• 訪日シンガポール人の78.7%がリピーター
    • ハイシーズンは12月、日本の冬を楽しむ
    • 一人あたり消費額は東南アジアで最大

インバウンドにおけるシンガポール市場の特徴とは

訪日シンガポール人数は2019年には約49万人で、2023年には約59万人となりました。2023年、訪日シンガポール人は一人あたり28万5,241円を訪日旅行時に使っています。訪日シンガポール人のインバウンド市場で特筆すべき点は「78.7%の高リピーター率」「ハイシーズンは12月」「一人あたり消費額の多さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。

訪日シンガポール人インバウンド市場、3つの特徴を解説

1. 訪日シンガポール人の78.7%がリピーター

2023年第3四半期(7〜9月期)の訪日シンガポール人は、全体のうち78.7%がリピーターでした。リピーター率の高さでは、調査された20か国の中で香港、台湾に次いで第3位となっており、日本を何度も訪れる日本好きのシンガポール人が多いことが数値から見てとれます。

シンガポールは平均収入が高く、訪日旅行をするにあたり大きな金銭的負担を乗り越える必要が無いことも、高いリピーター率の要因といえるでしょう。

2. ハイシーズンは12月、日本の冬を楽しむ

コロナ前の訪日シンガポール人観光者数の遷移を月別に見てみると、12月に多くのシンガポール人が訪日していることがわかります。2019年12月の訪日シンガポール人は10万376人で、年間の訪日シンガポール人の約20%が12月に集中していました。2023年も同様の傾向が見られ、年間全体の約19%が12月に訪日しています。

シンガポールは赤道付近に位置し、年間を通して温暖な気候であるため、日本の雪や温泉などの冬を体験しに来るシンガポール人が多いようです。シンガポール人向けのインバウンド対策は、12月に集中して行うことも効果的であると考えられます。

3. 一人あたり消費額は東南アジアで最大

2023年年間のデータでは、訪日客数でみるとシンガポールは東南アジアの6か国の中でタイ、フィリピンに次ぐ第3位にとどまりますが、一人あたり消費額は東南アジアで最大となる約29万円を記録しています。

シンガポール人は欧米圏の人々のように、日本の文化体験などに興味を示す人が多く、コト消費に重点を置く傾向があるともいわれており、それが消費単価の高さにもつながっていると考えられます。

コロナ明けに上振れしたシンガポール人の一人あたり消費額を維持するためには、高付加価値、高単価なアクティビティなどを用意できるかがカギとなりそうです。

シンガポール人の特徴

シンガポール人の性格・国民性

シンガポール人の性格・国民性には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。

  • 負けず嫌い
    • シンガポールには「キアス(KIASU)」という言葉があります。日本語で翻訳すると「負けたくない」「1番でなくてはならない」という意味になります。東南アジア経済の中心であるシンガポールは一般的に競争社会であり、他人に負けることを良しとしない風潮が存在しています。たとえ限定商品やコンサートのチケットを手に入れるためだけにでも長蛇の列ができます。
  • 効率性を重視する
    • 東南アジアの経済の中心であるシンガポールにはビジネス目的で世界中から人が集まります。こうした背景もあってか、シンガポールでは「時間・お金を無駄にしない」という文化が根付いています。
  • ルールを守り礼儀正しい
    • 東京23区とほぼ同じ面積であるシンガポールでは、治安も良く町も清潔に保たれています。これを可能にしているのはシンガポール政府によってつくられた環境公衆衛生法。たまに耳にするようにシンガポールでは公衆の場所を汚す行為に対して罰金を科しています。喫煙やチューイングガムでさえも厳しく取り締まられており、こうした理由からシンガポール人はルールをきちんと守り、他人に対しても礼儀正しい傾向にあります。
  • お得感に敏感 Buy 1 Free 1(1つ買えばもう一つ無料)のような宣伝がシンガポールの街中では多くみられます。シンガポール人はお金の話を比較的好んでおり、ものの値段や割引に関する話は日常茶飯事です。

<参照>

  • The Smart Local:15 Traits That Make Us Singaporeans
  • 明石書店出版:田村麗子著「シンガポールを知るための65章」

シンガポール人と接するうえで気を付けておきたいマナー

中華系の民族が国民の74%をしめるシンガポールでは、年上を敬うなど基本的に中華式のマナーをもとに行動することが求められます。シンガポール人と食事をする際に特に気を付けるべきことは、以下の点です。

とりわけ食事の際は、

  • 箸で誰かを指してはいけない
  • 箸をご飯茶わんの中に立てはいけない
  • 魚を食べる際、魚をひっくり返してはいけない
  • 左手で食べ物に触れない
  • テーブル上では年上の人の指示に従う

などのことを頭に入れておくべきでしょう。

<参照>

  • 明石書店出版:田村麗子著「シンガポールを知るための65章」
  • 外務省:シンガポール共和国(Republic of Singapore)
  • MARINA BAY SANDS ホームページ:シンガポールのテーブルマナー

シンガポール人の親日度・日本語学習者数

電通「ジャパンブランド調査」によると、シンガポールは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち7位となっており、高い親日度を持っていることが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、シンガポールには2015年時点で30校の日本語教育機関と227人の日本語講師が存在し、10,798人が日本語を学習しています。(*2)

<参照>

(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査

シンガポール人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?

