日本と韓国は地理的に近く貿易がさかんであり、韓国とのビジネスにあたり、韓国関税に関する正しい知識が欠かせません。
本記事では、韓国関税の種類や課税品目、日本と韓国の貿易関係について解説します。
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韓国関税の基礎
韓国関税率の分類や関税の種類、課税品目について説明します。
韓国関税率の分類
韓国の関税は、「関税法」「関税法施行令」「関税法施行規則」により規定されています。
主に「国定関税率」と「国際協力関税」があり、国定関税率には「基本税率」と「暫定税率」、「弾力関税率」の3種類があります。
基本税率は、国内産業の状況などを踏まえて、長期的な観点から内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定されています。
暫定税率は、政策上の必要性などから、基本税率の暫定的な修正のために、一定期間に限り適用される税率で、常に基本税率に優先して適用されます。
弾力関税率は、「ダンピング防止関税」、「相殺関税報復関税」、「緊急関税」、「農林畜産物への特別緊急関税」、「調整関税」、「割当関税」、「季節関税」、「便益関税」、「一般特恵関税」があります。
様々な関税の種類
韓国の関税は、課税される対象により「輸入税」「輸出税」「通過税」の3種に分かれています。
また、課税の目的により「財政関税」「保護関税」、課税の根拠により「国定関税」「協定関税」の2種に分けられ、課税の方法によっては「従価税」「従量税」「混合税」の3種に分けられます。
従価税は、輸入品の価格に対して税を課すもので、税率が同等であれば、価格が高い物品の方が、税金が高くなります。
従量税は、輸入品の量に対して税を課すもので、個数や重量などを指し、税率が同等の場合、少ないものより多いもの、軽いものより重いもの、小さいものより大きいものの方が、税金が高くなります。
なお韓国では、輸入物品のCIF価格(輸入港までの諸費用を売り手がすべて負担する取引価格)もしくは数量が、課税標準として定められています。
輸入品目の分類は世界共通 高関税品目は野菜など
品目の分類に関しては、世界で取引される各種物品を、世界税関機構(WCO)が定めた統計品目番号に基づき、1つの品目番号に分類したものが使用されています。
輸入時にかかる税は、輸入関税、特別税、追加税、付加価値税の4つで、特別税は、アルコール類、自動車やバイク、石油・れき青油およびその製品などに課せられます。
追加税は、石油に対し1リットルあたり0.02ドル、軽油に対しては1リットルあたり0.04ドル課されます。
非農産品の単純平均譲許税率は10.1%ですが、繊維・繊維製品は平均19.4%(最高35%)と相対的に高い関税率となっています。
さらにガラス製の信号用品及び光学用品(35%)や、銅製品(13~16%)、アルミ製品(13~16%)なども高関税品目となっています。
また農林水産の面で50%を超す高関税品目として、穀物・穀物調製品、乳製品、青果物・植物製品、コーヒー・茶が挙げられます。
穀物やトウモロコシについては、割当枠内税率は比較的低く抑えられています。
いっぽう特に野菜や果物の分野において、ジャガイモや玉ねぎ、マンゴーやイチゴなど多くの品目で、割り当て内でも30~90%の高税率が課されています。
韓国では、関税のほか一律10%の付加価値税が課されますが、未加工の食料品は付加価値税が免税となります。
日本と韓国の貿易
日本と韓国における、昨今の貿易について解説します。
日本と韓国の輸入適用税率
日韓間の輸入適用税率に関して、日本に対しては「WTO譲許関税率」が適用されます。
これはWTO協定上、WTO加盟国・地域に対し一定率以上の関税を課さないことを約束(譲許)しているものです。
その税率が国定税率より低い場合、WTO全加盟国・地域からの産品に対して等しく適用されます。
反ダンピング関税|日本が韓国製品に輸入時の反ダンピング関税を実施
2020年6月29日、財務省と経産省が韓国産の炭酸カリウムに対し、反ダンピング関税の調査を開始することを明らかにしました。
炭酸カリウムとは、液晶パネルなどのガラス製品の原料に使われる素材です。
この調査は、2020年4月に韓国産の炭酸カリウムが不当に安いとして日本の業界団体が課税を求める申請書を提出したことを受けたものです。
ダンピングとは、正常価格よりも大幅に下回る価額で産品が輸出されることを指します。
その結果として、自国の企業(産業)が損害を受けると判断される場合、輸入国はダンピングを防止したり、その効果を正常化するために、反ダンピング関税を課すことができます。
反ダンピング関税はWTOの協定においても、一定の規律の下に認められています。
その後2021年3月11日に、韓国産炭酸カリウムに対して暫定的な反ダンピング関税を課すことが決定されました。
さらに2021年6月18日には、暫定的に適用されていたこの措置が正式に閣議決定しています。
韓国とRCEP協定|海外との貿易の活性化
日本政府は12月6日、韓国との間で地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を2022年2月1日に発効することを決定しました。
一部品目の関税率が0%になるもので、RCEP協定が発効するのは、すでに決まっていた中国やタイに次ぐ16か国目です。
自動車部品においては、エアバッグやカムシャフトなど、約8割の品目で段階的な関税撤廃が見込まれており、韓国向け輸出の拡大が期待されます。
身近なところでは、韓国のマッコリ、ソジュ(焼酎)の関税も段階的に無くなる予定で、将来的には日本で比較的安価に流通する可能性があります。
韓国輸出では、キャンディーや板チョコレートなどの菓子類で、関税が撤廃される見込みとなっています。
RCEP協定は、日本、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟のブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナムと、オーストラリア、中国、ニュージーランドで、2022年1月1日に発効されることが決まっていました。
RCEPは、世界全体のGDP(国内総生産)と貿易総額、人口の約3割を占める、大きな経済圏となります。
韓国も国内手続きを完了して2月1日に同協定に参加するもので、日韓間ではこれが初のEPA(経済連携協定)となります。
日本との貿易がさかんな韓国が参加したことにより、自動車などの国内産業の活性化が期待されます。
関税の基礎を理解 最新事情もチェック
関税の仕組みは国によって異なるため、韓国関税の基礎を理解することは海外取引の上で重要です。
また日本と韓国は近国であり、貿易の動向も変化がさかんに見られます。
さらに長い歴史もあるため、反日感情をもつ韓国人も少なくありません。
関税制度の基礎を理解したうえで、最新事情を常に把握していく必要があります。
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<参照>
経済産業省:第5章 韓国
経済産業省:大韓民国及び中華人民共和国産水酸化カリウムに対する不当廉売関税の課税期間の延長を決定しました
外務省:韓国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の批准書の寄託
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