クロスセルとは?アップセルとの違い、メリットと注意点を解説

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売上アップのためにさまざまな宣伝・広告方法を用いて新規顧客の開拓を実践している事業者も多いでしょう。しかし売上を伸ばすには、顧客数だけでなく顧客一人あたりの購入単価に注目する「クロスセル」も重要です。

インバウンド需要が急激に拡大するなか、訪日外国人観光客に対しても、クロスセルを活用することで顧客単価を引き上げ、売上アップが期待できます。

そこで今回は、顧客単価を高める「クロスセル」の手法について、詳しい意味やアップセルとの違い、メリットや注意点を詳しく解説します。

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クロスセルとは

クロスセルは購入目的の商品とあわせて関連した商品の購入を促し、顧客単価をアップさせる手法です。

購入するものを決めて店員に伝えたときに、「ご一緒に〇〇はいかがですか?」や「一緒に使う〇〇はもうお持ちですか?」などのように聞かれたことがあるでしょう。「セットで買うとお得」と思わせることや、割引や特典が用意されていると購入する可能性も高まります。

クロスセルの対象顧客は、商品の購入を決断した人や検討している人、過去に商品を購入したことのある既存の顧客です。

顧客のニーズをくみ取り、購入者のベネフィット(よい効果・恩恵)を前提とした関連商品の提供が、クロスセルを成功させるポイントです。

顧客単価に注目

商品を複数買ってもらうことで「1回の購買の顧客単価アップ」がクロスセルの特徴です。

売り上げは「顧客数×顧客単価」で計算できますが、これまでは顧客数を伸ばすことで売上アップをはかるマーケティング手法が多く展開されてきました。そのため顧客数だけでなく顧客単価への注目も重要です。

顧客単価を上げるためには、既存顧客を大切にして、長く良好な関係性を構築することがポイントです。密な関係を築くことで顧客に商品や店のファンになってもらい、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー)を最大化させて長期的な収益アップにつなげることができます。

クロスセルの例

クロスセルの具体例について、宿泊予約サイト訪問型店舗に分類して紹介します。

宿泊予約サイトでは、旅行の予定を立てて宿の予約する時、航空券の購入を合わせてすすめられるケースがあります。これがクロスセルの例です。AmazonなどのECモールでも、クロスセルの手法が採用されています。目的の商品を選択すると、おすすめの商品が表示されることがあります。

また訪問型店舗では、車購入の時にオプションとしてカーナビの購入を勧められる例が挙げられます。

アップセルとの違い

クロスセルと似た手法が「アップセル」です。クロスセルとアップセルの共通点および相違点を、事例をあげながら解説します。

アップセルとは

アップセルは、1つの製品に対して販売単価を上げる手法です。たとえば車購入を検討している消費者にメリットを伝えてさらにハイスペックな高額の車種を購入するようにすすめるケースがアップルセルにあたります。

また、「今だけ2個買うと10%OFF」などのように、同じ商品を複数買ってもらう営業もアップセルに該当します。

顧客はより良い商品を求めており、「もっといいものがある」「金額の差はこれだけ」と提示することで、より高額な商品に対する購買意欲を高めます。

たとえば「ご一緒にドリンクはいかがですか?」と案内されるのがクロスセルです。一方、「プラス100円でサイズアップできますがいかがですか?」とより大きいサイズをすすめられるのがアップセルです。

どちらも顧客単価を上げる施策

クロスセルとアップセルの共通点は、顧客単価をアップする手法であることです。また、対象が新規顧客よりも既存顧客が中心という点も共通しています。

クロスセルとアップセルで結果を出すには、顧客との関係性を良好に保つ必要があります。顧客からの信頼や商品・店への愛着が、顧客単価のアップとその継続性に影響します。

違いは提案の仕方

クロスセルは関連商品のセット販売、アップセルは商品の上位機種販売と提案方法が異なります。言い換えると、クロスセルは1点だけの購入ではなく関連商品で、アップセルは1つの商品でより高く購入してもらうのが狙いです。

また、アップセルと反対の営業方法であるダウンセルもあります。検討している商品よりも安い商品をあえて提示し、より確実な購入へと誘導します。上位機種を購入してもらうよりも単価は下がりますが、「ゼロ」にはなりません。

クロスセルの5つのメリット

クロスセルを効果的に行った場合に見込める5つのメリットについて解説します。

1. 顧客数はそのままに売上額を増やせる

Web上だけでなく店頭でもクロスセルはよく見られ、たとえばデジタルカメラを購入した際に、カメラバッグやストロボを案内されるなどの営業もクロスセルに該当します。

Amazonでは、商品購入の際に「一緒に買われている商品」や「おすすめ商品」などが表示されます。これをレコメンド機能と言いますが、「この商品に興味がある」という一種の絞り込みを既にかけた宣伝方法であり、低コストかつ効率的なアプローチが可能です。

クロスセルのように顧客単価に注目した手法は、今まさに購入しようとしている顧客や既に購入したことのある顧客を対象とし、対象範囲が狭い分、宣伝や広告コストを抑えられます。

新規顧客の獲得には、宣伝や広告コスト、労力がリピーターよりも多くかかります。

2. リピート率の増加が見込める

クロスセル戦略が成功すれば、顧客は商品に対する評価をさらに高くします。

その結果、商品や商品を扱う自社への信頼を寄せ、顧客が自らの意思で再購入を決めてリピーターになる可能性が見込めます。

3. 顧客ニーズを把握できる

クロスセルを成功させるためには、顧客のニーズを正確に理解し、それに合った商品を提案することが不可欠です。クロスセルを通じて顧客に複数の商品を提案することで、それぞれの商品に対するニーズを検証でき、顧客ニーズの分析に役立てることができます。

