3月11日、2011年の東日本大震災から14年を迎えました。
インバウンド市場が過去にないほどの盛況を見せるなか、自然災害が多い日本においては、訪日外国人の防災に関する知識や情報の不足が一つの課題となっています。
そこで本記事では、企業や各地の自治体で行われている、災害に備えたインバウンド対応をご紹介します。
関連記事:南海トラフ地震に警戒感強まる…今こそ考えたい、災害時のインバウンド対応
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“折り紙”で防災情報を伝える:渋谷区観光協会
一般財団法人 渋谷区観光協会では、一般社団法人 渋谷未来デザインが立ち上げた、インバウンド向けの防災リテラシー向上を目的とする「QUAKEMATE PROJECT(クエイクメイト プロジェクト)」を公認プロジェクトとして賛同しています。
またプロジェクトの一環として、災害対策を学ぶ折り紙「BOSAI ORIGAMI」の配布を開始しました。
BOSAI ORIGAMIには、日本における地震対策や防災に関する情報が記載されており、折り終えると、「OMAMORI(御守り)」と「MAMORIGAMI(やっこさん・地震から守ってくれるとされる神様のデザイン)」の形になるよう設計されています。
本プロジェクトには、考案者の入江氏が長年課題に感じていた、外国人観光客の防災リテラシーの低さや各自治体の対策不足が背景にあります。折り紙という楽しく身近に感じられる体験を通して、災害への備えを発信していきます。
BOSAI ORIGAMIは、3月11日より、渋谷駅周辺のホテルや商業施設にて配布される予定です。

自然災害をきっかけにDMOを設立:箱根観光協会
2018年に観光地域づくり法人(DMO)として登録された一般財団法人 箱根観光協会は、実際に自然災害に直面した経験を踏まえて発足されました。
豊富な温泉資源とアクセスの良さから高い知名度と集客力を持つ箱根町ですが、2015年に箱根山が小規模噴火したことで、観光客数と消費額が3割近く減少。箱根観光協会 佐藤氏は、「東日本大震災に続く自然災害の脅威を受けたことで、地域関係者に危機感が生まれ、再び災害に直面しても立ち上がれる一体的な組織が必要と感じた」といいます。
北米では、ロサンゼルスやハワイ・マウイ島の大規模火災など、DMOが災害時に真っ先に動き、SNSやWebサイトで情報を発信します。いっぽう日本のDMOや観光協会は、災害時の対応がきちんとできていない現状があります。
そんななか、箱根観光協会が実施している災害対策は、世界水準であると評価されています。
官民一体で防災対策に取り組んでおり、「箱根観光デジタルマップ」内での天候による交通規制情報の発信や、ガイド人材育成における国際水準の防災プログラム導入などを実施しています。
関連記事:「観光協会からDMOへの道」、箱根DMOの官民一体プロジェクト
災害を自分事化する「防災ツーリズム」推進:東武トップツアーズ
東武トップツアーズ株式会社は3月10日、国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所、春日部市役所と合同で記者会見を実施。防災地下神殿「首都圏外郭放水路」のパワーアップ計画を発表し、「防災ツーリズム」の提案を行いました。
首都圏外郭放水路は、洪水を防ぐために建設された世界最大級の地下放水路です。近隣の中小河川が洪水となった時、その一部を江戸川へと流すことができます。
近年、気候変動に伴う集中豪雨や大型台風が頻発していることをうけ、国土交通省は「災害の自分事化」を通じて災害から国民の命を守ることを目指しています。東武トップツアーズは、これを観光の観点としてとらえ、首都圏外郭放水路を発信源とした取り組みをさらに強化するといいます。
計画には、災害から命を守る「自分事化カード」の配布や、アドベンチャー体験コースの新設などが盛り込まれており、年間来場者10万人を目指します。さらにインバウンドに向けた施策として、21言語に対応した多言語翻訳システムの導入も予定されています。
関連記事:災害時の訪日外国人対応に使える「多言語フレーズ集」無料配信
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<参照>
一般財団法人 渋谷区観光協会:インバウンド向け防災リテラシー向上を、日本のおもてなし文化で解決!折り紙「BOSAI ORIGAMI」配布開始
観光庁:地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた課題認識
箱根町総合観光案内所:「箱根観光デジタルマップ」が機能拡大されました
箱根観光デジタルマップ
東武トップツアーズ株式会社:防災地下神殿「首都圏外郭放水路」を活用した本格的な「防災ツーリズム」がスタートします!
国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所:首都圏外郭放水路
首都圏外郭放水路:防災地下神殿「首都圏外郭放水路」の8つのパワーアップ計画始動!
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