観光庁「地域観光新発見事業」開始 地方への継続的な来訪を促進

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観光庁は1月25日、「地域観光新発見事業」の説明会を実施しました。地域の観光資源を掘り起こし、多様な観光コンテンツを造成するとともに、適切な誘客につながる販路開拓や情報発信を行うことにより、地方への継続的な来訪を促進するものです。

本記事では、事業の概要や対象となる要件、申し込み方法などをまとめます。

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事業概要:地域観光新発見事業とは

観光需要が本格的に回復する中、観光客の宿泊先はインバウンドを中心に都市部に偏る傾向がみられます。観光による経済効果を地方にも波及するためには、特に地方部の地域間競争力を高め、地方誘客を強力に進める必要があります。

そこで観光庁は、「地域観光新発見事業」として、国内外の観光客の地方誘客を促進する取り組みを行います。

本事業は、十分なマーケティングデータを活かした磨き上げから適時適切な誘客につながる販路開拓及び情報発信の一貫した支援を実施するものです。

例えば「どのように値付けを行うべきか?」といった問いに対し、データを活用して分析・マーケティングしていく取り組みなどが支援の対象となります。

▲地域観光新発見事業:観光庁資料(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001710523.pdf)より抜粋
▲地域観光新発見事業:観光庁資料(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001710523.pdf)より抜粋

新たに観光コンテンツを造成するものに限らず、すでに造成・販売されているコンテンツを進化・改善するもの、販路拡大・情報発信を強化するものも申請可能です。

また、インバウンドに限らず、国内観光客の地方誘客を目的としたものも対象となります。

スケジュール:公募開始は3/8から

本事業の公募期間は2024年3月8日(金)〜4月17日(水)正午までです。

公募要領及び申請様式は、2024年2月上旬に「地域観光新発見事業」公式サイト(https://shinhakken.go.jp/)にて公開されます。

事業実施は、交付決定後から2025年2月28日までとなります。

新創出型、販売型の2類型から選択

本事業の対象は新創出型、販売型の2類型があり、それぞれ要件が異なります。

新創出型

  • 事業終了後に販売開始
  • 観光コンテンツの販売を想定した運営体制を本事業実施期間内に構築すること
  • 観光コンテンツ造成費が事業費の50%以上となるようにすること

販売型

  • 事業実施期間内に販売
  • 観光コンテンツの販売を想定した運営体制が既に構築されている
  • 本事業実施期間内に、SNSや自社ホームページ、OTA等を活用して積極的に情報発信を行い、販売導線を構築すること
  • 本事業実施期間内に販売することを必須とすることとし、販売実績報告書を作成すること

また、それぞれ以下のような実施主体が想定されています。

新創出型

  • 観光の取組が十分に行えていなかった地域において、観光で新事業をスタートアップしたい観光事業者等。
  • 新たに観光コンテンツを造成して地域を活性化し、観光のまちとして積極的にアピールしたい地方公共団体等。

販売型

  • 既に観光コンテンツを造成した実績があり、実際に観光コンテンツを販売している観光事業者等や、観光における一定の成熟した受け入れ体制がある地域やDMO等。
  • 地域において稼げる観光になっておらず、また、十分な収益・誘客ができておらず、販売価格や販路の見直し、情報発信の強化を行うべく、より魅力的な観光コンテンツ造成に向けて、観光コンテンツの内容のブラッシュアップを図り、ステップアップしたい観光事業者等や地方公共団体等。

審査の観点

審査の観点として、

  • 持続可能な観光地域づくりへの寄与
  • 独自性・新規性
  • 具体性・計画性
  • 実施体制・持続性
  • 収益

が評価の対象となります。

なお、都市部の申請も可能ですが、採択案件の80%が地方部となる予定だとのことです。

補助の対象となる経費は

本事業は、事業費600万円以上の取組を補助対象としています。(補助額は1,250万円が上限となります。)

経費には、

  • 事業費(補助対象経費)
  • 補助対象外経費
  • 費用総額

があり、1の額に応じて補助額が決定します。

対象となる経費一覧は以下の通りです。

観光資源を活用した観光コンテンツの造成に係る経費>

  • 観光コンテンツ、旅行商品等の企画開発
  • 名産品、クーポン券等の企画開発
  • ワークショップ、協議会等の開催
  • 専門家からの意見聴取
  • ガイドの育成、観光イベントの実施
  • 観光戦略の策定
  • 地域事業者等に対するセミナーの開催
  • 造成した観光コンテンツに関するモニターツアーの開催
  • 効果測定に必要な調査等

<備品の購入・設備の導入に係る費用>

  • 観光コンテンツ造成等に必要となる備品の購入や設備の導入等(真に必要不可欠なものに限る。)

