増加する訪日ベジタリアン・ヴィーガン市場 | 訪日旅行での状況や国内の取り組みを紹介

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食の多様化が進む世界で年々増加の一途をたどるベジタリアン人口ですが、それにともなって訪日外国人のベジタリアン人口も増加傾向にあります。

またひと口にベジタリアンといっても、代表的なベジタリアンに加え、ヴィーガンやラクト・オボ・ベジタリアン、ペスカタリアン、オリエンタルヴィーガン、オリエンタルベジタリアンなど、その区分けは、宗教目的以外にも、環境保全や動物愛護などの背景から多岐にわたります。

今回の記事では、世界におけるベジタリアンやヴィーガン人口の推移、それらが訪日インバウンド市場にもたらす影響、国内で取り組まれているベジタリアン・ヴィーガン向けの取り組みについて紹介します。

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世界規模で増加するベジタリアン・ヴィーガン

2020年に観光庁が発表した「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」では、世界におけるベジタリアン・ヴィーガンの人口は、欧米諸国を中心に毎年約1%ずつ増加し、2018年時点ですでに約6.3憶人に達したということです。

特にアメリカ(中南米含む)における増加は顕著で、1998年には1,600万人だったベジタリアン人口は2018年には4,500万人になるなど、20年で約2.8倍に増加しています。

豆製品の情報を発信するWebサイト「まめプラス」の運営会社不二製油グループが2018年に実施した調査によると、 20~30代のアメリカ人の38.7%が「ベジタリアンである」と回答しています。

日本においてもベジタリアン人口は微増の傾向にあり、ベジタリアン・ヴィーガン向けポータルサイトVegewelによる2019年12月の「第2回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」では、日本のベジタリアン・ヴィーガン率は5.7%となり、前回2017年の調査より1.2%ポイント上昇しています。

そもそもベジタリアン・ヴィーガンの違いとは?

ベジタリアンとヴィーガンは口にする食品の種類によって区別されます。「完全菜食主義者」であるヴィーガンはベジタリアンに比べ制限が多く、動物由来のものを摂取ないし着用せず、卵、乳製品、はちみつ、昆虫もその対象になります。

一方ベジタリアンは、大きく5つに分類されます。

欧米で最も一般的なラクト・オボ・ベジタリアンは、乳製品や卵は摂取しますが、肉、魚介は口にしません。健康維持などを目的としたペスカタリアンは、肉は食べないものの魚介、乳製品、卵などそのほかの食品は口にします。

ベジタリアン・ヴィーガンになる背景には、宗教的理由や動物愛護、環境保護、また健康維持などがあります。

ベジタリアンの分類
▲ベジタリアンの分類:観光庁発表「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」

国内のインバウンド市場におけるベジタリアン・ヴィーガン

つづいては、国内のベジタリアン・ヴィーガン向け市場や、当事者の声を交えながら今後の対策案を紹介します。

訪日ベジタリアン・ヴィーガン市場規模:台湾がトップ

前述の「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」では、2018年の訪日外国人観光客のうち、ベジタリアン・ヴィーガンは約145~190万人、飲食費は約450~600億円規模と推計されています。

国・地域別で訪日ベジタリアン・ヴィーガンが最も多かったのは台湾の64万人で、これは2018年の訪日台湾人全体の14%を占めています。

国内でのベジタリアン・ヴィーガン対応はまだまだ不十分

同調査では訪日ベジタリアン・ヴィーガンへ行ったアンケートの結果も公表されており、以下のような声が聞かれました。

  • 日本はベジタリアン・ヴィーガンに対応した飲食店等の数が少ない
  • ネットでの情報発信や店舗内外での表示が少ない
  • 日本で食べたかった食べ物のベジタリアンオプションがなく、食べることを諦めた

このような意見が聞かれる背景には、国内におけるベジタリアン・ヴィーガンへの理解や対応が不十分であることが挙げられます。

なかでもヴィーガンは、前述の通りあらゆる動物性の商品を消費しないことを主義としています。これはたとえば、日本料理の出汁などに頻繁に使われる鰹節なども口にしないということです。一見野菜しか使用されていないような料理であっても、原料の一部に動物性の食品が少しでも含まれていれば口にしません。

ベジタリアン・ヴィーガンに対応するには?まずは「理解」が必要

訪日ベジタリアン・ヴィーガンへの対応は、まずベジタリアン・ヴィーガンが口にできる食材とそうではない食材について正しく理解することから始まります。

その後、既存のメニューをベースにしながら、肉魚を含まないもしくは動物性の原料を一切含まないメニューを開発していくことが求められます。

たとえば、出汁に使用している鰹節をきのこで代替したり、かまぼこを湯葉で代替するなどの対応が挙げられます。

ベジタリアン・ヴィーガンに対応する準備ができたら、店頭や店舗内での「ベジタリアン・ヴィーガン対応可」の表記や、インターネットを活用した積極的な情報発信を行い、訪日ベジタリアン・ヴィーガンに向けて、口にできるメニューがあることをアピールすることが必要です。

