カスタマージャーニーとは、顧客が自社の商品を購入するまでのプロセスを分析し、可視化させたもののことをいいます。
カスタマージャーニーを作成することで顧客の動きが分かるため、顧客が商品やサービスを購入する理由や現在の業務が抱えている問題点が明確になります。
インバウンド需要が増加する今、カスタマージャーニーを活用することで、訪日外国人がどのような情報を必要としているか、どのタイミングで何に関心を持つかが明確になため、インバウンド施策をより効果的に設計・実行できます。
今回は、カスタマージャーニーの意味と注目されている理由、活用方法や作成手順について紹介します。
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カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客が商品やサービスを購入する過程を可視化したものです。
顧客のペルソナ像がどのような過程を経て、商品やサービスの購入に至るのかを分析することで、業務の改善に活かせます。
一昔前のマーケティングにおいて、顧客と企業をつなぐチャネルはテレビ、雑誌、新聞など古くからある媒体のみでした。しかし、インターネットやSNSの普及により、顧客が情報を収集したり購入に至ったりするチャネルは複雑なものとなっており、以前より顧客の動きを把握することが難しくなりつつあります。
そのため、顧客の行動を可視化できるカスタマージャーニーは、さまざまなチャネルから企業とつながる顧客を俯瞰できる手段として、現代のマーケティングにおいて顧客一人ひとりに合ったアプローチを模索するために広く活用されています。
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーの各過程における行動や感情、課題や解決策をまとめた表をカスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)と呼びます。
具体的には、商品やサービスの認知、購入や利用、そしてそれに対する評価をつけるところまで、どのようなアクションが発生しているかをカスタマージャーニーという言葉で表現しています。
単に顧客の行動を追跡するだけでなく、プロセスの中での顧客の思考や感情にまで分析の範囲を広げ、一連の流れをまとめることでマーケティングに活かせます。
カスタマージャーニーを作るメリット5つ
もう少しイメージを膨らませるため、カスタマージャーニーを作成することで得られるメリットを5つ紹介します。
1. 顧客に対する理解が深まる
カスタマージャーニーを作る最大のメリットは、顧客に対する理解が深まることです。
顧客が商品を購入するまでの動きを追うことで、顧客がどのような目線で企業や商品、サービスを見ているのかが明確になり、顧客のペルソナ像が割り出せます。
2. 社内の認識を統一できる
カスタマージャーニーを周知させることで、マーケティングに携わる者同士で顧客に対する認識を統一させ、サービスに一貫性を持たせることができます。
これにより、企業が提供するイメージと顧客が受け取る印象とのギャップを解消することが期待できます。さらに、社内外で共通認識や相互理解が深まり、施策の効果を高めることにもつながります。
3. マーケティング施策に活かせる
カスタマージャーニーで得られた情報は、マーケティング施策にも活用できます。
たとえば、認知段階ではブログ記事やSNS投稿、検討段階では製品比較資料や顧客事例を作成するなど、顧客のニーズに応じたコンテンツ提供が可能になります。
4. マーケティングを効率化できる
ジャーニーの中で課題が大きいポイントを特定し、リソースを集中投入することで施策の優先順位付け、効率を向上させられます。
5. パーソナライズされた体験を提供できる
顧客の行動データを基に、個別ニーズに対応した施策を展開できます。たとえばメールマーケティングでは、過去の購入履歴をもとに関連商品を提案したメールを送ることができます。また旅行業界では、以前訪れた旅行先や関心を持ったツアーの履歴から、新しいプランをおすすめすることが可能です。
カスタマージャーニーの活用法
カスタマージャーニーはマーケティングにおいてどのように活用されているのでしょうか。ここでは、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)、ボトルネックの発見、解決策の立案という3つの観点からカスタマージャーニーの活用方法を紹介します。
カスタマーエクスペリエンスの意識
カスタマージャーニーの作成により割り出した顧客のペルソナ像は、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の改善に活用できます。
顧客が商品やサービスに対して期待している要素を明確にし、期待を超えられるような対応を提供できる業務体制を構築することで、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)やロイヤルティ(愛着)の向上につながります。
ボトルネックの発見
カスタマージャーニーを作ることで、顧客の行動を過程ごとに分析できます。各過程における問題点を認識することで、全体の足を引っ張っているボトルネックの発見にもつながります。
ボトルネックを優先的に改善することで、少ないリソースの投入でカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を大きく向上させることも期待できます。
解決策の立案
カスタマージャーニーにより浮き彫りになった問題点に関して、それぞれ解決策を立案する必要があります。立案した解決策に改めて目を通し、中でも難易度の低いものや少ないリソースで解決可能なものから手を付けていくと良いでしょう。
