セルフオーダー導入で、インバウンドの客単価・売上アップ!? 飲食店DXの成功事例を取材した

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昨今、多くの飲食店で導入されているセルフオーダー。店舗の業務効率を高めるツールとして注目されていますが、実はインバウンド対策においても有用なツールであることをご存じでしょうか。

オーダーシステム『Airレジ オーダー』をはじめとした、店舗の業務・経営支援サービス『Air ビジネスツールズ』を提供する株式会社リクルートによると、飲食店でのオーダーシステムの採用が、インバウンドの客単価・売上向上にも繋がる事例が増えているといいます。

そこで今回はその実態について探るべく、株式会社リクルートの『Airレジ オーダー』開発担当の関口氏と、実際に『Airレジ オーダー』を店舗に導入している「香と酒と肴 No.11(東京都渋谷区)」の店長・渡辺氏に取材しました。

Airレジ オーダー
▲Airレジ オーダー:訪日ラボ撮影

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生産性アップやコスト削減に役立つセルフオーダーシステム。導入件数は右肩上がり

まずは株式会社リクルートが提供するオーダーシステム『Airレジ オーダー』の開発担当の関口氏に、セルフオーダーシステム市場全体の動向や『Airレジ オーダー』について伺いました。

── 最近、特に飲食店でセルフオーダーをよく見かけるようになりました。市場全体の動向として、やはり伸びてきている印象はありますか?

関口氏:そうですね。おっしゃるとおり、セルフオーダーの導入はここ数年でとても進んでいます。参考までに、2014年に当社がリリースしたPOSレジアプリ『Airレジ』のアカウント数は2024年3月末時点で84.9万件にまで伸びており、その後2020年にリリースした飲食店の業務をカンタンにするオーダーシステム『Airレジ オーダー』に限って見ても、前年の2.4倍という勢いで導入件数が増えている状況です。

リクルート Airレジ オーダー 開発担当 関口氏
▲Airレジ オーダー 開発担当 関口氏:リクルート提供

── 需要が急拡大していることがわかりますね。その背景はどういったところにあるのでしょうか?

関口氏:やはりコロナ禍による習慣の変化が大きく影響していると考えています。飲食業界では「非接触」が強く求められましたし、『Airレジ オーダー』もそんな背景からコロナ禍真っ只中に急いでリリースを進めたサービスでした。

状況が落ち着いた今も、飲食業界にはお客様が十分に戻ってきているわけではありません。以前のような大規模な宴会は少なくなりましたし、市況としてはまだまだ落ち込んでいます。そんな状況の中、従来の新規集客に頼った営業スタイルのままでは限界があります。ですからツールを活用して、生産性アップやコスト削減、顧客満足度向上などに注力しようとするお店が増えているように思います。

── なるほど。実際に『Airレジ オーダー』では、どんな理由で導入を決める店舗が多いのでしょうか?

関口氏:一番多いのは、人手不足で悩んでいるケースでしょうか。コロナ禍で業界を離れてしまった働き手がなかなか戻ってきておらず、回復する需要に追いついていない状況です。「以前と同じオペレーションでは店が回らない」「このままだとサービスレベルを維持できない」といった悩みから、オーダーシステムの導入を決める店舗が多いようです。

飲食業界では、たとえば紙の伝票に手書きで注文を受けていたり、注文があるたびにスタッフが直接キッチンまで行って伝達していたり、人によってメニューの書き方や伝達の仕方が違っていたり…と、「ムリ・ムラ・ムダ」の3つがまだまだ多く存在します。実際、『ホットペッパーグルメ』等のサービスを提供してきた当社は、多くの飲食店がそうした負の要因によってミスが発生したり、料理の提供が遅れてしまったり、顧客満足を失ってしまったりしている状況を目の当たりにしてきました。それをどうにか解決したいと作ったのが『Airレジ オーダー』をはじめとしたツールなので、意図通りに活用いただけていて嬉しい限りです。

訪日客の客単価UPにも?インバウンド対策としてのセルフオーダーシステム

── セルフオーダーがインバウンド対策に役立っているケースもあると伺いましたが、どのように活用されているのでしょうか?

