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日本人は謝りすぎ。自分に非がないのに謝るのは、グローバルスタンダードではない――誰もが、一度はこのような主張を耳にしたことがあるでしょう。

日本人が海外ですぐに「I’m sorry」と口にしてしまう原因のひとつは、「すみません」という言葉が多義的な意味を持っていること。相手に対する謝罪だけでなく、「すみませんが、よろしくお願いします」「そこまでしていただけるとは、すみません」といった具合に、依頼や感謝の表現としても使用することができます。

日本国内にいる限り、非常に使い勝手がよい言葉ですが、海外で「すみません」の英語訳のつもりで「I’m sorry」と発言してしまうとトラブルの種になりかねません。なお、「外国人のようにハッキリした態度を取るべき」という主張で、この手の話が出ることもありますが、「I’m sorry」にも「お気の毒に」「悪いけど」などの意味があり、いろいろな場面で使えます。しかし、訳語として使えるかどうかはケースバイケースで異なるため、判断が難しいところ。とにもかくにも「すみません」は日本語にしかない特殊な言葉と、わきまえたほうがよいでしょう。

このように”日本でしか使えない”とネガティブな印象を持たれがちな「すみません」。逆に、日本国内での使い勝手の良さを活かし、訪日外国人観光客に使ってもらうことをコンセプトにした「SUMIMASENカード」の制作プロジェクトが進められています。

 

SUMIMASENカードとは:「すみません」はいつでも使える日本共通語!

「SUMIMASENカード」は、東京グラフィックサービス工業会が主催する「ビジネスアイデアコンテスト2015」で最優秀賞に輝いた「Sumimasenからはじまるおもてなしマップ」を商品化したもの。

「Sumimasenからはじまるおもてなしマップ」のプレゼン動画によると、訪日外国人観光客が日本に対して抱く「外国語サービスが足りない」「食券システムが分からない」「食べ方を聞いても教えてくれない」といった不満は、いずれも言葉の問題と一言にまとめることができます。外国語で声を掛けただけで避けてしまう人もおり、日本滞在中はコミュニケーションの難しさを感じることが多いようです。

ここから誕生したのが、ガイドマップにミシン目で切り取ることができる質問カードを付け、その上部に「尋ねる時は、まず『すみません』と言ってください」と記載するアイディアです。日本人同士でも知らない人に話しかけるときには「すみません」と頭に付けるのが一般的なため、この一言が入るだけで安心感を得ることができるそうです。また、どんな場面でも使える万能な表現のため、訪日外国人観光客にとっては非常に役立つ表現なのではないでしょうか。

また、質問カードには「言葉でも筆談でもジェスチャーでもなんでもOKです! 教えてください!」というお願いと、日本語を含む多言語で書かれた質問文が書かれており、これを手渡すことで、日本語での適切な質問の仕方がまったく分からなくてもコミュニケーションを取ることができます。

「わざわざこのようなアナログな方法を取らなくても、翻訳アプリを使って質問すればよいのではないか」。そんな疑問を抱く人もいるでしょう。翻訳アプリはオンラインでしか使えないものが多く、Wi-Fiスポットが少ない日本では肝心なときに役に立たなかったり、そもそもスマホが電池切れで使えなかったりというケースがあるのだそうです。

また、アナログだからこそ簡単にできる「手渡す」という動作にも意味があるのではないでしょうか。訪日外国人観光客から質問カードを受け取ったにもかかわらず何もしないのは申し訳ないと思い、外国語が苦手でもつい協力できないかと考えてしまうのが、日本人の自然な心理なのではないでしょうか。

 

まとめ:訪日外国人観光客がコミュニケーションしやすい環境づくり

多義的であらゆる場面で使えてしまう「すみません」という言葉は、国内ではネガティブなイメージを持たれがちです。「I’m sorry」が英語訳に当たると思っている人が多いものの、これは事実とは異なります。そのため、海外に行った日本人が誤解を招いたり、「すみません」のつもりで多用し、いわゆる”グローバルスタンダードではない、気の弱い日本人”になってしまうためです。

たしかに、ビジネスシーンで「すみません」「I’m sorry」を使いすぎるのはよくないでしょう。しかし、言葉が分からず、周囲から協力を得る必要がある旅行中は違います。「SUMIMASENカード」は、逆に訪日外国人観光客に積極的に「すみません」と言うよう促し、日本国内でのコミュニケーションを円滑にすることを目指しており、日本人から「協力したい」「困りごとを解決させてあげたい」という心理を引き出しやすくなるメリットがあります。

また、「すみません」の一言だけではありますが、自国では味わえない日本語の世界に飛び込む経験も、訪日外国人観光客にとっては思い出になるのではないでしょうか。

 

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