ベジタリアン・ヴィーガンが訪日旅行の際に利用できるオンラインサービス

つづいて、訪日ベジタリアン・ヴィーガンが利用できる国内オンラインサービスを紹介します。

HappyCow

HappyCowは、アメリカ発のベジタリアン・ヴィーガン向け飲食店検索サービスです。

地名や現在地を入力すると、近くにあるベジタリアン・ヴィーガン専門の飲食店もしくはベジタリアン・ヴィーガン対応メニューがある飲食店を検索できます。アメリカのサービスですが、日本でも利用でき、国内では2,329店舗が掲載されています(2020年4月時点)。

2020年4月からは、日本でベジタリアン・ヴィーガン情報を発信し、訪日ベジタリアン向けのプラットフォーム「素伴 vegmate」を運営するフリーフロム株式会社との提携を開始しており、日本における今後の業務拡大が期待されています。

Vegewel

Vegewelは、ベジタリアン・ヴィーガン向けのポータルサイトです。ベジタリアン・ヴィーガン向けに飲食店の検索サービスを提供するとともに、ベジタリアンのほかオーガニックやグルテンフリーなど、健康食に関する情報を広く発信しています。

Vegewelは日本語と英語に対応しており、ベジタリアンやヴィーガン向けの飲食店が1,000店以上掲載されています(2019年12月時点)。

肉、魚介なしのベジタリアン対応料理、動物性の食品や原料を含まないヴィーガン対応料理、その他グルテンフリーやアレルギー対応の料理などのうち、いずれかを提供できる店舗であれば、無料で情報を掲載できます。

airKitchen

airKitchenは日本の料理を学びたい訪日外国人観光客と、日本料理の良さを広めたい人をつなぐマッチングアプリサービスです。

まずホストがairKitchenに料理体験の情報を登録し、訪日外国人観光客とマッチングしたのち、ホストと訪日外国人観光客が一般家庭や飲食店で料理体験を行うというものです。

2020年1月にはベジタリアン・ヴィーガン向けの料理体験の掲載が300件を超え、一見対応が難しいと思われる寿司やラーメンの料理体験も掲載されています。特に日本食を楽しみにして訪日するベジタリアン・ヴィーガンから好評を集めています。

訪日ベジタリアン・ヴィーガン対応事例:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル

ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルでは、以前まで個別対応していたベジタリアン・ヴィーガンメニューの一部を通常メニュー化しました。

通常メニュー化されたのは、東アジアに多いオリエンタルヴィーガンとオリエンタルベジタリアンに特化した料理です。これらを主義とする人の食の制限は基本的にはベジタリアン・ヴィーガンと同様ですが、それに加えて五葷(ごくん)と呼ばれるニンニク・ネギなどのにおいの強い食材を口にしないのが特徴です。

同ホテルは、通常こういった食材を多く使用する中華料理やフランス料理でこれらを使用しないメニューを用意したとして注目を集めています。

ベジタリアン・ヴィーガン人口は増加、多様な食スタイルへの対応が求められる

日本におけるベジタリアンやヴィーガンへの理解や対応は、現状十分とはいえません。

しかし、ベジタリアン・ヴィーガンの人口は、環境保護や健康増進の観点から世界的に増加傾向にあります。人口増加にともない、ベジタリアン・ヴィーガンに対応した食事の需要は今後日本でも高まっていくと考えられます。

飲食店では、まずベジタリアンやヴィーガンがもつ多様な食のスタイルを理解し、それらに合わせたメニューの考案が求められます。さらに、料理が用意できるようになったら、ベジタリアン・ヴィーガン対応店であることを訪日外国人観光客に向けて情報発信する必要があります。

その際、店頭や店内での案内はもちろんのこと、訪日ベジタリアン・ヴィーガンが利用するオンラインサービスなどを通して、積極的にアプローチしていくとよいでしょう。

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【セミナーレポート】「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント


2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
登壇者としては、インバウンドの動向に詳しい訪日ラボ インバウンド事業部長 川西哲平に加え、台湾に本社を置くビッグデータカンパニーVpon JAPAN株式会社営業本部 会田健介氏をお呼びし、「桜」に関するインバウンドデータをもとに、訪日外国人旅行者の最新動向と、「桜のシーズン」に集客を向上させるためのポイントを解説しました。

本セミナーは大好評につきアーカイブ配信を行っておりますので、ぜひご覧ください。

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「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント【セミナーレポート】


【インバウンド情報まとめ 2024年3月】2023年年間宿泊者数 1位は韓国 他

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この記事では、2024年3月版レポートから、2月〜3月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

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インバウンド情報まとめ 2024年3月

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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