訪日外国人観客数が初めて2000万人を突破し、インバウンド業界にとっては記念すべき年となった2016年も、もうすぐ終わり。インバウンド市場をさらに盛り上げたい……というのは政府が掲げている目標であると同時に、インバウンド事業に注力する観光業、小売業関係者の希望でもあります。しかし、実際にはこれからどうなっていく見込みなのでしょうか。
平成28年(2016年)12月16日、矢野経済研究所が百貨店、ブランド企業などを対象に調査を行い、今後のインバウンド業界の動向をデータから予測した「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」を発表しました。
今回は、この「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」から、2020年の動向予測をご紹介しましょう。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」の調査内容
「国内インバウンド市場に関する調査(2016年)」が行われたのは、2016年1月~9月までの期間。百貨店、ブランド企業、その他小売業などを対象に、矢野経済研究所の専門研究員による直接面談や電話によるヒアリング、文献調査などが実施されました。
同調査ではインバウンド市場が「日本国内で訪日外国人客(ビジネス目的も含む)が主に物品を購入した規模」を定義されており、商品ごとの市場を調査し、それぞれの市場ごとにインバウンド購入金額を算出することで市場規模を導き出しています。
また、2003年~2015年までの訪日外国人観光客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などをもとに分析することで、2020年までの訪日外国人観光客数の予測も行っています。
2020年までのインバウンド市場の動向は?:2016年以降は安定した伸びを見せる見込み
では、矢野経済研究所がデータから予測するこれからのインバウンド業界の道のりはどのようなものなのでしょうか。以下にご紹介していきます。
2020年までの訪日外国人観光客数の推移予測
訪日外国人観光客数の推移予測は以下の通りとなっています。
- 2014年:1,341万人(実測値)
- 2015年:1,974万人(実測値)
- 2016年:2,467万人
- 2017年:2,822万人
- 2018年:3,086万人
- 2019年:3,248万人
- 2020年:3,679万人
2011年(622万人)から2015年までの5年間で、訪日外国人観光客数は約3倍に増加。2016年にも大きな伸びを見せましたが、次第に増加率が低下し、穏やかに安定して成長していくようになり、「2020年に訪日外国人観光客数4,000万人」という日本政府が掲げている目標は達成されないというのが矢野経済研究所の予測です。
とはいえ、国内の経済環境、市場環境がある程度継続すれば、2015年から2020年までに訪日外国人観光客数が約1.9倍にまで膨れ上がると見ており、これからもどんどん市場規模が拡大していくと思われます。
2020年までのインバウンド市場規模の推移予測
インバウンド市場規模の推移予測は以下の通りとなっています。なお、これは物品購入のみを算出しており、宿泊費、交通費はカウントされていません。
- 2014年:8,074億円(実測値)
- 2015年:14,849億円(実測値)
- 2016年:13,088億円
- 2017年:15,380億円
- 2018年:16,356億円
- 2019年:16,889億円
- 2020年:18,764億円
訪日外国人観光客数と比較すると、消費額の2015年以降の伸び率は低調という予測結果になっています。2016年に一時的に低下しているのは中国政府が関税の取り締まり強化などを行ったことで、代理購入や業者購入に依存していた爆買いが見られなくなったためです。
2017年以降の訪日外国人観光客1人当たりの購買単価が2016年の水準を持続し、人数の増加に応じて緩やかに増加する見込み。2020年には2015年の約1.3倍にあたる1兆8,764億円を記録すると見られています。ただし、消費動向は為替相場などに大きく影響されるため、2兆円を突破する可能性もあります。
まとめ:2016年以降は堅実な伸び率
平成28年(2016年)12月16日、矢野経済研究所が百貨店、ブランド企業などを対象とした調査から、2020年までのインバウンド業界動向の推移予測を発表しました。これによれば、2016年以降のインバウンド業界は爆買いなどに依存しない安定した伸びを享受することになり、2015年から2020年までに訪日外国人観光客数は約1.9倍、市場規模は約1.3倍になるとにらんでいます。
かねてから言われていることではありますが、これから重要になってくるのはリピーターの確保だと考えられています。一度日本に来てくれた訪日外国人観光客が、もう一度旅行してみたいと思ってくれるよう努力していくことが、2016年以降のキーポイントとなります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!