さらに、顧客のニーズを的確に把握した提案を行うことで、営業活動の質が向上し、成約率の改善も期待できるでしょう。

4. 単体では売りにくい商品を販売できる

クロスセルを活用すると、関連商品として提案することで、単体では販売が難しい商品の売上を伸ばすことができます。たとえば、単品では売れにくい高級グラスやワインオープナーも、ワインとセットで提案することで購入される可能性が高まります。

このように、特定の商品を単体で販売するのではなく、関連商品として組み合わせて訴求することで、利益の向上を図ることが可能です。

5. 他社との差別化をはかれる

競合が存在する場合でも、どのような関連商品をすすめるかで競合との差別化を図れます。

関連商品を購入する場合の特典を設定すれば、よりクロスセルの内容に独自性を持たせることができます。

特典の存在は、既存客だけでなく新規顧客獲得にもつながります。特典のための費用は、新規顧客獲得のためのコストととらえることもできます。こうした観点に立って、購入につながるような思い切った戦略をとることも検討に値します。

クロスセル・アップセルの注意点

顧客単価を上げるため、クロスセルとアップセルですが、提案の仕方を間違えると逆効果になってしまいます。そこで、クロスセルやアップセルを実践するにあたっての注意点を2つ紹介します。

押し売りをせず、あくまで顧客目線の営業をする

クロスセルやアップセルは、顧客にとって押し売りに感じられる場合があります。

商品やサービスを購入してほしいという企業側の目線を優先し、顧客のニーズを無視すると、「ただ売りたいだけだ」と判断されかねません。商品や店に対する不信感につながり、リピーターどころか購入にもつながらないでしょう。

強引な販売と顧客に受け取られないために、顧客のニーズを読み取り、適切なアプローチをすることが大切です。

それには、当該顧客の消費傾向やこれまでに相談された内容を活かす必要があります。新規顧客であれば、既存顧客の消費傾向をしっかり分析し、さらに参考材料として活用できる段階への落とし込みが求められます。

全く関連しないことは紹介しない

購入商品と関連性の低い商品を勧めると、売上を優先した強引なセールスという印象を与え、購買行動から遠ざかってしまいます。ほかに勧めたい商品がある場合でも、顧客のニーズに寄り添い、逸脱しないよう注意しなければなりません。

一言二言の言葉がけが次回の購入につながる場合もあります。商品案内を畳み掛けたばかりに不信感を招き購入を逃す可能性もありますから、どのくらいの量の言葉がけをするかやタイミングも意識したほうがよいでしょう。

反対に、既存顧客で信頼関係の構築が成されていれば、商品購入やその接客に満足したことで「この前相談した商品だけど・・・」と改めて相談するなどの展開も予想されます。「実はほかにも気になる商品がある」と、関連性のない商品について顧客自ら話すこともあるかもしれません。ここでもキーになるのはやはり「顧客のニーズ」であり、会話の中にあるヒントを見逃さないことが大切です。

クロスセルを成功させるために知っておきたい3つのポイント

クロスセルを効果的に行うポイントを3つの視点から解説します。

1. 顧客の情報収集

クロスセルを行いたい顧客には、個人情報や購買行動などの情報を蓄積しましょう。

そこから「顧客が興味のある分野」「自社製品を選ぶ前に使用していた商品は何か」「なぜ自社製品を選んだのか」などからリピーターになりそうな顧客層を抽出します。

その後、潜在顧客がどんなメリットを求めているのか、どんな問題を抱えているのかについて、クロスセル戦略に求められている商品を決めます。

2. ナーチャリング

満足度が低い顧客や、商品の即時購入が見込めない潜在顧客には、中長期的にはたらきかけることで購買意欲や信頼度を高めてもらうという手法があります。

ナーチャリングと呼ばれ、メルマガやSNSなどで売りたい商品の特徴などを伝えるといったやり方を取ります。

ナーチャリングは知ってもらうこと、理解を深めてもらうことが目的です。ナーチャリングにより、顧客自身が商品の良さや必要性に気付き、購入や利用、その後のリピートが期待できます。

3. タイミングを考える

クロスセルが成功しやすいタイミングは、toC(消費者向け)とtoB(企業向け)で異なります。

まず、消費者向けとして良いタイミングは、商品の購入を決断した時になります。その理由は、何か商品を購入したということは買いたい理由が明確にあり、予算に余裕があることを表しているからです。そのため、商品の購入を決断した時がクロスセル戦略を打ち出すのに良いタイミングと判断できます。

一方、ビジネス向けでは、予算が確保されたタイミングがクロスセルを提案できるチャンスです。契約更新のタイミング課題がみつかったシチュエーションでも成功の可能性は高いといえるでしょう。この機を逃さないためにも、頻繁にコミュニケーションをとっておくことは欠かせません。

顧客視点を忘れないクロスセルで売上アップ

クロスセルとは、購入目的の商品にプラスアルファーで関連商品を購入してもらうことで顧客単価をアップさせる方法です。

しかしどんな販売戦略でも、顧客のニーズを無視した方法は効果につながりません。クロスセルの手法においても、顧客の視点にたち、案内することで結果的に顧客満足度が向上することが重要です。

顧客満足度の向上は、次の購買活動やその長期性にもつながるでしょう。顧客が、「確かにそちらのほうがお得だね」「それ一緒に買う必要があることを忘れいたので助かった」となると、顧客満足度も上がると推測されます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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