<販路基盤整備・プロモーションに係る経費>

  • 造成した観光コンテンツを販売するために必要となる写真、動画、ホームページ等、対外的な情報
  • 発信のための素材やツールの作成
  • 造成した観光コンテンツの販路拡大を目的した販路
  • 基盤整備・プロモーションに係る経費
  • 造成した観光コンテンツに関するファムトリップやインフルエンサー招聘等

また、補助対象外の経費となるのは以下です。

  • 本事業に直接関係のない経費
  • 交付決定前に発生した経費
  • 事業者における経常的な経費(運営に係る人件費及び旅費、事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費及び通信料等)(注)
  • 旅行者が受益する、景品の購入や割引に係る経費
  • 実施主体の会食費、弁当代等の飲食費
  • 本事業における資金調達に必要となった利子
  • モニターツアー参加者の実施場所への旅費

伴走支援について

本事業では、観光事業経営に必要な知見と技術の提供により、本事業を通じて開発・販売する観光コンテンツを活用した事業の中長期的継続を支援する「伴走支援」が用意されています。

支援の種類としては、「申請前支援」「伴走支援(事業計画磨き上げ支援・事業実施支援)」の2種類があります。

申請前支援は以下の3種類です。

  • 観光マーケティング分析支援
  • 地域観光新発見スペシャルトークの開催
  • 地域観光新発見オンライン講座の公開

伴走支援には以下の7種類があります。

  • 専門家によるオンラインセミナー等の開催
  • 販路開拓・情報発信支援
  • 地域内での事業者間交流の促進
  • 事業に関する進捗確認・個別相談の実施
  • 「地域観光サポーター」によるアドバイスの実施
  • 旅行会社との商談会の開催
  • 成果発表会の開催

これに加え、「事業の収益性や付加価値が非常に高く、地方誘客を強力に進めることができ、高い事業成果を目指す限りないポテンシャルがあると認められる事業」を「重点支援事業」と認定するということで、選ばれた場合は伴走支援等を重点的に活用できます。

具体的には、以下のような支援が想定されています。

  • 採択案件公表時における観光庁プレスリリースでの紹介
  • 専門家によるアドバイス、事務局や運輸局による支援
  • OTAとのタイアップによる販売促進
  • 成果報告会にて優先的に発表の機会を創出

なお、「重点支援事業」は全体で50件程度となる予定です。

申し込み方法について

公募要領及び申請様式は先述した通り、2024年2月上旬に地域観光新発見事業サイト(https://shinhakken.go.jp/)にて公開されます。また、公募期間は2024年3月8日(水)~4月17日(水)正午までです。

必要書類は以下の通りです。

  • 事業計画書
  • 費用積算書
  • 事業実施スケジュール
  • 事業概要
  • 市区町村の同意書(事業の実施予定エリアの全市区町村)
  • 連携先の同意書(すべての連携先事業者)

また、記載項目については以下のように注釈がありました。

<収益性>

  • 観光マーケティング分析を行い、本事業を通じて得られる収益と必要な費用や想定される国内観光客又はインバウンドの誘客数等を、算出の根拠と合わせて、本事業の事業年度及び翌年度、翌々年度の3年間記載する

<想定される観光資源や磨き上げを行う観光コンテンツの例>

単に観光資源をそのまま観光コンテンツとして活用するのではなく、以下のようなものを記載。

  • ターゲットとなる国内観光客やインバウンドを想定し、地域にとって経済効果の高い魅力的な観光コンテンツに適切に磨き上げるもの(市場別・ターゲット別の売れ行きや満足度、経済波及効果を把握し、域内調達率が高く、地域への経済波及効果が高いもの)
  • 顧客の体験価値の向上を重視したマーケットインの発想で観光コンテンツを磨き上げるもの(地域一体で地域が持つストーリーを体現し、訪問者に「本物の体験」を提供することを目指すもの)
  • 観光コンテンツが、新たな来訪の目的の創出、観光消費の場の提供、より長期の滞在への誘因、異文化との交流拠点等に資するものであることが期待される

複数事業への応募・実施主体について

観光庁インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」など他事業に採択された事業者も応募可能かについては、応募は可能とのこと。ただし採択された事業と同一内容は不可で、課題等を踏まえて新たに造成するものか、すでに造成・販売されているコンテンツを進化・改善するもの、販路拡大・情報発信を強化するものであれば申請が可能だということです。

また、実施主体は「◯◯協議会」などの任意組織や中間組織でも良いのかについては、実施主体になることは可能で、観光事業者のみならず企業が実施主体になることも可能です。

地方公共団体が実施主体の場合、委託事業者をプロポーザルで公募し委託することは可能かについては、可能だということです。プロポーザルで公募する場合は、委託事業者が特定した後に交付決定となります。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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