大阪・関西万博が閉幕に近づく中、万博後の「レガシー(遺産)」について少しずつ議論され始めています。万博を通じて培われた大阪・関西エリアの活気あるまちなみや、世界の国々との繋がりを、今後の経済・社会にどう生かしていくかが問われています。
今回は、万博のレガシーにもなりうる試みの一つとして、西日本へのインバウンド客誘致に向けた取り組み「西のゴールデンルート」についてご紹介します。
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「西のゴールデンルート」とは
西のゴールデンルートとは、東京・富士山・京都・大阪を巡る「ゴールデンルート」に対抗する形で、関西より西のエリアへインバウンドを誘客することを目的とした新たな取り組みです。
現状、西日本を訪れる欧米豪客がたった5.8%にとどまっていることから、主に欧米豪客をターゲットとした魅力ある西日本の観光地の情報発信や、周遊観光の促進による各地の相互送客を目的とし、2024年5月にアライアンスが設立されました。

大阪・関西万博内で行われた「西のゴールデンルート」の取り組み
西のゴールデンルートアライアンスは、大阪・関西万博を契機に欧米豪客を呼び込もうと、複数の取り組みを実施しました。
7月には、大阪・関西万博を運営する2025年日本国際博覧会協会と共同で記者会見を実施。同協会 副事務総長 髙科 淳氏、西のゴールデンルートアライアンス会長 / 福岡市長 高島 宗一郎氏に加え、アライアンスを構成する自治体から高松市長 大西 秀人氏、松山市長 野志 克仁氏、北九州市長 武内 和久氏が出席しました。

日本国際博覧会協会 副事務総長 髙科氏は、万博のテーマでもある「いのち」に関連した観光体験コンテンツ・ツアー商品等を紹介する多言語サイト「Expo 2025 Official Experiential Travel Guides」を紹介。
同サイトでは、たとえば愛媛県道後温泉の街並み体験や、福岡県の世界遺産宗像大社をめぐるツアーなど、日本各地での具体的な過ごし方を提案。さらに、商品販売ページでは予約・購入までワンストップで提供しています。
全国からの商品申請状況としては会見時点で1,200件を超える申請があり、西のゴールデンルートにあたるエリアからの申請が6割を占めているといいます。

髙科氏は「『大阪・関西万博から旅に出よう』を合言葉に、万博を契機とした地方誘客・観光推進の取り組みを実施し、万博開催の効果を全国につなげるべく動いている」「各観光関係者と連携して取り組みを進めてまいりたい」と述べました。
西のゴールデンルートアライアンス会長 / 福岡市長 高島 宗一郎氏は、今回の万博は「大阪・関西」という名称ではありつつも「日本全体が会場」という意識で、日本各地に足を伸ばしていただいて日本が誇る観光地を楽しんでいただく契機になると説明。
また、西のゴールデンルートアライアンス設立の背景でもある「西日本を訪れる欧米豪客が5.8%にとどまっている」という課題についても、「大阪より西の日本の魅力が5.8%しかないのかというと、決してそうではない」と強調。西日本エリアの伝統文化や食などの魅力を発信するとともに、周遊を促進するための具体的なルートを提案するとしました。また、「今年は大阪・関西万博はもちろんのこと、瀬戸内国際芸術祭も開催されている。こうしたグローバルなイベントと連携しながら、西の魅力を発信していきたい」と述べました。
さらに、西のゴールデンルートアライアンス事務局からは、モデルルートとして
- 海と共存した絶景島旅ルート
- 瀬戸内エリアの自然美を味わうルート:静寂と調和の美
- 城から大名庭園まで武家文化のルーツに触れるルート
アクティビティとして
- 高松港発 瀬戸内サンセットクルーズ
- お遍路と歴史の旅
- 福岡地元食材と伝統芸能を楽しむ博多まち歩き
- 北九州の夜をハシゴしよう!角打ち×スナックツアー
などを公式サイトにて発信しているとの紹介がありました。
大阪・関西万博会場内にて「西のゴールデンルート」がブース出展
加えて8月27日から31日、大阪・関西万博会場内のメッセ会場「WASSE」にて「西のゴールデンルート」がブースを出展。万博来場者に向けて西日本の観光地の魅力をアピールしました。
ブースでは西日本各地の周遊ルートや具体的な観光地の展示、コンシェルジュの設置、さらに来場者が最も気に入ったルートを載せた絵巻物のプレゼントなども行われました。


出展初日の27日には同ブースにてオープニングイベントが実施されたほか、ポップアップステージ東内では千本くじや射的など、日本らしさを演出する縁日イベントも行われました。


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