関口氏:第一に、言語面の対策として活用されています。

先ほどもお話ししたとおり、コロナ禍を経た今、飲食店には客足が戻ってきている一方で働き手の確保が間に合っていません。そんな中インバウンドのお客様が増えているわけですが、外国語での接客やメニューの翻訳などのプラスαのサービスにはとても対応しきれないというのが多くの飲食店の本音です。

そんな中で、注文時の多言語対応をサポートするツールが増えています。たとえば弊社の『Airレジ オーダー』であれば、スマホのブラウザの翻訳機能を利用してメニューを英語や中国語、韓国語などで表示できる* ので、外国語に苦手意識のあるスタッフの方が無理に頑張らなくてもよくなりますし、海外からのお客様もストレスなく注文することができます。

* 端末の言語設定が日本語以外の場合に、ブラウザの翻訳機能の使い方を説明するポップアップを表示し、英語や中国語で表示する仕組み

── 訪日外国人が急速に増えている中、かなりの効率化に繋がりそうですね。

関口氏:そうですね。でも実は効率化だけではなく、インバウンドにおける売上や客単価の向上に繋がったという事例も増えているんです。『Airレジ オーダー』ではメニュー名だけではなく商品説明も掲載できますし、メニュー写真も掲載できるので、インバウンドのお客様にとって非常にオーダーしやすいのだと思います。

多くの飲食店から「海外からのお客様の注文が増えた感覚がある」「メインどころだけでなく、こんなメニューまで外国人がオーダーしてくれるようになった」という嬉しいお声が多数届いています。

リクルート Airレジ オーダー 開発担当 関口氏
▲Airレジ オーダー 開発担当 関口氏:リクルート提供

── 確かに、自分が海外で食事をする時を想像してみると、「メニューが読めないからオススメされたものでいいや」「なんとなく想像がつくこれにしておこう」「慣れない言語で店員さんに声をかけづらいな…」みたいな考えになりがちかもしれませんね。

関口氏:そうなんですよね。そこには当初、システムを開発した私たちも想定していなかったような機会損失があったわけです。これまでも外国人のお客様が来店された時には、スタッフの皆さんがなんとか頑張って注文対応をしていたんじゃないかと思います。しかし、セルフオーダーシステムがインバウンドの売上や客単価アップにも繋がっていることから、言語の壁で注文を諦めてしまうお客様や、店員が忙しそうだからと遠慮してしまうお客様がいるということがわかってきたんです。

── 忙しい時に注文を遠慮してしまうというのは、外国人に限らず日本人のお客様でも起こり得ますよね。スタッフの負担も軽減し、お客様の満足度も上がり、最終的に客単価や売上向上につながるというのは、本当に理想的な状態だと思います。

関口氏:さらに直近は、外国人にとって特に注文が難しいであろう券売機のラーメン店や、外国人の利用の多いホテル・結婚式場内の飲食店などでも導入されています。今後も、訪日需要も含めて業界をとりまく問題を改善するような機能を多数追加していく予定なので、『Airレジ オーダー』の導入を検討したい事業者様がいらっしゃれば、お気軽にご相談いただきたいと思っています。

オーダーシステム導入事例

続いて、実際に『Airレジ オーダー』を導入している「香と酒と肴 No.11」の店長・渡辺氏にお話を伺いました。

香と酒と肴 No.11(東京都渋谷区)
▲香と酒と肴 No.11(東京都渋谷区):訪日ラボ撮影

── オーダーシステムを導入した理由やきっかけなどについて教えていただけますか?

