- ハイシーズンは春季と10月・12月、「北米」でみると春季がチャンス
- 滞在期間が比較的長く、個別手配がほとんど
- 宿泊への支出は増加
インバウンドにおけるカナダ市場の特徴とは
訪日カナダ人数は2019年には約38万人で、2023年には約43万人となりました。2023年、訪日カナダ人は一人あたり27万3,329円を訪日旅行時に使っています。訪日カナダ人のインバウンド市場で特筆すべき点は「ハイシーズンは春季と10月、12月」「滞在期間の長さと個別手配の多さ」「宿泊費の多さ」の3つです。それぞれ詳しく解説していきます。
訪日カナダ人インバウンド市場、3つの特徴を解説
1. ハイシーズンは春季と10月・12月、「北米」でみると春季がチャンス
コロナ前2019年までの傾向では、訪日カナダ人のハイシーズンは3月~5月の春季、および10月、12月でした。隣接するアメリカからの訪日客との兼ね合いでみると、春季のハイシーズンは時期がかぶっているものの、10月、12月はかぶっていません。大きく「北米向け」というくくりでインバウンド対策を行う場合には、春季を狙うのも効果的だと考えられます。
2. 滞在期間が比較的長く、個別手配がほとんど
カナダは日本との時間距離が遠いため、一回当たりの滞在期間は長期化する傾向にあります。2023年第3四半期(7〜9月期)のデータでは、7~13日間の滞在が37.2%と最も多いものの、2週間以上の滞在も3割以上を占めています。またコロナ前の2019年には、カナダは他の欧米豪圏の国と比較して団体ツアーの割合が大きいという特徴がありましたが、2023年第3四半期のデータではそのような傾向は見られず、むしろ他の欧米豪諸国に比べて団体ツアーの割合は低くなっています。
訪日カナダ人市場を獲得していくにあたっては、他の欧米豪圏の国と同様、個人旅行(FIT)を念頭に置いたインバウンド対応が求められます。
3. 宿泊への支出は増加
滞在期間の長さに起因する訪日カナダ人のもう一つの特徴として、支出に占める宿泊費の割合の多さが挙げられます。2023年年間のデータでは、宿泊費が旅行支出全体の約41%を占めています。さらに米ドルと同様、カナダドルに対しても円安が進行していることにより、訪日カナダ人の間では、よりランクの高い宿泊施設を選ぶ傾向も出てきているようです。それぞれの顧客に合わせてパーソナライズされた高付加価値・高単価なサービスを用意できるかが、訪日カナダ人観光客の消費額上昇のカギだといえるでしょう。
カナダ人の特徴
カナダ人の性格・国民性
カナダは常にアメリカと比べられがちですが、勝ち負けにこだわり実力主義なアメリカ人とは異なり、カナダ人はおおらかで細かいことは気にしない性格の人が多いと言えます。医療制度の崩壊が目に見えて進んでいるアメリカとは異なり、カナダは医療から教育まで福祉が充実しているほか、政治的にも安定しており犯罪も少ないため、アメリカ人のように常に周りに気を配る人は少ないようです。
人によってはアメリカに対して良い印象を持っておらず、アメリカ人と混同されることを非常に嫌います。愛国心と信仰心はアメリカ人に負けない程に持っている人が多いようです。
カナダ人と接するうえで気を付けておきたいマナー
カナダは多民族国家であるため、カナダ人全体として重んじられているマナーはあまり多くありません。また、生活習慣は隣のアメリカ合衆国と似通っており、多くのマナーもアメリカ合衆国と共通です。 例えば、初対面同士でハグする人は少ない、伝えたいことははっきり伝える等の習慣が存在します。また、レディーファーストはかなり多くの人が実践しています。
カナダ人の親日度・日本語学習者数
電通「ジャパンブランド調査」によると、カナダは2019年時点で「親日度ランキング」全20か国のうち18位となっており、親日度が特別に高い訳ではないことが分かります。(*1) 国際交流基金「海外日本語教育機関調査」によると、カナダには2015年時点で178校の日本語教育機関と727人の日本語講師が存在し、19,601人が日本語を学習しています。(*2)
<参照>
(*1)電通 チーム・クールジャパン「ジャパンブランド調査2019」 (*2)国際交流基金 2015年度 海外日本語教育機関調査
カナダ人のスマホ事情:人気の機種やSNSは?
カナダはiOSがAndroidより人気で、約52%のシェアを持っています。この比率はアメリカと類似しており、カナダの平均所得も世界平均より高水準であることから、特に高所得層にはiPhoneが好まれているようです。
人気のSNSアプリはiOS・Android共にFacebook MessengerとWhatsAppがランクインしています。これらは共にアメリカ企業のSNSアプリです。また、Android第3位にランクインしているDiscordもアメリカ企業で開発されており、ゲーマー向けのオールインワン・コミュニケーションアプリです。人気SNSアプリランキングの構成もアメリカと似通っていることが特徴です。
2023年・2024年 カナダの祝日カレンダー
2023年 | 2024年 | |
---|---|---|
元日 | 1月1日〜1月2日(1月2日は振替休日) | 1月1日 |
グッドフライデー(聖金曜日) | 4月7日 | 3月29日 |
イースター・マンデー(復活祭月曜日) | 4月10日 | 4月1日 |
ビクトリア・デー(ビクトリア女王誕生日) | 5月22日 | 5月20日 |
カナダ・デー(建国記念日) | 7月1日(7月3日は振替休日) | 7月1日 |
市民の祝日 | 8月7日 | 8月5日 |
レイバー・デー(労働者の日) | 9月4日 | 9月2日 |
トゥルース・アンド・リコンシリエーション・デー(真実と調和の日) | 9月30日(10月2日は振替休日) | 9月30日 |
感謝祭 | 10月9日 | 10月14日 |
戦没者追悼日(リメンバランス・デー) | 11月11日 | 11月11日 |
クリスマス | 12月25日 | 12月25日 |
ボクシング・デー | 12月26日 | 12月26日 |
カナダの歴史
カナダには紀元前4万年前頃から先住民族が居住していました。1497年にはイギリス人とフランス人によりカナダが発見されヨーロッパの知るところとなり、フランスは1526年頃よりカナダの植民地化を進めますが1763年にはイギリスとの戦争に敗北し、カナダはイギリス領となります。
1867年には植民地から自治領となり、1926年には外交権が付与され、1931年には他の英連邦諸国と共に独立を達成しました。1964年には現在の国旗が制定され、1982年にはカナダ憲法が成立したことにより独立国としての性格を大きく高めました。現在ではバンクーバー近辺に広東系中国人の移民が多く在住するなど、多民族国家としての性格も併せ持つようになっています。
カナダ宗教観
カナダで最も多く信仰されている宗教はキリスト教です。カトリックがプロテスタントを上回っています。合わせてイスラム教、ユダヤ教をはじめとする各種宗教が存在します。カナダは信仰の自由が保障されているため、これらの宗教はそれぞれ独自の活動をしています。
基本的な宗教分布はアメリカと似通っていますが、キリスト教における日曜礼拝への参加率はアメリカの方が高く、カナダ人はより世俗的な信仰を持っていると言えます。また国民の祝日はクリスマスやイースターなどキリスト教に基づいているため、キリスト教中心の社会が成り立っていると言えます。
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