「SUSHI」「MOTTAINAI」など、もともと日本発祥のモノやアイデアが、英語をはじめとする他の言語にもそのままの形で定着することはしばしばあります。
そんな言葉の一つに、「OMAKASE」があります。日本の「おまかせ」が近年、海を越えて広がりをみせているのです。「OMAKASE」という名前を冠した飲食店やサービスも各国でみられます。
「OMAKASE」はいつ頃から、世界のどの地域で広がっていったのでしょうか。本記事では、世界の検索トレンドをもとに分析していきます。
また、インバウンドの文脈で「OMAKASE」がどう活かせるかについても見ていきます。
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OMAKASEという注文方法はステータスに
OMAKASEは主に飲食店の文脈で使われます。日本の「おまかせ」と同じように、料理の内容を料理人に一任するという意味です。「おまかせで」と注文した場合には、メニューにない料理や、その日に特に状態のいい素材を活かした料理などが提供されることもあります。
高級店で「おまかせ」をすると、通常のメニューから注文するよりも値段は高くなることは日本でもよくあります。このことは、海外の日本料理店でも同じです。
そのため、日本料理店で「OMAKASE」をオーダーすることは、海外では一種のステータスと捉えられているのです。
日本で言うところの高級フレンチでコース料理を味わう、といった体験に近いと考えられます。
メニューにない料理が出てきたり、日によってラインナップが変わったりするOMAKASEを注文することで、その時々でカスタマイズされたメニューを味わうことができます。そうした特別感が、外国人の興味を惹きつけています。
検索ボリュームから見るOMAKASEの広がり
OMAKASEが広まった時期と地域を確認するため、Googleトレンドというツールを使用します。このツールを使うと、ある単語がGoogle検索でどれだけ検索されたかを、グラフで見ることができます。
なお、これから参照するグラフは、期間は全て過去5年間とします。また、グラフで表示されている検索ボリュームは、最も検索数が多かった時期を100とする相対数値となっています。グラフ中の、2022/01/02に表示されている「注」は、「2022年1月1日から、Googleのデータ収集システムが変更された」ことを示しています。
ではまず、全世界でOMAKASEがどれだけ検索されていたかをみていきます。
2020年の3月頃に一度落ち込みましたが、2021年以降は右肩上がりの成長をみせているといえます。
次に、どの地域でOMAKASEがよく検索されていたかを知るために、地域別のインタレストを見ていきます。
シンガポールからマレーシアまで、東アジアから東南アジアの国々が上位に並ぶ結果となりました。
1位のシンガポールでの、OMAKASEの人気度の推移を見ていきます。
やはり2020年後半以降、検索ボリュームが増加しています。2022年にピークを迎えたこともわかります。
次に、東南アジアの中では最もOMAKASEの検索が人気だった、タイでの人気度の推移を見ていきます。
シンガポールに比べると乱高下しているものの、2020年後半から2021年にかけて盛り上がりを見せ、2022年にピークが来ているという点は共通しています。
先に挙げた地域別のインタレストのランキングでは、アジアの国々が上位に並びました。しかしその要因の一つとしては、「人口が少ない地域ほど人気度のスコアが高くなりやすい」というスコア算出上の特性があると考えられます。この特性により、シンガポールや香港といった、比較的人口の少ない地域が上位に並んだと考えられます。
これを考慮して、「人気度のスコアが最も高い、人口1億人以上の国」についても見ていきたいと思います。この条件にあてはまるのは、人気度が全体で11位の、アメリカ合衆国です。
シンガポールとタイに共通していた、人気度の推移の2つの特徴は、アメリカにも当てはまることがわかりました。
すなわち、アジアに限らず、全世界的に「2021年に検索ボリュームが特に上昇し、2022年にピークを迎えた」という傾向が認められます。
未体験のOMAKASEを求め、日本にやってくる外国人
しかし2021年中は、新型コロナウイルスの流行による日本への渡航制限が敷かれており、観光目的の入国は停止されていました。そのため、OMAKASEという言葉が海外で広がっていった期間には、訪日旅行をすることは実質的に不可能でした。
そのため、今後日本を訪れる外国人の多くは、「OMAKASEにあこがれを持ちながらも、まだ本場のOMAKASEは体験していない」、すなわち「未体験のOMAKASEを、日本で味わいたい」というニーズを持っていると考えられます。
「OMAKASEコース」を用意してアピール
今後のインバウンドの回復に向けて、日本の飲食店ができる準備は、ずばり「OMAKASEコースを作っておく」ことです。
超高級店であれば、わざわざメニューにOMAKASEを追加する必要はない場合もあります。客層からしても、OMAKASEの頼み方を熟知したゲストが多いと考えられるからです。またそうしたゲストはOMAKASEの「裏メニュー感」を重んじている可能性もあるので、明示的にメニューに書くのは好ましくないかもしれません。
しかし超高級店以外であれば、OMAKASEコースを事前に用意し、ゲストにもその存在をアピールすることが重要です。OMAKASEに憧れを持って訪日した外国人の、潜在的なニーズを確実につかむためです。
例えば都内の寿司店「築地すしOmakase」では、ディナーのコースとして、価格帯別に「おまかせコース優」「おまかせコース愛」の2つのおまかせコースを用意しています。
店名にも「Omakase」の文言が入っており、訪日外国人向けのアプローチとしては非常に効果的であるといえます。
コストをかけずに、集客力アップが見込める「OMAKASEコース」
OMAKASEコースを用意することで、ネット予約の際にもゲストの目を惹くことができます。
例えば、中国人向けに圧倒的なシェアを誇る口コミサービスの「大衆点評」では、ネット上で飲食店を事前予約できます。そのネット予約の際にも、画面上に「OMAKASEコース」と表示されていれば、他の「○○コース」よりも目につくかもしれません。
「日本のOMAKASEが体験できるなら、このお店に行ってみようかな」と思う外国人が増えれば、インバウンド向けの集客力アップにつながります。
また当然ではありますが、OMAKASEコースを作ること自体にはコストはかかりません。新規メニューを開発するわけではなく、既存のメニューのコースとしての組み合わせを考えればよいので、時間もコストもそれはどかかりません。
OMAKASEで非日常を演出
このように、高級店でなくても、OMAKASEを活用してインバウンド向けのサービス向上・集客力アップを狙うことは可能です。
ですがOMAKASEを提供するうえで重要なのは、ゲストに「OMAKASEの特別感」を味わってもらうことです。ただコース料理を提供するだけでなく、たとえば一品ずつ料理人による説明を加えながら提供する、などといった取り組みで、「特別感」を演出することが必要です。
海外旅行という非日常体験のなかで、OMAKASEというさらなる非日常の体験を提供することが、OMAKASEを通した訪日外国人の満足度アップにつながると考えられます。
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