新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、旅館・ホテル稼働率の低迷が続いています。
2021年6月(第2次速報)の宿泊旅行統計調査をみると、全国で28.7%、東京都で32.0%でしたが大阪府ではさらに低い21.0%となっています。
しかし、島根県では46.7%など、稼働率の地域格差も浮かび上がってきました。また、東京都と大阪府でも県内客の回復の差が見えています。
その理由について、この記事ではりそな総合研究所のショートコメントを基に紹介します。
関連記事:宿泊旅行統計調査2021年7月
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客室稼働率、関西で特に低迷続く
パンデミック以降の推移をみると、最も稼働率が上昇したのは、Go To トラベル事業が行われた昨秋でした。しかし今年に入ってからは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が続いたこともあり、大阪では20%前後の推移が続いています。
全体としても、1月以降20~30%台の客室稼働率が続いています。
客室稼働率には地域差、背景にコロナ前のインバウンド比率の差
一方、客室稼働率の地域差も目立つようになっています。トップの島根県は46.7%となっていますが、最下位の奈良県では17%にとどまっています。
さらに、下位5県のうち3県を大阪府、京都府、奈良県という関西勢が占めています。
この差について、りそな総合研究所はコロナ前のインバウンド比率の差による影響が大きいとしています。
客室稼働率と、コロナ前である2年前のインバウンド比率を出すと、両者はおおむね反比例の関係となっています。
つまりコロナ前にインバウンドの比率が低かった地域は、直近の稼働率が高く、インバウンド比率の高い地域は、稼働率が低迷しているといえます。
東京と大阪でも稼働率の差、県内旅行客数が影響
一方で、客室稼働率はもともとインバウンド比率が高かった東京都と、大阪府でも差がでています。両県ともインバウンド比率は高いものの、稼働率には東京都32%、大阪府21%と約10ポイントの差がみられます。
りそな総合研究所によると、国内客の回復状況にも客室稼働率の地域差が表れていると指摘しています。
実際に、各県の動きとして、県内からの宿泊客の回復状況をみると、東京はコロナ前の94%という水準にある一方、大阪は66%にとどまっています。
これは、特に東京都を含む南関東で県内からの宿泊客の回復率が高く、大阪府は全国平均程度であるからだとみられます。
コロナ後見すえて支援を
ただし、パンデミックが完全には収まっていない中、今後も客室稼働率が上がりにくい状況が続くと考えられます。
このような地域では、政策的な業界支援が不可欠であり、いずれはGo To トラベル事業の再開も検討する必要があるとみられます。訪日ラボが実施した独自調査でも、「Go To」関連事業再開を求める声が8割を超えました。
感染再拡大の懸念もある中、導入のタイミングは非常に難しくはなりますが、特に訪日客の入国が再開するまでは、業界への支援は欠かせないといえるでしょう。
関連記事:「GoTo」再開希望80%超え。観光事業者の本音は/コロナ禍で浮上した「口コミ管理問題」
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<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査
りそな総合研究所:ショートコメント vol.217(2021年9月8日)
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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
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