【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
増加する訪日外国人観光客のニーズを正確に把握し、サービス改善に活かすためには、英語でのアンケート実施が有効です。しかし、「外国人向けアンケートの作り方がわからない」「英語の質問作成に自信がない」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、お客様アンケートを英語で作成・実施するための具体的なポイントから、今すぐ使えるテンプレートや例文集、さらに回答率を高めるための注意点まで、徹底的に解説します。
お客様アンケートは英語で何という?
お客様アンケートは英語で一般的に「customer survey」または「customer questionnaire」といいます。
「survey」は広範な調査を指すのに対し、「questionnaire」は質問形式の書面やフォームを指すことが多いです。例えば、飲食店などで「お客様の声」を募る場合は「customer questionnaire」や「feedback form」がよく使われます。
日本で使われる「アンケート」はフランス語の「enquête(調査)」が由来の和製英語であり、「customer survey」や「customer feedback form」といった表現を使うのが自然です。
「カスタマーアンケート」とそのまま言っても、外国人には伝わりにくいので注意しましょう。
お客様アンケートを英語で実施する前に必要な6つのポイント
インバウンド顧客から有益なフィードバックを得るために、英語でお客様アンケートを実施する際に不可欠な6つのポイントを解説します。
これらの基本を押さえることで、外国人のお客様がスムーズに回答でき、本当に役立つ「お客様の声」を集めることができるでしょう。
1. 目的を決める
英語でのアンケート作成に着手する前に、「なぜこのアンケートを実施するのか」という目的を具体的に設定することが最も重要です。目的が不明確だと、質問内容が漠然としたものになり、外国人のお客様から有益なフィードバックを得ることが難しくなります。 主な目的の例は以下の通りです。
- 新規顧客獲得のため:訪日のきっかけや店舗を知った経緯(例: SNS、旅行ガイドブック、ホテルからの紹介など)を把握する
- リピーター増加のため:継続的に利用してくれる理由や、再訪したいと感じるポイント(例: 料理の味、サービスの質、店舗の雰囲気など)を深掘りする
- サービス改善のため:満足度や不満点を具体的に聞き出し、商品・サービスの改善点(例: 接客、メニューのわかりやすさ、設備など)を特定する
- 新しい商品・サービスの開発のため:潜在的なニーズや、今後提供してほしいサービスに関する意見を募る
例えば、「顧客満足度を高めたい」という目的であれば、単に「満足度」を問うだけでなく、「特に不満に感じた点」や「改善してほしい点」を具体的に聞く設問を追加するなど、目的達成につながる質問項目を厳選しましょう。
2. わかりやすく簡潔に
お客様アンケートをつくるうえで常に意識するべきことはわかりやすさです。回答者に対して理解しづらい内容だったり、ストレスを与える内容だったりすると、その途端に回答するのを諦めてしまうケースも考えられます。
誰でもわかる表現でアンケートを作成するのはもちろん、ぱっと見でどんな設問なのかがわかるようにしてください。以下のふたつの設問の場合、どちらがわかりやすいでしょうか。
- 「商品・サービスを知ったきっかけを教えてください」
- 「テレビCMやSNS広告など、さまざまな媒体を活用して集客しています。なかでもどのようなきっかけで商品・サービスを知りましたか。選択項目にない場合は、その他の欄にできるだけ具体的に記入してください」
多くの方は短い文章のほうがわかりやすいと答えるはずです。お客様アンケートに回答することは少なからず負担を与えることになります。
少しでも回答率を上げるためにも負担を与えない文章を心がけるようにしましょう。
3. 質問の数を多くしすぎない
せっかくお客様アンケートを実施するからと、聞きたいことすべてをアンケートに盛り込むのはおすすめできません。
よほどのヘビーユーザーやファンでない限り、お客様アンケートに積極的に答えたいと思う方は少ないはずです。
聞きたいことがたくさんあるからといって、それらすべてをお客様アンケートに盛り込むのはNG。必要最低限に抑えつつ、目的を達成できるような質問の数に設定するようにしてください。
4. 質問の流れも意識する
回答者にストレスを与えずスムーズに回答してもらうためには、質問の順番にも気をつかわなければいけません。たとえば、以下の2パターンだとどちらが回答しやすいでしょうか。
質問例1 | 質問例2 |
|
|
多くの場合は、質問例1のほうが回答しやすいと答えるはずです。まずは答えやすい質問からスタートしつつ、途中や最後で自由回答による質問を差し込むなどの工夫が必要です。
5. 回答の目安時間を明記する
お客様アンケートの回答率を上げるためにも、回答に要する目安の時間を明記するのもテクニックのひとつです。なかには「3分で終わるなら」「待ち時間のあいだに終わるから」などという理由で回答してもらえることもあります。
回答にどれくらいの時間を要するか分からないお客様アンケートよりは、あらかじめ目安の時間がわかるアンケートのほうが回答率が高くなることもあります。
6. ネイティブにチェックしてもらう
Google翻訳を使うなど、ツールを使ってそれなりのアンケートを作ることはできます。しかしツールでは間違った翻訳になることもあります。
アンケートが完成したら、可能な限りネイティブスピーカーにチェックしてもらうようにしましょう。
お客様アンケートの英語で使われやすいテンプレート
ここでは、お客様アンケートで頻繁に用いられる英語表現やテンプレートをご紹介します。これらの例文を参考に、貴社のアンケートをより効果的なものにしましょう。
・アンケートの冒頭で使うフレーズ
"Thank you for visiting us today. We would appreciate it if you could take a few moments to complete this short survey to help us improve our service." (本日はご来店いただきありがとうございます。サービス向上のため、短いアンケートにご協力いただければ幸いです。)"Please take a moment to fill out our customer feedback form." (お客様の声をお聞かせください。)
"Your feedback is important to us! Please complete this questionnaire." (皆様からのご意見は貴重です!アンケートにご記入ください。)
・回答時間を示すフレーズ
"This survey will take approximately 3 minutes to complete." (このアンケートの回答には約3分かかります。)
"It only takes about 5 minutes of your time." (およそ5分で回答できます。)
・一般的な質問フレーズ
"How did you find out about our product/service?" (当社の製品・サービスをどのように知りましたか?)
