成田空港の機能強化を検討、「ハブ空港」としての確立を目指す(国土交通省)

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国土交通省は、「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」における中間とりまとめを公表しました。

同会議は、成田空港を「国際ハブ空港」として確立するため、空港ターミナルビルや貨物施設、鉄道アクセスなど、今後の成田空港の施設面での機能強化について検討するものです。

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成田空港の「国際ハブ空港」に向けた機能強化を検討

国土交通省は、成田空港を国際ハブ空港として確立することを目的とした機能強化を検討するため、「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」を行い、中間とりまとめを公表しました。

成田空港は、2025年冬ダイヤから年間発着回数を34万回に拡大し、今後はさらに50万回となる計画が進行中です。

年間発着回数の増加にともない、成田空港が取り扱う旅客や貨物も増加することを見越し、ターミナルやアクセス施設の整備などを行うことが、検討の趣旨となっています。

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旅客取扱施設として「取扱容量」「質」「利便性」が課題に

今回公表された中間とりまとめにおいて、大きく取り上げられたことの一つが、旅客取扱施設の機能についてです。

今後、空港旅客数は年間7,500万人に

現在、成田空港の旅客取扱施設としての取り扱い能力は年間5,700万人です。今後、年間発着回数が50万回となった際の空港旅客数は年間7,500万人と予想されており、現状では取り扱いが困難であるとしています。

また、旅客や航空会社、航空関連事業者、空港での働き手などを引きつけるため、「移動・手続き等迅速性」「滞在空間の快適性」「乗継利便性」「良好な労働環境」などを備えた施設になることが求められているとしています。

さらに、東南・南西アジア地域と北米との中継点として地理的な優位性を活かし、国際線の乗継利便性を高めることの必要性、地方送客のための国際線と国際線の乗り継ぎ利便性の向上も課題として挙げられました。

▲成田空港の需要予測(旅客取扱施設):国土交通省発表資料より
▲成田空港の需要予測(旅客取扱施設):国土交通省発表資料より

「集約ワンターミナル方式」で課題の解決を目指す

旅客取扱施設としての課題への対応として、「集約ワンターミナル方式」の採用が挙げられています。

旅客取扱施設の形式は、大きく分けて「集約ワンターミナル方式」と「分散ユニットターミナル方式」があります。集約ワンターミナル方式は分散ユニットターミナル方式と比較して、コンパクトな施設規模で同じ取り扱い容量を実現できるとして、成田空港の課題解決に適していると考えられています。

また集約ワンターミナル方式は、旅客にとってシンプルでわかりやすく、乗継利便性も向上します。ほかにも施設や設備、人員などを集約・共有することで、人口減少に伴う労働力不足にも対応した高効率な運用を実現できるとしています。

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▲ターミナルの分類と特徴:国土交通省発表資料より
▲ターミナルの分類と特徴:国土交通省発表資料より

「鉄道」を中心に空港アクセス機能向上を議論

検討会では、アクセス機能の向上についても議論されています。なかでも、成田空港の出発旅客による交通アクセス手段として最も多く利用されている鉄道に関する内容が大部分を占めました。

輸送力の向上が必要不可欠に

鉄道における空港アクセスの課題として、2042年度の空港利用者における鉄道利用者数は、2023年度比で約1.8倍の年間約5,480万人が見込まれており、複数の路線において混雑率が150%を超えるとしています。

現在も一部の路線で発生している混雑に加え、都心部からのアクセス時間の長さ、空港周辺の単線区間による輸送力の制限などが課題として挙げられています。ほかにも、空港内の駅が単線路線であるために、列車運用に一定の制約があるなど、輸送力の向上が必要不可欠となっています。

また成田空港株式会社が実施した調査によると、旅客が鉄道車両に求める主な質的要素として、「速い」「便利」「乗り換えが少ない」が挙げられました。また外国人からは「わかりやすい」という項目も挙げられており、利便性を兼ね備えた鉄道アクセスが求められています。

▲成田空港のアクセス現況:国土交通省発表資料より
▲成田空港のアクセス現況:国土交通省発表資料より

地方送客拠点へのアクセス円滑化を推進

空港アクセスの対応については、オーバーツーリズムの未然防止や地方誘客などを目的として、新幹線やリニア駅、羽田空港など地方送客拠点への円滑なアクセスが重要とされています。また、成田空港利用者の多くが第一訪問先としている東京都心へのアクセス機能も重要視されています。

具体的には、乗車時間の短縮化や乗継回数の減少が必要であり、列車の増発・長編成化や鉄道施設の改良、他社線区を含めた既存路線の相互乗入れ強化などの検討を進めるとしています。

また、輸送力や利便性が確保できない要因となっている、成田空港周辺の約9kmの単線区間の複線化についても、検討する必要があるとしています。

空港内の鉄道施設については、海外の主要空港ではターミナルと空港駅が直結していることを踏まえ、極力少ない移動で円滑・迅速・快適に利用できるように、ターミナル直結駅が望ましいと記されました。

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<参照>

国土交通省:「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」中間とりまとめの公表~基本的な整備の方向性について、中間とりまとめがなされました~

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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