訪日外国人観客数が初めて2000万人を突破し、インバウンド業界にとっては記念すべき年となった2016年も、もうすぐ終わり。インバウンド市場をさらに盛り上げたい……というのは政府が掲げている目標であると同時に、インバウンド事業に注力する観光業、小売業関係者の希望でもあります。しかし、実際にはこれからどうなっていく見込みなのでしょうか。
平成28年(2016年)12月16日、矢野経済研究所が百貨店、ブランド企業などを対象に調査を行い、今後のインバウンド業界の動向をデータから予測した「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」を発表しました。
今回は、この「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」から、2020年の動向予測をご紹介しましょう。
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「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」の調査内容
「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」が行われたのは、2016年1月~9月までの期間。百貨店、ブランド企業、その他小売業などを対象に、矢野経済研究所の専門研究員による直接面談や電話によるヒアリング、文献調査などが実施されました。
同調査ではインバウンド市場が「日本国内で訪日外国人客(ビジネス目的も含む)が主に物品を購入した規模」を定義されており、商品ごとの市場を調査し、それぞれの市場ごとにインバウンド購入金額を算出することで市場規模を導き出しています。
また、2003年~2015年までの訪日外国人観光客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などをもとに分析することで、2020年までの訪日外国人観光客数の予測も行っています。
2020年までのインバウンド市場の動向は?:2016年以降は安定した伸びを見せる見込み
では、矢野経済研究所がデータから予測するこれからのインバウンド業界の道のりはどのようなものなのでしょうか。以下にご紹介していきます。
2020年までの訪日外国人観光客数の推移予測
訪日外国人観光客数の推移予測は以下の通りとなっています。
- 2014年:1,341万人(実測値)
- 2015年:1,974万人(実測値)
- 2016年:2,467万人
- 2017年:2,822万人
- 2018年:3,086万人
- 2019年:3,248万人
- 2020年:3,679万人
2011年(622万人)から2015年までの5年間で、訪日外国人観光客数は約3倍に増加。2016年にも大きな伸びを見せましたが、次第に増加率が低下し、穏やかに安定して成長していくようになり、「2020年に訪日外国人観光客数4,000万人」という日本政府が掲げている目標は達成されないというのが矢野経済研究所の予測です。
とはいえ、国内の経済環境、市場環境がある程度継続すれば、2015年から2020年までに訪日外国人観光客数が約1.9倍にまで膨れ上がると見ており、これからもどんどん市場規模が拡大していくと思われます。
2020年までのインバウンド市場規模の推移予測
インバウンド市場規模の推移予測は以下の通りとなっています。なお、これは物品購入のみを算出しており、宿泊費、交通費はカウントされていません。
- 2014年:8,074億円(実測値)
- 2015年:14,849億円(実測値)
- 2016年:13,088億円
- 2017年:15,380億円
- 2018年:16,356億円
- 2019年:16,889億円
- 2020年:18,764億円
訪日外国人観光客数と比較すると、消費額の2015年以降の伸び率は低調という予測結果になっています。2016年に一時的に低下しているのは中国政府が関税の取り締まり強化などを行ったことで、代理購入や業者購入に依存していた爆買いが見られなくなったためです。
2017年以降の訪日外国人観光客1人当たりの購買単価が2016年の水準を持続し、人数の増加に応じて緩やかに増加する見込み。2020年には2015年の約1.3倍にあたる1兆8,764億円を記録すると見られています。ただし、消費動向は為替相場などに大きく影響されるため、2兆円を突破する可能性もあります。
まとめ:2016年以降は堅実な伸び率
平成28年(2016年)12月16日、矢野経済研究所が百貨店、ブランド企業などを対象とした調査から、2020年までのインバウンド業界動向の推移予測を発表しました。これによれば、2016年以降のインバウンド業界は爆買いなどに依存しない安定した伸びを享受することになり、2015年から2020年までに訪日外国人観光客数は約1.9倍、市場規模は約1.3倍になるとにらんでいます。
かねてから言われていることではありますが、これから重要になってくるのはリピーターの確保だと考えられています。一度日本に来てくれた訪日外国人観光客が、もう一度旅行してみたいと思ってくれるよう努力していくことが、2016年以降のキーポイントとなります。
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