"How did you purchase the product/service?" (どのようにしてこの製品・サービスを購入しましたか?)
"Please tell us the reason for your answer." または "Could you please elaborate on your answer?" (その理由をお聞かせください。)
"Overall, how satisfied are you with [Product/Service Name]?" (総合的に見て、[製品・サービス名]にご満足いただけましたか?)
"On a scale of 1 to 5, where 5 is excellent and 1 is poor, how would you rate [Specific Aspect]?" (5段階評価で、5が最高、1が最低として、[特定の側面]をどのように評価しますか?)
"What did you like most about your experience today?" (本日ご利用いただいた中で、最も良かった点は何ですか?)
"What could we do to improve your experience?" (よりご満足いただくために、改善できる点はありますか?)
そのまま使える!英語版お客様アンケート
ここでは、飲食店での利用を想定した、すぐにコピー&ペーストで使える英語版アンケートの例文をご紹介します。ニーズに合わせて適宜調整してください。
[アンケートタイトル例: Your Feedback Helps Us Improve! (お客様の声が私たちの改善につながります!)] 【お客様情報】 Date of Visit(訪問日): [日付記入欄] How did you find out about our restaurant?(当店を知ったきっかけを教えてください): 【本日ご注文いただいたメニュー】 【ご満足度評価】 【ご意見・ご要望】 【自由記述欄】 [記入欄] |
効果的なお客様アンケートなら集客アップも期待できる
お客様アンケートは、単なる意見収集にとどまらず、顧客満足度向上、サービス改善、そして最終的には集客アップへとつながる強力なツールです。しかし、やみくもに実施するだけでは、期待する効果は得られません。特に英語でのアンケート作成は、専門知識とノウハウが必要となるため、多くの事業者様が課題を抱えています。
本記事でご紹介した英語アンケート作成のポイントやテンプレートを活用することで、外国人のお客様から質の高いフィードバックを引き出すことが可能になります。彼らのニーズを正確に把握し、サービスに反映させることで、リピーターを増やし、口コミでの拡散を促すなど、インバウンド集客に大きく貢献するでしょう。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
【9/11開催】実例から学ぶ!店舗とECの露出最大化に向けた小売のためのOMO戦略
デジタルとリアルの垣根がなくなりつつある今、小売企業にとって「店舗とECのつながり方」は売上や顧客体験に直結する重要なテーマとなっています。
本セミナーでは、「Googleサービス × 在庫情報」によって来店とオンライン購入を両立させるmovのOMO戦略と、EC上でもリアルな接客を実現するvisumoのビジュアルマーケティング手法を、実例とともに徹底解説。
OMOの取り組みを“戦略で終わらせない”ために、今すぐ使える具体施策・成功パターンをお届けします。
<セミナーのポイント>
- Googleサービスと在庫情報を連携させた“店舗&EC”への送客手法がわかる!
- ECサイトから店舗への送客を生むコンテンツ設計が学べる!
- 店舗とECをスムーズにつなぐ“OMOの成功パターン”が学べる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→【9/11開催】実例から学ぶ!店舗とECの露出最大化に向けた小売のためのOMO戦略
訪日ラボ主催「THE INBOUND DAY 2025」アーカイブ配信中!
訪日ラボを運営する株式会社movが8月5日に開催した、日本最大級のインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」のアーカイブ動画が公開中です。
アーカイブ配信では、元大阪府知事の橋下 徹氏と大阪観光局理事長の溝畑 宏氏による基調講演のほか、脳科学者の茂木 健一郎氏、日本文学研究者のロバート・キャンベル氏、アパグループ 社長兼CEOの元谷 一志氏などの貴重な講演の様子を一挙公開(一部を除く)。
参加できなかった方はもちろん、もう一度議論を見直したい方も、ぜひご覧ください。
【インバウンド情報まとめ 2025年8月後編】訪日客、一部で前年割れも「成長軌道」 / ドンキ運営のPPIH、2035年までに免税売上4,000億円を目指す ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に8月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→訪日客、一部で前年割れも「成長軌道」 / ドンキ運営のPPIH、2035年までに免税売上4,000億円を目指す ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年8月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!