渡辺氏:当店では全40席のお客様をキッチン・ホール兼任のスタッフ2名体制で受け入れています。そのため、注文や会計に対応する手間をできるだけ削減したかったというのが一番の導入理由です。スタッフが注文の度にホールへ出ていくのも手間なので、オーダーシステムを導入することによって、注文や会計の対応そのものがスムーズになることはもちろん、キッチンとホール間の移動が抑えられる点も魅力でした。

また、海外のお客様の来店も少しずつ増える中、既存のスタッフでは人員的にもスキル的にも十分な外国語対応ができないのも課題の一つとしてありました。

香と酒と肴 No.11
▲香と酒と肴 No.11 店長 渡辺氏:訪日ラボ撮影

── インバウンドの利用が増える中で、対応に課題を感じていたわけですね。実際にどの程度の外国人客が来ているのでしょうか。

渡辺氏:特段、海外のお客様向けにメニューの開発や集客を行っているわけではありませんし、日本食を提供しているわけでもありませんが、それでも今では全体の10%くらいは訪日外国人の利用になっていますね。渋谷という立地の影響も大きいです。別のお店の予約時間まで1杯だけ飲んでいく方もいれば、旅行中毎日のように食事に来る方もいますね。カウンターに一人で座る方や、友人・家族と一緒の方など、様々なニーズの方にご来店いただいています。

── 様々なニーズを持つ外国人のお客様が来る中、『Airレジ オーダー』をどのように活用されていますか?

渡辺氏:まずは、『Airレジ オーダー』の翻訳機能がとても役立っています。メニューが自動で英語・中国語・韓国語に翻訳されるので、外国人の方が来た時も特別な説明や接客なしでスムーズにオーダーしていただけています。全てのメニューでメニュー名のほか詳細説明も翻訳されますし、料理写真も表示されるので、海外のお客様にとっても口頭で説明されるよりイメージしやすいんじゃないかと思います。

── 翻訳機能のほかに、インバウンド対策の一つとして役立っている機能などはありますか?

渡辺氏:オススメのメニューも設定できるので、外国人観光客に人気のジャパニーズウイスキーを表示させています。見つけてもらいやすくなるため、それを見た外国人のお客様の多くは実際にオーダーしてくれていますね。

── 海外のお客様の中には、セルフオーダーに馴染みのない国や地域の方々もいるのではと思うのですが、戸惑いや問題などは生じていませんか?

渡辺氏:全然問題なく使ってもらえていますね。外国人も日本人も、本当に幅広い客層の方に来ていただいているのですが、どんなお客様にもスムーズに活用いただいています。時折、年配のお客様から「やり方がわからない」といった声もありますが、「このQRコードを読み込んで…」と簡単に説明をすればすんなりと使っていただけます。国籍や年齢層などの違いで戸惑っている様子はほとんど感じられません。

── そうなんですね!オーダーシステムを導入してよかったことが他にあれば教えていただけますか?

渡辺氏:インバウンド対策に限った話ではありませんが、お店の同じAirIDで連携している『Airレジ』と組み合わせて、単に店舗運営に伴う様々な工数の削減や効率アップに繋がるだけではなく、店舗のファンづくりにも貢献してくれています。予約時点でお客様が何回目の来店か表示されるようになっているので、前回オーダーされたものを来店前に予習することで、心地よい接客やスムーズな料理の提供に活かしているんです。

顧客情報に店側がメモできる機能もあるため、たとえばアレルギー情報、好み、一杯目に注文されるドリンクなど、オーダー履歴だけではわからないような情報を当店では記録します。その情報によって、次回来店時に「いらっしゃいませ、ビールでいいですか?」といった声かけや「これお好きでしたよね」というような会話ができるんです。

Airレジ・Airレジオーダー・レストランボードを組み合わせることで、注文・会計・顧客管理までできるように
▲Airレジ・Airレジオーダー・レストランボードを組み合わせることで、注文・会計・顧客管理までできるように:リクルート提供

渡辺氏:今までは各スタッフが脳内で覚えていたようなものだと思いますが、デジタルで取り込むことで取りこぼしもなくなります。

こうしたシステムを活用することで、限られた人員での店舗運営でありながら、お客様に喜んでもらえるような接客ができていると思います。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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