定性調査とは?定量調査との違いや特徴、5つの調査方法を徹底解説

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定性調査とは、対象者から意見や感想を集める調査方法です。数値データを集める定量調査と似た名前ですが、目的や使うツールが異なります。

消費者のリアルな声を直接聞くことができるため、飲食店小売店が新商品の開発や既存商品の改善を行う際に非常に役立ちます。

また、インバウンド需要が高まる現在、定性調査は訪日外国人観光客のニーズや行動を深く理解し、効果的な対策を立てるうえで有効な方法ともいえます。

本記事では、定性調査の特徴やメリット、定量調査との違い、代表的な5つの調査方法をわかりやすく解説します。さらに、調査を効果的に進めるコツもご紹介します。

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定性調査とは

定性調査とは、「意見」や「感想」など数字では表せない情報を取得する市場調査方法です。代表的な調査方法にはインタビューがあげられ、回答に対して深堀りできることが特徴です。

定性調査を行う目的

定性調査を行う目的はおもに次の2つです。

  • 消費者への理解を深める

  • 仮説を設定するためのアイデアがほしい


定性調査では、回答者1人ひとりに対して具体的な質問を行います。1つの質問項目に対して独自性や深みのある意見を得られるため、消費者への理解につながります。

「なぜその商品が好きなのか?」「どのような経緯で商品までたどりついたのか?」など質的データを集める意識が重要です。

さらに、定性調査で得た回答は新たな仮説を設定するためのヒントとしても活躍します。

インタビューを通して、コミュニケーションをとることで意外な回答や発見が得られることもあります。そのアイデアやヒントをもとに今後の商品開発や改良を行うための仮説を設計することで、調査の効果が高まるでしょう。

定性調査と定量調査の違い

定性調査とよく比較されるのが「定量調査」です。

代表的な定量調査にはアンケート調査があげられ、調査結果が数値的なデータで取得できる調査方法です。定量調査は、数値を把握してビジネスや市場の全体像を把握できるのに対して、定性調査は消費者理解や改善アイデアなど、より深い情報を得られます。

定性調査は、データや根拠ではなく、消費者の心理や行動など主観的な事実を知りたいときに利用するのがよいでしょう。

定性調査のメリット3つ

定性調査にはメリットとデメリットがあります。定性調査を行うメリットは次の3つです。

  • 消費者意識や行動を深堀りできる
  • これまで想像していなかったアイデアや発見が得られる
  • 回答者が目の前にいるため信頼できる


調査を行う前にどのような効果があるのか把握しておくことで、調査結果を一層有効に活用することができます。

1. 消費者意識や行動を深堀りできる

インタビュー形式で、回答者に複数の質問を投げかけられるため、消費者の深い心理まで知れることは大きなメリットです。

コミュニケーションを通して、疑問に思った点や引っかかった点に対して積極的に質問することで有効な意見を得られるでしょう。うまく深堀りができると、実践的な解決策をその場で生み出すこともできます。

2. これまで想像していなかったアイデアや発見が得られる

これまで企業が予想していなかった意見やアイデアを回答者が発言することも珍しくありません。

インタビューをする際は、事前に質問項目をある程度決めているケースが多いでしょう。しかし、ユーザーの回答に合わせて柔軟に質問項目を変更することで、興味深く有効な回答が得られることもあるでしょう。

3. 回答者が目の前にいるため信頼できる

定性調査では調査している間、回答者が目の前にいることがほとんどです。

定量調査では、アンケートなど回答者の所属や人柄が不明なため、信ぴょう性に欠けることもあります。しかし、定性調査では回答者の発言だけでなく人柄や属性も情報として取得できるため、回答への信頼性は高まります。

定性調査のデメリット3つ

続いて、定性調査を行うデメリットは次の3つです。

  • 1人あたりの調査に時間がかかる

  • 質の高い質問・インタビュースキルが求められる

  • 他社へ提示するデータとしては説得力に欠ける


これらのデメリットを前もって把握し、可能な限り対策しておくことが大切です。

1. 1人あたりの調査に時間がかかる

インタビュー形式の調査ではコミュニケーションがメインになるため、1人から回答を得るのに時間がかかることが予想されます。特に、予約した調査会場の費用が時間制の場合は、1人あたりにかける調査時間を設定するなどの対策が必要です。

2. 質の高い質問・インタビュースキルが求められる

定性調査ではヒアリング力が高いほど、より質の高い回答が得られる可能性が高まります。

事前に用意したテンプレート的な質問項目だけでは、定性調査の良さである「予想外の回答」にまでたどり着きにくい傾向にあります。

インタビュー経験が浅い場合は、事前にシミュレーションしておくのも有効です。

3. 他社へ提示するデータとしては説得力に欠ける

定性調査で得た結果は、定量調査の結果のように数的なものではないため説得力に欠ける場合があります。

調査結果を、他社や外部向けの資料として活用したい方も多いのではないでしょうか。どうしても回答結果をデータやグラフに落とし込みたい場合は、誰もが納得できるような基準を設けるなどデータ処理方法に工夫が必要です。

