イスラム教徒(ムスリム)は世界に約16億人おり、世界人口の約4分の1を占めています。パキスタン、イラク、アラブ首長国連邦といった中東諸国に多いイメージがありますが、イスラム教徒の約6割はアジア諸国で生活しています。
特に注目されるのはインドネシア、マレーシア、シンガポール、インドなど著しく経済発展している地域に、イスラム教徒が数多く住んでいること。今後、富裕層、中間層の人口が増加すれば、インバウンドビジネスにおいて大きな市場になることが見込まれています。今回は、今後増加すると思われるイスラム教徒の訪日外国人観光客について解説していきましょう。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)イスラム圏は日本に対して好印象
イスラム教徒が抱く日本への印象は決して悪いものではありません。発展著しい東南アジアでは「メイドインジャパンの自動車やカメラ、食品、化粧品=良いもの」というイメージが定着しています。また、マレーシアでは寿司などを提供する日本食レストランが増加しており、中間層にまで普及しています。
親日国として知られるトルコには、こんなエピソードがあります。1890年、オスマン帝国の軍艦・エルトゥールル号が遭難した際、和歌山県の住民が船員の救助を行いました。この話はトルコでは有名で、1985年にイラン・イラク戦争で窮地に陥ったイラン在住の日本人約200人をトルコ国営航空機が救出したのは、約100年越しの恩返しだと言われてます。同じく中東のイランでは1980年代にNHKの連続テレビ小説「おしん」が放送され、90%を越える視聴率を記録しており、日本はよく知られている国のひとつです。
日本はイスラム教の理解が乏しく旅行しにくい国のひとつ
一般的な日本人がイスラム教徒と接する機会はあまりありませんが、ODAなどによる途上国の援助を通じて、イスラム教徒と接する日本人は少なくありません。これもイスラム圏の国々がポジティブな対日感情を抱く理由のひとつでしょう。
しかし、日本旅行をするイスラム教徒は多くありません。日本はイスラム教を理解し、配慮を行っている飲食店などが少なく、戒律を守りながら旅行するのは難しいのです。そもそもイスラム教徒は、自分たちが快適に過ごせる環境を求めてイスラム教徒の多い国を観光する傾向があります。飲食店も、基本的にはイスラム教徒が経営する店を利用します。
ムスリムの「ハラール」とは「合法である」という意味
近年、よく耳にするようになった「ハラール」。日本では「イスラム教では食べてはいけないとされている豚肉を含まない食事」の印象が強いですが、これは「合法である」を意味する言葉です。そのため、食だけでなく、結婚や身だしなみといった生活に関わるすべてにおいて「ハラール」の概念は適用されます。
イスラムの聖典「クルアーン」に唯一神が人に下した戒律として書かれており、反対に「不法である」を意味する「ハラーム」という言葉もあります。また、ハラールか、ハラームか判断しにくいものは「シュブハ」と呼ばれ、イスラム教徒はこれも避ける傾向があります。
以上の用語をまとめると、
-
- イスラム教として合法である≒食べてもいい物
-
ハラーム
- イスラム教として不法である≒食べてはいけないもの
-
シュブハ
- イスラム教として合法か不法か不明確
となります。
飲食店がハラール対応する場合の注意点
イスラム教徒が豚肉を食べないのは好き嫌いではありません。ハラールな食品を食べなければ、宗教上の戒律が守れなくなるためです。イスラム教徒に食事を提供する場合には、よく注意しましょう。食べてはいけないハラームな食品は以下のようなものです。
- ハラール屠畜(イスラム教の法に則った屠殺の方法)されていない食肉やその派生品
- 豚、その派製品
- 酒、それを含む調味料
そのほか、牙のある動物、捕食動物、ハラームなものと混じった食品なども食べてはいけないとされています。品目数はそこまで多くありませんが、イスラム教に接する機会の少ない日本人にはすべてを把握するのは困難かもしれません。
ハラール認証、ハラール調理師認定の取得を

イスラム教を信仰する訪日外国人観光客に注力したいのであれば、NPO法人日本ハラール協会による「ハラール認証」を取得するのが望ましいと思われます。これは「ムスリムオーナーまたはムスリムシェフが在籍する」「店舗内のアルコール販売がない」「店から提供されるすべてのフードがハラールフード(食材、調味料)」などの制限を守る飲食店に与えられるもので、容易に取得できるものではありません。
より取得しやすいものとして「ハラール調理師認定」という資格も存在します。これは、講習や実習を通じて、ハラールについての正しい知識を学んだ人に与えられます。
イスラム教徒への理解と対応が必要
魚や鶏肉を中心とした日本料理は、イスラム教の戒律上、食べてはいけないハラームな食品が少なく、相性が良いと言われています。イスラム教徒が快適に旅行するためには、さらにお祈りをする場所の確保など問題がいくつもありますが、対応することは不可能ではないはずです。
【12/16開催】ホテルの売上・利益最大化に必須の「3つのポイント」を解説

2025年、ホテル業界はインバウンド回復、需要の激しい変動、OTA経由の予約集中、そして深刻な人手不足といった、かつてない環境変化に直面しています。
このような状況下で、今後も安定的に売上を伸ばし続けるためには、「集客」「予約数の向上」「レベニューマネジメント」の3領域で、確実に成果を出すことが不可欠です。
本セミナーでは、ホテルの売上最大化を支援する3社が、宿泊施設が今すぐ押さえておくべき実践的なポイントをわかりやすく解説。また、自社公式サイトの予約率を向上させた取組事例も併せて紹介します。
<セミナーのポイント>
- ホテルが“選ばれる状態”をつくるためのMEO・口コミ対策の要点が学べる!
- 公式サイトでの自社予約率を高めるための改善ポイントがわかる!
-
テクノロジーを活用してレベニューマネジメントと販売活動をアップデートする考え方が理解できる!
詳しくはこちらをご覧ください。
→ホテルの売上・利益最大化に必須の「3つのポイント」を解説【12/16無料セミナー】
【インバウンド情報まとめ 2025年11月後編】中国の訪日自粛要請、観光庁長官の受け止めは? ほか

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※訪日ラボ会員にご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国の訪日自粛要請、観光庁長官の受け止めは?/ 10月の訪日外客数389.6万人、国別1位は韓国 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年11月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
訪日ラボの会員限定コンテンツ「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!
その他、訪日ラボの会員になるとインバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い教科書コンテンツやインバウンドを分析したレポート、訪日ラボのコンサルチーム登壇のセミナーなど役立つコンテンツが盛りだくさん!



![【売上4倍事例】地方企業の成長を支える「インバウンド×口コミ」戦略を紹介[無料セミナー]](https://static.honichi.com/uploads/entry/image/13845/small_kcom_webinar_bnr_20251210_klab__1_.png)






