現在、世界中でベジタリアンやヴィーガン食に対する関心が高まっており、その人口は増加傾向にあります。
2018年の訪日外国人観光客のうち、145~190万人がベジタリアンやヴィーガンに当てはまるといわれており、旅行中のベジタリアン・ヴィーガン食に対する需要があります。
一方で、日本における外食産業のベジタリアンおよびヴィーガン食に対する理解や訴求は、まだ十分とはいえない状況が続いています。
この記事ではアメリカのベジタリアン・ヴィーガン対応レストラン検索サイトの「HappyCow」の紹介を中心に、ベジタリアンおよびヴィーガン食を求める訪日外国人への訴求について解説します。
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HappyCow:ベジタリアン・ヴィーガン対応レストラン検索サービス
HappyCowとは、アメリカ発のベジタリアン・ヴィーガン向けのWebサービスです。ここではHappyCowの基本情報、利用方法や店舗としての登録方法などについて述べます。
HappyCowとは?
HappyCowとは、1999年に創立されたアメリカ発のベジタリアン・ヴィーガンレストランの検索サイトです。
ユーザーは地名や現在地を入力するだけで、近くにあるベジタリアン・ヴィーガン食専門のレストランや、またはベジタリアン・ヴィーガン対応メニューがある店を検索できるようになっています。
日本でも利用が始まっており、2020年4月時点での登録数は2,329店舗に及んでいます。
HappyCowは2020年4月から、日本でベジタリアン・ヴィーガン情報を発信し、訪日ベジタリアン向けのプラットフォーム「素伴 vegmate」を運営するフリーフロム株式会社との提携を開始しており、日本における今後の業務拡大が期待されています。
食の多様化に合わせた検索方法
HappyCowでの検索は食の多様化に対応したものとなっており、それぞれの食の傾向に合わせた数種類のフィルタリングができるようになっています。
「Vegan」では、肉、魚、乳製品が使われていない植物性食品のみ、「Vegetarian」では肉、魚がなく、乳製品、卵、蜂蜜を含むものは対象になります。そのほか「Veg-Options」では、ベジタリアン・ヴィーガン対応メニューがある店が検索結果に含まれるようになります。
さらに、「Filters」の「Stores & more」というオプション選択でパンやアイスクリームなどの植物性食品も検索できます。そのほか、食のカテゴリーやデリバリー対応などもフィルタリングで探せるようになっています。
HappyCowへの店舗登録方法
HappyCowへの店舗登録は以下のように行います。
まずトップページの「Login / Join」から一般ユーザーとして登録を済ませログインします。その後、トップページ右上のメニューから「Add Listing」に進み、店舗の登録を開始します。
「動物性食材の使用・不使用」の基準や規定などを確認の上で、店舗の住所や料理の種類、店の紹介文などの詳細情報を入力すれば登録が完了します。
ただし、登録後にプラットフォーム側の審査があります。審査にあたりオンライン上にベジタリアンメニューの掲載があるかどうかも基準となるため、自社のWebサイトやSNSにメニューを出しておくことが必要です。
また、HappyCowのWebサイトは日本語には対応していないため、英語で登録を進める必要があります。

増加するベジタリアン・ヴィーガン人口
世界中で、ベジタリアンやヴィーガンの人口が増加しています。ここではベジタリアンやヴィーガンについての概況と、日本を訪れるベジタリアン・ヴィーガンの外国人について述べていきます。
世界で人口が増加するベジタリアン・ヴィーガンとは?