定性調査の代表的な5つの方法

定性調査を行う手段として、5つの代表的な方法をご紹介します。

  1. グループインタビュー

  2. デプスインタビュー

  3. オンラインインタビュー

  4. 行動観察調査(オブザベーション調査)
  5. 訪問観察調査
(家庭訪問)

1. グループインタビュー(FGI)

定性調査を行う代表的な方法はグループインタビューです。

グループインタビューは、調査の主催側が用意した1人の進行役と、複数の調査対象者によって意見交換を行います。

グループで調査を行うことのメリットはさまざまな年代、性別、職業の人を一堂に集めて意見を聞き、情報を収集できるため、時間とコストを節約できる点にあります。

また、個別に話を聞くだけでは聞き出せないような意見の深堀りできる可能性もあります。

開催にあたっては、回答者を似た属性の人にするのか、異なる属性の人にするのかなど、対象者を事前に検討することが求められます。

また、会場の予約やサンプル商品、謝礼品などの費用がかかるため予算設定も重要です。

2. デプスインタビュー(DI)

デプスインタビューは、対象者と調査者が1対1でインタビューを行う方法です。インデプスインタビュー(IDI)と呼ばれることもありあます。

グループインタビューと比較して、1人に対して深くかつ多数の質問ができるため、質の高い回答が期待できます。

たとえば、商品購入に至るまでのプロセス、動機などを深く掘り下げて聞き出すことができ、消費者のブランドへのリアルな認識や購買行動を知ることができます。これらの情報を得ることで、自社商品についての新たな仮説を立てることができる場合もあります。

1対1でインタビューを実施するため、周囲の目を気にせずに気軽に発言でき、本心を探りやすい点がデプスインタビューのメリットです。

調査者のインタビュースキルも重要になるため、事前に質問項目やインタビュー目的を明確にしておくと良いでしょう。

3. オンラインインタビュー

対面ではなく、オンラインでのインタビューも有効です。コロナ禍で対面のインタビューが実施しにくくなったこともあり、オンラインを活用してインタビューする企業も増えています。

オンラインで行うことで、調査者は会場費用や交通費を削減でき、対象者も移動の手間を省けるため効率的に調査できます。

4. 行動観察調査(オブザベーション調査)

調査対象者が商品サービスを購入する場に同行し、アクション(購入/非購入)に至るまでのプロセスを観察する方法です。

実際に商品を利用している場に立ち会うこともあり、ユーザー行動を正確に把握できる点がメリットといえます。

インタビューを活用した定性調査との違いは、ユーザーの顕在意識だけでなく潜在意識まで調査者の判断で読み取れる点です。

たとえば、レストランに入店してから商品を注文するまでの間、どのような理由でレストランを選択し、なぜそのメニューを頼んだのかというプロセスを観察した上で、行動に至るまでの試行プロセスをインタビューするなどが挙げられます。

顧客の自然体の行動を観察でき、意思決定までの過程をのぞくこともできるので、これまで想定していなかった新しい切り口からの販売促進方法が発見できる可能性があります。

ただし、個別に状況を再現するためにはコストがかかるというデメリットもあります。

5. 訪問観察調査(家庭訪問)

訪問観察調査は消費者の家庭を訪問して調査をする方法で、行動観察調査にも含まれます。

訪問観察では、商品を購入するまでの過程だけでなく、購入後の使用状況を知ることができます。生産側や販売側の想定している用途だけでなく、柔軟な使用方法などを知る機会になる場合もあり、新しい商品の販売戦略や、商品開発のアイデアを得られる場合もあります。

さらには、併用商品や同居している家族のリアクションもあわせて調査できます。他の調査よりも「リアル」を知れる方法で、新たな発見につながることも珍しくありません。

また、インタビューなどでは緊張感からうまく意見を言うことができない人も、自宅であればリラックスして自分の話ができることもあるので、ありのままの意見を聞き出せる可能性が高まります。

定性調査を効果的に活用するコツ

定性調査を効果的に活用するには、定量調査と併用することが重要です。

具体的な方法の1つ目は、定性調査で仮説を立てておき、定量調査でその仮説を検証するという方法です。定性調査である程度、消費者心理を把握しておけば、定量調査で質の高い質問項目を設定できるためです。

2つ目は、まずは定量調査で全体像を把握しておき、その後、定性調査で気になる項目に絞ってヒアリングを行う方法です。定性調査では深掘りできるため、定量調査で出た疑問点を解決することでさらに説得力のある回答が期待できます。

潜在的なニーズをつかめる定性調査

定量調査は結果を数値化して収集することで市場の全体把握につながるのに対し、個別の意見や試行プロセスを深く掘り下げる定性調査はこれまでになかった新しい切り口を見つけるきっかけになり得る調査方法です。

調査対象者の意見を細かくヒアリングすることで、市場に隠れる潜在的なニーズをつかむきっかけにもなり、商品開発や販売促進などさまざまな分野において調査結果を役立てることができます。

しかし、必ずしも個人の意見が市場全体とリンクしているとは限らないだけでなく、調査対象者を慎重に選定する必要があるなどの注意点もあります。

調査の目的をまず明確にし、定量調査と定性調査のそれぞれのメリットを活かして調査を行うことが大切です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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