日本人は謝りすぎ。自分に非がないのに謝るのは、グローバルスタンダードではない――誰もが、一度はこのような主張を耳にしたことがあるでしょう。
日本人が海外ですぐに「I’m sorry」と口にしてしまう原因のひとつは、「すみません」という言葉が多義的な意味を持っていること。相手に対する謝罪だけでなく、「すみませんが、よろしくお願いします」「そこまでしていただけるとは、すみません」といった具合に、依頼や感謝の表現としても使用することができます。
日本国内にいる限り、非常に使い勝手がよい言葉ですが、海外で「すみません」の英語訳のつもりで「I’m sorry」と発言してしまうとトラブルの種になりかねません。なお、「外国人のようにハッキリした態度を取るべき」という主張で、この手の話が出ることもありますが、「I’m sorry」にも「お気の毒に」「悪いけど」などの意味があり、いろいろな場面で使えます。しかし、訳語として使えるかどうかはケースバイケースで異なるため、判断が難しいところ。とにもかくにも「すみません」は日本語にしかない特殊な言葉と、わきまえたほうがよいでしょう。
このように”日本でしか使えない”とネガティブな印象を持たれがちな「すみません」。逆に、日本国内での使い勝手の良さを活かし、訪日外国人観光客に使ってもらうことをコンセプトにした「SUMIMASENカード」の制作プロジェクトが進められています。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
SUMIMASENカードとは:「すみません」はいつでも使える日本共通語!
「SUMIMASENカード」は、東京グラフィックサービス工業会が主催する「ビジネスアイデアコンテスト2015」で最優秀賞に輝いた「Sumimasenからはじまるおもてなしマップ」を商品化したもの。
https://www.youtube.com/watch?v=0AL5PU9XB9o
「Sumimasenからはじまるおもてなしマップ」のプレゼン動画によると、訪日外国人観光客が日本に対して抱く「外国語サービスが足りない」「食券システムが分からない」「食べ方を聞いても教えてくれない」といった不満は、いずれも言葉の問題と一言にまとめることができます。外国語で声を掛けただけで避けてしまう人もおり、日本滞在中はコミュニケーションの難しさを感じることが多いようです。
ここから誕生したのが、ガイドマップにミシン目で切り取ることができる質問カードを付け、その上部に「尋ねる時は、まず『すみません』と言ってください」と記載するアイディアです。日本人同士でも知らない人に話しかけるときには「すみません」と頭に付けるのが一般的なため、この一言が入るだけで安心感を得ることができるそうです。また、どんな場面でも使える万能な表現のため、訪日外国人観光客にとっては非常に役立つ表現なのではないでしょうか。
また、質問カードには「言葉でも筆談でもジェスチャーでもなんでもOKです! 教えてください!」というお願いと、日本語を含む多言語で書かれた質問文が書かれており、これを手渡すことで、日本語での適切な質問の仕方がまったく分からなくてもコミュニケーションを取ることができます。
「わざわざこのようなアナログな方法を取らなくても、翻訳アプリを使って質問すればよいのではないか」。そんな疑問を抱く人もいるでしょう。翻訳アプリはオンラインでしか使えないものが多く、Wi-Fiスポットが少ない日本では肝心なときに役に立たなかったり、そもそもスマホが電池切れで使えなかったりというケースがあるのだそうです。
また、アナログだからこそ簡単にできる「手渡す」という動作にも意味があるのではないでしょうか。訪日外国人観光客から質問カードを受け取ったにもかかわらず何もしないのは申し訳ないと思い、外国語が苦手でもつい協力できないかと考えてしまうのが、日本人の自然な心理なのではないでしょうか。
まとめ:訪日外国人観光客がコミュニケーションしやすい環境づくり
多義的であらゆる場面で使えてしまう「すみません」という言葉は、国内ではネガティブなイメージを持たれがちです。「I’m sorry」が英語訳に当たると思っている人が多いものの、これは事実とは異なります。そのため、海外に行った日本人が誤解を招いたり、「すみません」のつもりで多用し、いわゆる”グローバルスタンダードではない、気の弱い日本人”になってしまうためです。
たしかに、ビジネスシーンで「すみません」「I’m sorry」を使いすぎるのはよくないでしょう。しかし、言葉が分からず、周囲から協力を得る必要がある旅行中は違います。「SUMIMASENカード」は、逆に訪日外国人観光客に積極的に「すみません」と言うよう促し、日本国内でのコミュニケーションを円滑にすることを目指しており、日本人から「協力したい」「困りごとを解決させてあげたい」という心理を引き出しやすくなるメリットがあります。
また、「すみません」の一言だけではありますが、自国では味わえない日本語の世界に飛び込む経験も、訪日外国人観光客にとっては思い出になるのではないでしょうか。
【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント
2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。
しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。
本セミナーでは、インバウンド戦略の基本を押さえた上で、「中国市場の最新動向」と「具体的な対策」について、わかりやすく解説します。
<本セミナーのポイント>
- インバウンド戦略の基本が学べる!
- 中国インバウンド市場の規模と最新トレンドがわかる!
- 中国特有のSNS・地図アプリを踏まえた対応策を学べる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント【7/9開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!