公益財団法人大阪観光局は11月27日、定例会見を実施。大阪府の観光の概況やオーバーツーリズム対策の取り組みなどについて報告しました。
ほかにも、中国の訪日自粛要請による大阪の観光業への影響などについても言及しました。
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大阪インバウンド訪問者数156.3万人 10月として過去最高に
10月に大阪府を訪れた訪日客数は156万3,000人となり、同月として過去最高を記録しました。10月までの累計では1,453万人を超え、前年を上回って推移しています。
中国、台湾、香港、韓国や東南アジアからの訪日客数が好調に推移しているほか、欧米豪も拡大傾向にあり、各国からの訪日客がバランス良く増加していると説明しました。
理事長の溝畑氏は、好調な訪日客数の背景として、大阪・関西万博開催が寄与したことや、世界における日本の評価が高まっていることを挙げました。
中国の訪日自粛要請、大阪の観光への影響は
中国外務省は11月14日、自国民に対する日本への渡航自粛を要請する勧告を発表しました。中国と日本を結ぶ路線が一部欠航になるなど、その動向が日々報じられる状況となっています。
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府内でもホテルによって影響異なる
大阪観光局が府内のホテル約20社に対して調査したところ、12月末までの予約のうち、人数ベースで約50%から70%のキャンセルが発生していることがわかりました。
溝畑氏は、中国人客が宿泊者の多くを占めるホテルでは経営にも影響が出ている一方で、日頃から幅広い訪日客を受け入れているホテルについては、キャンセルされた分が新規客で補われているため、大きな影響は受けていないと話し、府内のホテルでも状況はそれぞれ異なると説明しました。
特定の市場に依存せず、バランスの良い集客を
溝畑氏は、訪日自粛要請による影響がいつまで続くかについては、予断を許さない状況であるとコメント。
その上で大阪は、リスクマネジメントの観点から、東アジアのみに依存せず、東南アジアや欧米豪を含めてバランスの良い集客に向けて取り組んできたと説明し、今後もさまざまな国から訪れてもらうために必要な戦略を実施していくと述べました。
そして、どの国においても経済交流は継続する必要があるとし、日本や大阪の魅力を幅広くプロモーションしていくと強調。今後中国市場による影響が出た場合でも、他の市場でカバーしていきたい考えを示しました。
また、今後も状況が変化していくことを想定し、民間の状況を把握しながら、随時必要な対策を講じていきたいと述べました。
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大阪のオーバーツーリズム対策の取り組みについて
大阪では、オーバーツーリズム対策の取り組みが進められています。その一環として、Webサイト上で手ぶら観光に関する発信を開始。ほかにも、手荷物預かり所やコインロッカーのほか、トイレやゴミ箱の場所など、観光に役立つ情報を記載した「OSAKA Tourist Comfort Map」を運用し、発信を強化していると説明しました。
また、観光客によるホテルや空港などでのスーツケース放置の問題については、マナー啓発のマップの配布・掲示を実施。約8割のホテルで「スーツケースの放置が減ってきた」という報告があったということです。
溝畑氏は、いかに観光客にとって安心安全で快適な環境を作っていくかという観点で、こうした事例の他に、災害や病気に対する対応についてもしっかり取っていきたいと述べました。
特区民泊について「監督規制を強化し、良質な民泊は維持」
大阪市では、「大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)」が2026年5月に新規受付を終了することになりました。
溝畑氏は、大阪を訪れる観光客が増えた背景として「民泊が果たした役割は大きかった」と振り返りました。
一方で、民泊が増加してゴミや騒音の問題が発生してきたことに触れ、「一度(受付を)停止して監督規制を強化し、良質な民泊はしっかりと維持したい」と述べました。
また「観光客によるトラブルが結果として地域住民にとってマイナスになることは許容できない」とした上で、「地域住民にも安心してもらえる体制を再構築するという意味では、特区民泊の新規受付終了は的確な措置である」という認識を示しました。
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そのほか会見では、大阪出身の歌手である香西かおりさんの「地域魅力創出アドバイザー」就任や、丹波篠山市との連携協定「美食街道プロジェクト」の取組み、体験型デジタルアートミュージアム「MIRACLE WORLD」の新規開業、キン肉マンとミャクミャクのコラボ商品第3弾の発売などについて発表がありました。

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