間の過ごし方はよりゆっくりと感じられるようになるかもしれません。

また、スペイン人の習慣である、ハグやキスなどのあいさつは、新型コロナ流行を経て、現在ではほぼ行われていません。当然、こうした点を寂しく思う人はいますが、変化も受け入れながら生活していかなくてはならないと考えているようです。

海外からの観光客受け入れが再開されれば、これまで「スペインらしい」と受け止められていたこうした日常の光景がないことに、物足りなさを感じられるのかもしれません。

観光客の受け入れが再開されたとしても、施設によっては引き続き入場制限を行うことも考えられます。食事や、屋内での鑑賞が主となる美術館などの施設の滞在時間は、入場待ちのためにこれまでよりも長時間を見込まなければならないかもしれません。こうした観光客の浮いてしまう時間に対して、スペインの観光業界がどのような働きかけをするのかにも今後注目すべきでしょう。

<参照>

https://www.eleconomista.es/nacional/noticias/10563820/05/20/Espana-suspendera-la-cuarentena-para-viajeros-extranjeros-a-partir-del-1-de-julio.html

https://www.europapress.es/nacional/noticia-boe-publica-ultima-prorroga-estado-alarma-21-junio-20200606090739.html

https://www.eleconomista.es/nacional/noticias/10589374/06/20/El-uso-de-la-mascarilla-seguira-siendo-obligatorio-en-la-nueva-normalidad.html

https://www.abc.es/cultura/arte/abci-vida-regresa-museos-202006070141_video.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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