カスタマージャーニーマップの作成手順
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを知り、購入、利用、さらには再購入に至るまでの一連のプロセス(ジャーニー)を視覚的に表現した図やフレームワークです。
カスタマージャーニーを考えるうえで、カスタマージャーニーマップがとても役に立ちます。ここでは、カスタマージャーニーマップを作成する手順について紹介します。
1. ペルソナを設定する
カスタマージャーニーマップの作成にあたって、まずペルソナを設定します。
ペルソナは顧客をひとつの人格にモデル化したもので、興味や関心のみならず、生い立ちや性格、職業、ライフスタイルなど、架空の人間を詳細にデザインします。このようにデザインされたペルソナが、商品やサービスを購入する顧客として想定されます。
カスタマージャーニーを作成する際には、ペルソナが商品やサービスを購入する過程を分析します。
2. フレームを設定する
ペルソナを作成したら、次にフレームを設定します。フレームは、カスタマージャーニーマップにおける各項目を表にしたものです。
横軸では、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの過程を時系列順に並べます。「認知・興味、情報収集、比較検討、購入、購入後」の5項目が主に用いられています。
縦軸では、各過程におけるペルソナの状態が記されます。「顧客の行動、タッチポイント、顧客の心理・感情、課題、改善策」の5項目が主に用いられています。
3. ペルソナの行動・心理を書き込む
各段階での顧客の行動や心理を具体化します。
4. 対応施策(タッチポイント)を洗い出す
顧客と接点のあるポイントを特定し、対応施策を整理します。顧客が接触するタッチポイントごとにを提供する情報や施策を設定することができます。
たとえば、認知・興味段階であればSNSや広告などが、検討段階であれば、商品ページやECサイトなどが挙げられます。
5. 課題を抽出する
ジャーニーマップから、顧客が離脱するポイントや不満を感じる箇所を特定し、顧客の障壁や課題を明確にしましょう。
どのタッチポイントで改善が必要かを明確にすることで、次のアクションにつながります。たとえば、「情報収集段階でレビューが不足しており、他社サイトに流れてしまう」という課題があれば、レビューを増やす施策が考えられます。
また、「購入ページで決済方法が分かりにくく、カート放置が多い」という課題があれば、決済方法の簡略化を検討できるでしょう。
ジャーニーマップの作成により得られた課題を、改善に活かしていくことが大切です。
6. PDCAサイクルによる改善を行う
抽出した課題を解決するために改善計画を立て、実行し、結果を分析して反映していきます。ジャーニーマップは、1度作成して終わりではなく、以下のようなPDCAサイクルを回して、進化させていきましょう。
- Plan:課題解決のための改善計画を立てる
- Do:改善施策を実行
- Check:効果を測定し、データを収集
- Action:改善結果を反映し、マップを更新
たとえば、レビュー不足が課題であれば、改善施策として顧客からのレビュー収集を強化し、商品ページに反映させ、比較検討段階での離脱が改善できているか確認します。
カスタマージャーニーマップ作成時の注意点
カスタマージャーニーマップの作成には、注意すべき点が3つあります。
顧客の視点を持つという作業は、販売側にとっては困難である場合もあるので、慎重に作業に取り組むことが大切です。
1. 思い込みで作成しない
カスタマージャーニーマップを作成しく中で、つい自社視点を持ち込んでしまうことがあります。そのため、思い込みを極力排除し、あくまでペルソナの視点を維持しながら購入プロセスを作成することが重要なポイントとなります。
自社視点を持ったまま思い込みでマップを作ってしまうと、的外れなマーケティング施策を打ち出してしまうことになりかねません。
商品やサービスへの顧客の意見や不満点を、先入観なしで受けとる必要があります。
2. 課題解決という目的を忘れない
カスタマージャーニーマップの作成は、ペルソナ設定、情報収集、行動や思考の可視化など、様々な工程を経て完了します。
そのため、マップの作成自体が目的になってしまい、何のためにカスタマージャーニーマップを作成しようと決めたのかを見失ってしまうこともあります。
マップ作成を通じて自社の強み、弱みを客観的に把握し、それを踏まえた上でどのような具体的な施策が効果的かを考えるところまでが、必要なプロセスです。
カスタマージャーニーマップの完成に満足せず、マップで得た情報を活用しながら最適な施策を企画し、実行に移していくことが大切です。
3. 最初から完璧に作り込まない
最初から細かく作りすぎてしまうと複雑になる恐れもあります。カスタマージャーニーを研究することで得られる情報もあるため、最初はシンプルなカスタマージャーニーを作成すると良いでしょう。
他にも、カスタマージャーニーは定期的に見直す必要があるほか、浮き彫りになった課題やそれに対する解決策を実際に各部署で共有する必要もあります。
カスタマージャーニー作成で顧客に寄り添ったマーケティングを
カスタマージャーニーを作ることで、顧客がなぜ商品やサービスの購入に至ったのかが明確になり、商品やサービスの認知から購入に至るまでの過程に隠れている問題点も浮き彫りになります。
これらの問題点を解決することで、より良いカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)が提供できるため、顧客の商品やサービスに対するロイヤルティ(愛着)の向上にもつながります。
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