南海トラフ地震に警戒感強まる…今こそ考えたい、災害時のインバウンド対応

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8月8日に宮崎県で発生した震度6弱の地震を機に、気象庁から発表された「南海トラフ地震臨時情報」。平時と比べ、大規模地震が発生する可能性が高まっているということで、鉄道各社が一部区間で運休・徐行するなどの対応をとっています。

また、大規模地震への警戒感が強まる中で、旅行業界にも影響が。例えば韓国SNS上では、「日本旅行を中止するかどうか悩んでいる」といった声が上がっているようです。

本記事では、南海トラフ地震の臨時情報が旅行業界に与える影響や、災害時のインバウンド対応などについて改めて確認します。

※追記:なお気象庁は、南海トラフ地震臨時情報について、このまま地震活動や地殻変動に変化が観測されなければ、15日17時をもって防災対応の呼びかけを終了するとしています。


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訪日旅行中止も?韓国SNSで不安の声あがる

韓国メディア・毎日経済は8月11日、8日に宮崎県沖で発生したM7.1の地震や、その後気象庁から発表された「南海トラフ地震臨時情報」により、巨大地震の可能性が高まり、韓国SNS内で不安の声が広がっていると報じました。

韓国ネット上の日本旅行コミュニティでは、「明日福岡に行こうとしたが、すぐに取り消した」、「手数料を支払って旅行を取り消した」といった書き込みが寄せられているようです。またSNS上では、「南海トラフ地震で最も安全なのは北海道」「大阪は危険そうだが、京都に行けば大丈夫だろう」などの書き込みが寄せられているということです。

<参照> 毎日経済:宮崎県でマグニチュード7.1の地震 気象庁、巨大地震注意発表 円、今月に入って950ウォン台に上昇

旅行業界・インバウンド業界への影響は?

大規模地震への警戒感が強まる中で、旅行業界にも影響がありそうです。例えば個々人で旅行を控える動きのほかにも、花火大会などのイベントの中止が発表されています。

野村総合研究所(NRI)は8月13日、「南海トラフ地震への警戒が経済に悪影響」と題したコラムを公開。旅行関連消費への影響について、東日本大震災発生時の傾向をもとに、以下のように試算しています。

南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)による個人消費の顕著な抑制傾向が、3か月程度続き、その際の落ち込みが東日本大震災の前年比-3.4%になると仮定してみよう。
2023年の実績から、旅行・観光消費は3か月間で1,862億円減少する計算となる。さらに、外国人入国者の国内での旅行関連消費。インバウンド需要も同じ程度減少する(2024年4-6月期まで1年間で6兆9, 700億円)と仮定すれば、それは592億円となる。両者を合計すれば2,454億円である。

つまりインバウンド消費においては、仮に南海トラフ地震への警戒感による個人消費の抑制傾向が3か月続く場合、592億円の消費の落ち込みが発生するとしています。

これは4-6月期のインバウンド消費(2兆1,370億円)の約2.8%にすぎませんが、国内の旅行消費も合わせると一定の影響があると言えます。また、実際に震災が発生した場合は、当然ながらさらに甚大な影響となります。

<参照> 野村総合研究所:南海トラフ地震への警戒が経済に悪影響:旅行関連消費は1,964億円程度減少も

インバウンド向けの防災対策は?

今回発生した地震のほかにも、台風などの自然災害が多い国・日本。訪日外国人客が災害に巻き込まれる可能性が高い国だといえます。しかし外国人にとっては、トラブルが発生した際に、自分がどのような状況に置かれているのか、どのように対応すべきかなど、必要な情報を手に入れることが難しいのが現状です。

インバウンド向けの事業を展開している企業では、これを機にインバウンド対応を含めた震災への備えを強化していく必要があるといえます。

では、以下でインバウンド向けの防災対策について解説します。

多言語での災害情報の発信方法

訪日外国人観光客が災害に関する正確な情報をキャッチするためには、多言語での情報発信が求められます。商業施設などでの「多言語非常用放送」や、複数言語で災害時に必要なフレーズを流せる「多言語メガホン」、旅行時にも役立つポケトークなどの「小型翻訳機」、観光庁監修のもと開発されたインバウンド向けの災害情報発信アプリ「Safety tips」など、災害時に迅速・正確に災害情報を発信できるツールがあります。

関連記事:災害時に役立つコンテンツ5選

また、内閣府のほか5つの省庁が連携して、外国人に「災害から身を守る方法」を知ってもらうための啓発ポスターが作成されています。

ポスター内に表示されているQRコードを読み取ると、15言語に対応したWedサイトを閲覧できます。

関連記事:内閣府などが作成「外国人のための減災ポイント」ポスター

情報発信だけでは足りない?訪日旅行者側に災害時の準備をしてもらうことも重要

一方、事業者からの情報発信だけでなく、訪日旅行者側に災害が起きた際の行動を意識しながら旅行してもらうことも重要です。自国で震災のような災害を経験したことがない人にとっては、「何が起こるのか」「どうしなければいけないのか」などわからないことが多いといえます。

例えば、平時から「今いるところからどこに避難すべきか」「どこで情報を得られるのか」といった情報を訪日旅行者側に意識しておいてもらうだけでも、スムーズな避難につながります。災害が起きてからの対応だけでなく、起きる前からこうした情報の周知を行っていくことが求められます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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