交通の便の良さは、顧客を呼び込むうえで重要な要素。日本に不慣れな訪日外国人観光客を呼び込む際には、より使い勝手のよい交通機関が必要となります。
鉄道や飛行機では行くことのできない山間部などの観光地には、主にバスやレンタカーなどが使われます。これらもまた、訪日外国人観光客の増加を受け、さまざまな対応を行っています。今回は訪日外国人観光客の動向を交えつつ、レンタカー、タクシー、バス業界の動向を解説します。
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それぞれの特徴を活かしつつ、訪日外国人観光客に対応
レンタカー:リピーターの多い訪日香港人観光客、訪日台湾人観光客に人気
国際運転免許証などを所有している訪日外国人観光客は、日本で自動車を運転することができ、レンタカーは訪日外国人観光客のあいだで広く使われています。
一部では、日本語が苦手な訪日外国人観光客が交通事故を起こし、日本人とのあいだでトラブルになることを懸念する声が上がっています。あまり好ましくない話ではありますが、それだけ利用者が多いとも言えるでしょう。このような状況に伴い、英語、韓国語、中国語(簡字体)、中国語(繁字体)の4ヵ国語で日本の交通ルールなどを解説した「Car Rental Guide レンタカーご利用ガイド」の作成、配布する取り組みも行われています。
特にレンタカーを利用しているのは、リピーターの多い訪日香港人観光客、訪日台湾人観光客。一般に、リピーターとなった訪日外国人観光客は、ゴールデンルート(東京都、名古屋、京都府などの主要観光都市をめぐる観光周遊ルート)にはない地域を観光する傾向が強いと言われています。レンタカーには、鉄道やバスなどの交通網が整っておらずアクセスしにくい観光地にまで足を運べるメリットがあり、そのような訪日外国人観光客の受け皿になっていると思われます。
タクシー:初乗り料金の値下げ、白タク解禁
日本のタクシーの初乗り運賃は諸外国に比べて高いと言われており、訪日外国人観光客による利用を見据えて料金の引き下げが行われる見込みです。
タクシーの初乗り料金は、東京都都心部が2kmで730円。ニューヨークは320mで約300円、ロンドンは260mで約400円。日本と海外では距離設定が大きく異なるため、料金の多寡は利用ケースによって異なります。とはいえ、心理的には高く感じてしまうものなのかもしれません。料金の引き下げを行う際には、ニューヨーク、ロンドンのように初乗り距離も短くなると予想されています。
また、一部地域で有償の「ライドシェア(相乗り)」を解禁する動きが現れています。日本では白タク行為と呼ばれ、違法とされていました。訪日外国人観光客による需要の増加、欧米を中心にライドシェア仲介サービス「Uber(ウーバー)」が人気を集めていることを考慮したものと思われます。
バス:新ルート開発、運行情報を調べやすくするなどの取り組み
バスはレンタカー、タクシー以上にさまざまな動きを見せています。
新しいルートの開発
各地で積極的に行われているのは、訪日外国人観光客向けのルートの開発。たとえば、富士山周辺を走る「富士五湖定期観光バス」の運行、都心をめぐる周遊バスのトライアル運行などが行われています。いずれも決められた観光スポットをめぐるのが特徴。個人旅行者でも、団体旅行のように簡単に観光スポットを見てまわることができます。
また、各地で空港と都市部を結ぶルートの開発も進んでいます。空港から観光地までのアクセスを良くし、訪日外国人観光客が旅行しやすくすることが目的です。
北海道を数日間かけて周遊
また、バスを飛行機の代わりに使用し、ゆったりとした旅行を楽しむためのツールとして利用する取り組みも。
北海道の観光団体、行政などによる「『プライムロード ひがし北・海・道』推進協議会」は、知床や阿寒湖、十勝などをめぐる周遊バスの試験運行を行うことを発表しました。コースは全4種で、いずれも1日で1往復。1周するには最低でも3泊4日する必要があります。比較的滞在期間の長い旅行者を対象としており、バス乗車券とともに宿泊券の販売も行う予定。
路線バスの運行情報を調べやすく
路線バスの運行情報を調べられるようにする取り組みも進んでいます。
2015年には、Googleマップに全国29社のバスの運行情報が掲載されるように。昭文社による訪日外国人観光客向け無料観光アプリ「DiGJAPAN!」では宮崎交通の協力のもと、バス停番号や時刻表、モデルルートなどを2016年3月から掲載しています。
まとめ:レンタカーやタクシー、バスもインバウンドビジネスに対応中
交通機関の整備は、観光業の発展には欠かせない要素です。いくら魅力的な観光資源があったとしても、アクセスしにくい場所には旅行者は訪れてくれません。
それぞれに需要が異なるレンタカーやタクシー、バスでは、インバウンドビジネスへの対応に向けて、さまざまな取組が行われています。特に都市部から離れた地域、山間部の観光地にとっては、強い味方になると思われます。
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