観光庁が2020年に発表した「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」によると、ベジタリアン人口は世界的に徐々に増加しており、2018年には約6.3億人に達したということです。
その動機はさまざまで、宗教的な倫理観によるもの、環境保護のため、健康への意識などからベジタリアン食が選ばれています。
基本的にはベジタリアンが肉と魚を食べないのに対し、ヴィーガンはそれに加えて卵、乳製品、蜂蜜など動物性の食品全般を食べないことで区別されます。
ベジタリアンのうち、乳製品を食べる人を「ラクト・ベジタリアン」、卵を食べる人を「オボ・ベジタリアン」と呼び区別する場合もあります。
インバウンド市場でも影響が大きいベジタリアン・ヴィーガン
観光庁の「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」によると、訪日客数上位20か国のうち、人口比でベジタリアンが最も多い国はインド(全人口の28%)で、次に台湾(約14%)、ドイツ(約10%)と続きます。
1年に日本を訪れる観光客のうち145〜190万人がベジタリアンであるとされており、その市場規模は無視できません。
一方で日本ではベジタリアン・ヴィーガンの客層に対する食の選択肢が少なく、また食材に関する表示なども不十分であることから、対応が不十分であるという声が当事者から上がっています。
訪日ベジタリアン・ヴィーガン向け対策の余地あり
同観光庁の調査では、日本を訪れたことのあるヴィーガンおよびベジタリアンの観光客から、日本の飲食店に対して以下のような意見が出ています。
- 日本はベジタリアン・ヴィーガンに対応した飲食店等の数が少ない
- ネットでの情報発信や店舗内外での表示が少なく、飲食店がベジタリアン・ヴィーガンに対応しているかどうかわからない
- 日本で食べたかった食べ物のベジタリアン・ヴィーガンオプションがなく、食べることを諦めた
これらの訪日客需要を逃さないために、ベジタリアン・ヴィーガン向けの対応や情報発信が必要となっています。同観光庁の調査では、ベジタリアン、ヴィーガンに関する基礎知識や対応事例も併せて紹介されています。
訪日ベジタリアン・ヴィーガンが飲食店検索の際に利用できるサービス
HappyCowのほかにも、訪日ベジタリアン・ヴィーガンが飲食店を探すときに利用できるサービスがあります。ここでは3つ紹介します。
Vegewel
「Vegewel」は、植物性の食品に関する情報やオンラインショップ、飲食店の検索サービスを提供しているWebサイトです。
そのうちレストラン検索では1,442店舗(2021年1月現在)の中から、ベジタリアン・ヴィーガン食に限らず、グルテンフリーやオーガニックなどを条件に加えた店舗の検索ができます。
日本語以外にも英語に対応し、訪日外国人も利用できるようになっています。
Yelp
「Yelp」は2004年にアメリカで立ち上げられたローカルビジネスの口コミサイトです。飲食店以外に、医療サービスや美容サロンなども登録されています。
Yelp公表のデータによると、2020年第3四半期までの累計レビュー数は約2億2,100万件、モバイルアプリ経由の月間平均ユーザー数は3,200万人にものぼっています。また実名投稿を基本とすることから、レビューの信頼性が高いことが特徴です。
日本では2014年にサービスが始まっており、日本の店舗が多数登録されていますが、日本語よりも英語のレビューが多い店もあり、訪日外国人客の利用が多いことがうかがえます。
Yelpはベジタリアン・ヴィーガン専用の検索サービスではありませんが、飲食店を検索する際に「ベジタリアン」や「ヴィーガン」などのワードを設定することにより、ベジタリアン・ヴィーガン対応の店舗を検索することができます。
Yelp(イェルプ)とは?導入のメリット・登録方法・活用ポイント
Yelpとは、実店舗にて商品販売やサービス提供を行うローカルビジネスの口コミサイトで、世界32カ国で展開されています(2020年8月時点)。実名投稿を基本とするYelpでは口コミの信ぴょう性が高いことが特徴であり、来店や訪問を決めるにあたって重要な情報の一つとなりえます。また世界中で多くのユーザーに利用されていることからインバウンド集客への活用も期待できるでしょう。本記事では、Yelpの概要や利用するメリット、活用のポイントについて解説します。関連記事ローカルビジネスとは | 語の意味・G...
TripAdvisor
「TripAdvisor」は、宿泊施設や航空会社、飲食店、ツアーやチケットなどの口コミ情報を扱う、世界最大級の旅行コミュニティサイトです。49の国と地域を対象に、28言語でサービスを展開しています。
トリップアドバイザー公表のデータによると、月間平均ユーザー数は4億6,300万人にものぼり(2019年第3四半期)、口コミ総数は8億7,800万件を超えています(2021年1月時点)。
TripAdvisorはYelpと同様ベジタリアン・ヴィーガン専用の検索サービスではありませんが、飲食店を検索する際に「ベジタリアン料理あり」「ヴィーガン料理あり」の項目で絞り込めば、ベジタリアン・ヴィーガン対応の店舗を探せます。
TripAdvisorはアメリカ発祥のサービスであり、特に欧米豪の訪日外国人に支持されています。
拡大するヴィーガン・ベジタリアン市場に向けた情報発信を
ヴィーガン・ベジタリアン市場は年々拡大しており、その需要に対応する必要性が高まっています。
訪日外国人の間でもヴィーガン・ベジタリアンは増加傾向にあり、これらの需要を獲得するためにもベジタリアンやヴィーガンに対応したメニューの作成が求められます。
ベジタリアンやヴィーガンは、自身の主義に合ったレストランを選ぶ際にはそれに特化したサイトを利用する傾向にあり、HappyCowもそのひとつです。
HappyCowをはじめとしたベジタリアン・ヴィーガン対応サイトに登録し、情報を発信することも、これらのニーズにリーチするために大切な手段となります。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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