近年、新しい宿泊施設のあり方として大きな注目を集めている民泊。世界を巻き込んだ大きなビジネスになりつつあり、訪日外国人観光客の増加を目指す日本でも法整備が進んでいます。
また、地方創生、社会問題、関連業界への影響などさまざまな側面から議論が行われていますが、インバウンドビジネスにはどのような影響があるのでしょうか。今回は民泊のメリット、デメリットについて解説していきます。
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そもそも民泊とは
現在、民泊は「旅館業を営む施設ではなく、有償で民家に宿泊すること」とされています。昔は旅人に食事を振る舞い、無償で宿泊させることは珍しくありませんでしたが、時代が進むにつれて旅館やホテルなどの宿泊施設が増加し、民泊は少なくなりました。
しかし、2008年頃「Airbnb(エアビーアンドビー)」をはじめとした民泊仲介サービスが登場。安価なうえに、宿の提供者や地域ならではの体験ができることから世界中でユーザーを獲得しています。
Airbnb(エアビーアンドビー)が発表した「2016年に訪れるべき世界の16地域」では、大阪府大阪市中央区が1位に輝きました。これは2015年のAirbnb(エアビーアンドビー)利用者の旅行パターンを調査し、前年から大きく人気が上昇した地域をランキング形式で紹介したもの。日本にも民泊が浸透していることが伺える調査結果だと言えるのではないでしょうか。
インバウンドビジネスにおける民泊のメリット
民泊は、訪日外国人観光客を対象としたインバウンドビジネスにどのようなメリットがあるのでしょうか。
宿泊施設の不足への対応
観光立国の方針のもと、日本では急速に訪日外国人観光客が増加。これにより、宿泊施設不足が起こっており、民泊はその解決策として注目されています。空き部屋を利用すればすぐに始められ、ホテルや旅館をよりもスピーディーに開業できるためです。
日本では2016年4月から、部屋面積や避難経路の確保などを条件として民泊の許可を行うようになりました。東京オリンピックによる訪日外国人観光客の増加を視野に入れた取り組みで、現在もルール作りなどをめぐる議論が続いています。
ディープな体験を売りにしやすい:地方にも注目が集まる
民泊が人気を集めているのは、ホテルや旅館に宿泊するよりもディープな観光体験ができるため。旅館にはない変わった部屋、宿泊施設のホストとの交流、自国にはない特殊な地域などに期待するユーザーが多いそうです。
民泊が持つこの特徴は観光に弱いとされる地域にもメリットをもたらす可能性があります。その旅行でしか味わえない体験を重視する訪日外国人観光客にとっては、地方独特の文化、ライフスタイル、観光資源が評価されやすいためです。
Airbnb(エアビーアンドビー)は民宿などでも利用できる:訪日外国人観光客は日本らしさを高く評価
ニュースなどではホテル、旅館と民泊は、シェア争いを繰り広げる敵対関係を持っているように描かれることが多くありますが、Airbnb(エアビーアンドビー)で集客しユーザーを獲得した古民宿なども現れています。日本らしさを楽しみにしている訪日外国人観光客にとっては、古い日本家屋などがとても魅力的に見えたのかもしれません。
大手に比べて資金力が乏しく、設備投資が困難な事業者にとって、民泊仲介サービスの流行は、訪日外国人観光客を呼び込むチャンスだと言えるのではないでしょうか。
住民にとってはデメリットも
新しい宿泊スタイルを定着させつつある民泊には、デメリットもあります。特に観光大国であるフランスでは影響が大きく、問題化しています。
パリは、Airbnb(エアビーアンドビー)に登録されている物件が世界で最も多い地域のひとつ。民泊営業を行うアパートなどの所有者が急増し、住宅不足が起きています。家賃相場が上昇したほか、人気のある観光地周辺では、住民が減り学級閉鎖なども起きていると言われています。
このような事態が起こった背景には、民泊を違法に行う事業者の存在があり、税金を支払っていないケースも多いそうです。
では、日本では違法民泊はどのような状況なのでしょうか?京都市の調査によれば、市内にある約2700の施設のうち、少なくとも7割が違法な営業を行っているとのこと。日本は民泊の導入が遅れていると批判する声もありますが、住民の生活が脅かされるおそれがあるため、しっかりと仕組みづくりを行う必要があると思われます。
まとめ:民泊はインバウンドビジネスにとっては有効だが、慎重な導入が必要
訪日外国人観光客は急速に増加しており、その受け皿となる宿泊施設の準備が急がれます。民泊はその解決策として有効で、地方に訪日外国人観光客を呼びこむ手段としても期待できます。
しかし、家賃上昇、違法営業などの社会問題を引き起こすこともあります。日本では条件付きで民泊が解禁されましたが、今後もルール作りのための議論が続くと思われます。
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