観光庁は8月、2025年度の予算概算要求を公表しました。概算要求の総額は約628億円で、前年度比で1.2倍と増加しました。
その中身を見ると、例えばインバウンドの地方誘客促進に向けた事業や、人材不足の対策事業には、それぞれ前年度比約3倍の予算がついています。他にも観光産業の再生促進事業や免税店のモデル構築事業が新設されるなど、前年度に比べて観光庁が注力しようとする事業が見えてきます。
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2025年度予算の概算要求、前年度から微増
観光庁は2025年度の予算概算要求を公表し、総額は約628億円と前年度比で1.2倍の増加となりました。
内訳としては、一般会計が前年度比1.5倍の約150億円、復興枠が前年度と同額の約7.7億円、そして「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」については、前年度比約1.2倍となる470億円となりました。
予算が最も多いのは「戦略的な訪日プロモーション」
最も多い予算となったのは、「地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組」の中の「戦略的な訪日プロモーションの実施」で、55億円となりました。昨年から引き続き最大の予算が計上されています。
※「国際観光旅客税を利用したより高次元な観光施策の展開」を除く
観光立国推進基本計画の目標の達成や、大阪・関西万博を契機とした日本各地の魅力発信などに向けて、効果的なプロモーションに取り組む必要があるとしています。日本政府観光局(JNTO)が軸となり、市場別・テーマ別などでプロモーションを行います。
増加率が高かったのは「ユニバーサルツーリズム」創出事業
最も増加率が高かったのは、「国内交流拡大」の中の「観光庁・観光産業におけるユニバーサルツーリズムの創出事業」で、前年度比約9.3倍となる5億円でした。
インバウンドの地方誘客促進に向けた事業・人材不足対策事業が前年度比3倍の予算に
インバウンドに関わる予算では、「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」「観光地・観光産業における人材不足対策事業」において、それぞれ前年度比3.33倍、3倍の予算が計上されています。その他、「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」「持続可能な観光推進モデル事業」「通訳ガイド制度の充実・強化」など、多くが前年度より予算微増となっています。
増加率が高かった「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」は、インバウンドが災害に遭った場合や医療機関を受診する際の安全・安心を確保する事業となっています。地域の危機管理体制の検討・構築、多言語での正確な情報発信、観光施設などにおける非常時対応機能強化、医療機関におけるキャッシュレス導入などを推進します。
続いて「観光地・観光産業における人材不足対策事業」では、昨今大きな課題となっている宿泊業における人材不足対策を推進します。具体的には採用活動等の対策から、機械化・DX化、外国人材の活用、経営の高度化など、あらゆるフェーズの対策を総合的に実施するとしています。
新たに観光産業再生促進事業 / 免税店のモデル構築事業
また、新たな事業として「観光産業再生促進事業」に3億円、「地方部における新消費税免税店モデル構築等事業」に5,000万円が盛り込まれました。
「観光産業再生促進事業」は、債務を抱えつつも再生能力があると見込まれる宿泊事業者に対し、コンサル事業者の派遣や宿泊業運営に精通した事業者とのマッチングなどを行い、事業再生の後押しを図る事業となっています。
「地方部における新消費税免税店モデル構築等事業」では、地方部で工芸品・特産品等の高単価商品を販売している小売店を中心に、免税店化のモデル実証事業を行います。
実証事業を通じて免税店化の課題を収集し、他地域への事例展開にも活かすとしています。
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