シンガポールはAndroidがiOSより人気で、約65%のシェアを持っています。しかし、シンガポールの所得水準は世界でも有数の高さを持っていることからiPhoneも一定の人気を持っています。

また、スマートフォン使用率が91%と非常に高いことも特徴です。

人気のSNSアプリはiOS・Android共にTelegramとWhatsAppがランクインしています。WhatsAppはアメリカ製、Telegramはロシア製のアプリで、それぞれ世界中で利用されているチャットアプリの一つです。

2023年・2024年 シンガポールの祝日カレンダー

▲シンガポールの祝日・休日カレンダー(2023年):訪日ラボ作成
▲シンガポールの祝日・休日カレンダー(2024年):訪日ラボ作成
2023年 2024年
元日 1月1日〜1月2日(1月2日は振替休日) 1月1日
春節(旧正月) 1月22日~1月24日(1月24日は振替休日) 2月10日〜2月12日(2月12日は振替休日)
グッド・フライデー(聖金曜日) 4月7日 3月29日
ハリラヤ · プアサ(断食明け祭日) 4月22日 4月10日
メーデー(労働者の日) 5月1日 5月1日
ウェサック・デー(仏誕節) 6月2日 5月22日
ハリラヤ・ハジ(メッカ巡礼祭) 6月29日 6月17日
独立記念日 8月9日 8月9日
ディーパバリ(ヒンドゥー教光の祭典) 11月12日〜11月13日(11月13日は振替休日) 10月31日
クリスマス 12月25日 12月25日

シンガポールの歴史

14世紀ごろまでは現在シンガポールが位置する場所に正式な国は存在していませんでしたが、マラッカ海峡の玄関口であるシンガポール付近は、主に外国の交易船の停泊所として利用されていたり、海賊が住んでいたといわれています。

その後、当時隆盛を極めていたオランダ・ポルトガルの支配下に置かれますが、19世紀になると英・東インド会社による植民地支配がスタート。近代シンガポールの父ともいわれるトーマス・ラッフルズがシンガポールの立地・アクセスの良さに目をつけ都市化を進めます。

このようにイギリスと深い結びつきがあるシンガポールは、太平洋戦争時に日本軍に攻撃され、宗主国であったイギリスはシンガポールを手放します。日本はシンガポールを「昭南島」と改名。後の暴動を抑えるために、反日感情をもっていた中華系民族などに徹底的な弾圧を行いました。その後、日本の敗戦によりシンガポールは再びイギリス領に戻りますが、今度は独立運動が激化。シンガポールで大多数を占める2大民族であるマレー系・中華系人民は、政治面でこそ対立しましたが、1965年、英連邦加盟国というかたちで独立を達成。シンガポールが誕生しました。

その後、アジア諸国へのアクセスの良さや、無関税の自由港であったことを理由に、貿易・金融市場を大幅に発展させることに成功。観光地としてもマリーナベイサンズが世界的な人気を集めており、カジノの国としても多くの観光客を魅了しています。


<参照>

- 外務省:シンガポール共和国(Republic of Singapore)
- 明石書店出版:田村麗子著「シンガポールを知るための65章」

シンガポール宗教観

2015年時点で国民の約74%が華人であるシンガポールでは、長年仏教と道教が最大の割合を占めていました。しかし、近年ではどちらの宗教も信仰者が減っています。1980年の時点で道教はシンガポール国民のうち30%の信仰者を抱えていましたが、2015年にはその数は10%にまで下がっています。仏教とも2000年に43%と最大に増えた後、2015年には33%と縮小しました。

一方、最近シンガポールで増え始めているのはキリスト教徒です。1980年にはシンガポールの人口の10%がキリスト教を信仰していましたが、2015年にはその数は19%にまで増えました。背景には華人の間で英語教育が進んだことがあると考えられます。

シンガポールの国勢調査によると、2010年段階ではもっとも多いのが仏教徒(33.3%)となっており、次点にキリスト教徒(18.3%)が続きます。その他にもイスラム教徒(14.7%)、道教徒(10.9%)なども混在しているため、訪日シンガポール人と接する際には、宗教上のマナー・タブーとされていることに理解を深めておくことが重要です。

<参照>

- 明石書店出版:田村麗子著「シンガポールを知るための65章」

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