観光庁は5月27日、令和7年(2025年)版の観光白書を公表しました。
訪日ラボでは全5回にわたり、インバウンド担当者が読んでおきたい箇所をピックアップして解説します。第2回目の今回は、最新の日本の観光動向について見ていきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー▼この連載の記事
- 最新の世界の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(1)】
- 最新の日本の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(2)】
- 2024年度に政府が行ったインバウンド施策・前編【令和7年版観光白書 徹底解説(3)】
- 2024年度に政府が行ったインバウンド施策・後編【令和7年版観光白書 徹底解説(4)】
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2025年度に政府が進めるインバウンド施策【令和7年版観光白書 徹底解説(5)】
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令和7年(2025年)版観光白書の構成
観光白書とは、観光庁が起草・編集して年度ごとに公開される刊行物で、日本の観光に関する状況やデータ、観光に関する昨年度の政策および今年度の政策についてまとめられているものです。
今年度は国内旅行市場に着目し、日本人の国内旅行の活性化における分析を行っています。
令和7年(2025年)版の観光白書は、以下のように構成されています。
- 第1部 令和6年 観光の動向
- 第1章 世界の観光の動向
- 第2章 日本の観光の動向
- 第3章 日本人の国内旅行の活性化に向けて(テーマ章)
- 第2部 令和6年度に講じた施策
- 第3部 令和7年度に講じようとする施策
2024年の訪日外客数は過去最高 国別では韓国がトップ
2024年の訪日外国人旅行者数は3,687万人で、2023年(2,507万人)を47.1%上回り、 過去最高を記録しました。2019年と比較しても15.6%増加し、コロナ前の水準を超えています。
例年、お花見シーズンの4月や、夏休みがある7月がピークとなりますが、2024年は右肩上がりでの増加となりました。
背景として、コロナ禍後の堅調な訪日需要の増加や、航空便の回復などが挙げられます。
関連記事:2024年の訪日外客数、過去最高の3,687万人 12月は初の340万人超え

訪日外国人旅行者の内訳を地域別にみてみると、アジア主要市場からの訪日が最も多く、2,906万人と、全体の78.8%を占めています。
東アジアでは、韓国が882万人(全体の23.9%)で最も多く、次いで中国が698万人(同18.9%)、台湾が604万人(同16.4%)、香港が268万人(同7.3%)と続いています。韓国・台湾・香港からの旅行者数は過去最高を記録しました。
また東南アジアからの旅行者は430万人(同11.7%)となっており、シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナムからの旅行者数は過去最高を記録しました。
そのほか、北米(米国・カナダ)から330万人(同9.0%)、欧州主要6市場(英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・北欧地域)から171万人(同4.6%)が訪れており、どちらも全ての国・地域で過去最高を記録しました。

訪日消費額も過去最高を更新 1位は中国
2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円となり、前年に続いて過去最高を更新しました。これは新型コロナウイルス感染拡大前の2019年(4兆8,135億円)と比べて68.8%増という大幅な伸びを記録しています。
国籍・地域別では、中国(17,265億円)が最大の消費額を記録し、次いで台湾(10,897億円)、韓国(9,602億円)、米国(9,011億円)、香港(6,606億円)の順となりました。
中国は引き続き大きな市場ではあるものの、2019年と比べるとその構成比は低下しています。一方で、韓国や米国の構成比が上昇しており、多様な国・地域からの消費が全体を支える形となっています。
関連記事:訪日消費額、過去最高の8.1兆円 1人当たり旅行支出は22.7万円


また、訪日外国人旅行消費額を費用別にみると、宿泊費が最も大きく、全体の33.6%を占めました。次いで、買い物代が29.5%、飲食費が21.5%、交通費が10.7%、娯楽・サービス費が4.7%となっています。

日本における国際会議の開催件数は回復に遅れ
2023年の世界の国際会議開催数は、コロナ前2019年の65%まで回復しました。地域別では欧州が70%、北米が65%まで回復する一方、アジアは55%にとどまり、他地域に比べて回復が遅れている状況です。

2023年のアジア大洋州における国際会議開催件数では、日本が1位となりました。
しかし、2019年比では65%の回復にとどまり、韓国やシンガポールなどがコロナ前の水準に戻っているのに対し、回復が遅れていることがわかります。
関連記事:2024年の国際会議開催地ランキング、日本は前年に続きアジア1位・世界7位に

日本人の海外旅行はコロナ前水準に届かず
2024年の出国日本人数は1,301万人で、前年比では増加したものの、コロナ前の水準には届かず、2019年比35.2%減となりました。

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<参照>
観光庁:「令和6年度観光の状況 令和7年度観光施策」(観光白書)について
【インバウンド情報まとめ 2025年7月前編】「予言」の日7/5終了で訪日需要戻るか、6月の香港からの訪日客は33%減 ほか
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