大手飲料メーカー「伊藤園」のインバウンド対策:ニーズを理解した施設拡張、専門店の経営、海外向け商品の開発を実施

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

訪日外国人観光客とインバウンド消費の動向 日本政策投資銀行より

訪日外国人観光客とインバウンド消費の動向 日本政策投資銀行より

観光庁による消費税免税制度拡充で、最近では食品類、飲料類、薬品類、化粧品類などを含む消耗品も免税の対象になっています。また、免税対象金額も引き下げられ、免税対象になる金額は5,000円まで引き下がる結果になりました。こうした背景から最近では訪日外国人観光客の間での飲料類の購入率が高くなっています。上記の日本政策投資銀行のデータが、その裏付けとなります。

こうした状況から飲料メーカーにとって訪日外国人観光客は大きなターゲットとなってくるでしょう。では、訪日外国人観光客に人気の商品を作るために大手飲料メーカーこれまでにどのようなインバウンド対策を行っているのでしょうか。以前ご紹介した記事「飲料メーカーのインバウンド対策とは?大手企業の訪日外国人観光客集客術を紹介」から、「伊藤園」のインバウンド対策を詳しく解説していきます。

飲料メーカーのインバウンド対策とは? 大手企業の訪日外国人観光客集客術を紹介

去年の観光庁の免税制度拡充の発表により、飲料業界は魅力的なインバウンド市場へと変わっています。また、それに伴いアサヒやサントリーなど大手飲料メーカーは訪日外国人観光客の集客に向けて様々な取り組みを行っています。では、大手飲料メーカーこれまでにどのようなインバウンド対策を行ってきたのでしょうか? 目次成長が見込まれる飲料業界におけるインバウンド市場 免税制度拡充も追い風にアサヒグループの試み:「対話型自動販売機」の実験、インバウンド対策用ヒントブックの作成などポッカサッポロフード&ビバレッジ...

 


【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】

カンファレンスについて詳しく見てみる

静岡県に抹茶工場を新設:工場新設は実に42年ぶり

2016年6月14日のプレスリリースによると、伊藤園は、伊藤園静岡相良工場に、「抹茶工房」を新設しました。この工場は簡単に言うと、抹茶を製造する工場。2016年6月中旬より稼動が始まっています。

同社の工場新設は実に42年ぶり。こうした工場新設の背景には何があるのでしょうか?

背景には訪日外国人観光客の増加と緑茶飲料市場の伸び:「日本茶」は海外でも人気

同プレスリリースによると、伊藤園は、今回の工場新設に関して、
> 和食のユネスコ無形文化遺産登録や訪日外国人の増加などを背景に、日本の食文化への関心が国内外で高まっています。“抹茶”は日本が世界に誇る伝統の食文化の一つであり、国内市場の抹茶入り製品は、訪日外国人のおみやげとしても人気となっています。
> 日本国内で生産される緑茶の2割以上を取り扱う当社は、お茶のリーディングカンパニーとして、「抹茶工房」を新設することで、さらなる需要増加に対応し、抹茶市場を盛り上げてまいります。-ニュースリリース 「伊藤園」より引用(一部省略)
とコメント。訪日外国人観光客の増加からの、インバウンド需要に応じて、工場を新設したことがわかります。

また、緑茶飲料業界の好調も追い風になっています。伊藤園の調べによると、国内の飲料市場全体が伸び悩む中、緑茶飲料の市場規模は2000年の2171億円から2015年4150億円へ拡大。15年間でおよそ2倍になっています。

理由の1つとしては、消費者の健康志向が挙げられ、国内、国外での緑茶飲料の人気から、これからも市場は拡大していくと考えられます。

海外の人気、訪日外国人観光客の増加から抹茶製造のための工場を新設し、供給量の増加を図る「伊藤園」。他にはどのようなインバウンド対策を行っているのでしょうか?

 

新千歳空港に専門店を開業:訪日外国人観光客集客へ

ニュースリリース 伊藤園より引用

ニュースリリース 伊藤園より引用

2016年2月4日のプレスリリースによると、伊藤園は、同日、新千歳空港国際線旅客ターミナルの商業施設に、お茶の「伊藤園」直営専門店をオープンしました。

店内では、厳選された伊藤園の「日本茶」「抹茶」や、それらの関連商品が、購入できます。また、試飲しながら、「おいしいお茶の入れ方」を体験できるコーナーも設けています。

千歳市のホームページによると、新千歳空港では、2015年の空港利用客数が、2,000万人を超え、年々、国際線の本数も増加しています。

同空港での、「利用客の増加」、「訪日外国人観光客の増加」に着目して、伊藤園は、インバウンド対策に取り組んだことがわかります。

前年売り上げ49%増を記録:羽田、成田でも専門店を運営

伊藤園より引用

伊藤園より引用

伊藤園のプレスリリースによると、2014年9月より、羽田空港国際線旅客ターミナルの商業施設「江戸小路」で、「茶寮・伊藤園」もオープンしました。

存分に「和」を感じることができる店内で、厳選した日本茶や抹茶、甘味、軽食を提供。連日、多くの訪日外国人観光客で賑わっています。2015年は、対前年売り上げ金額49%増を記録し、好調です。

また、成田空港にある専門店「FaSoLa 伊藤園」でも、2015年は対前年売り上げ金額34%増を記録。

伊藤園のメイン商品である「日本茶」「抹茶」を前面に売り出したインバウンド対策が功を奏しています。

 

2015年から「ITOEN MATCHA GREEN TEA」を発売:世界での知名度向上を狙う

伊藤園より引用

伊藤園より引用

伊藤園では、2015年から、グローバルブランド「ITOEN MATCHA GREEN TEA」(ティーパック)を発売しています。海外向けプロモーションページでは、英語で、伊藤園の商品が紹介されています。

また、伊藤園では、東京都渋谷区の本社以外にも、アメリカに2社、シンガポール、とオーストラリアに1社ずつ、支社を開設。海外進出を、積極的に果たすことによって、世界での知名度向上を図っていることがわかります。

 

まとめ:インバウンド需要に応じた施設拡張、主要空港での専門店開業と海外でのブランド化対策を実施。

先述の通り、大手飲料メーカー「伊藤園」では、

  1. インバウンド需要増加に応じた工場の新設
  2. 主要空港での「日本茶」「抹茶」専門店開業
  3. 海外での知名度向上を目指し、「ITOEN MATCHA GREEN TEA」の発売

インバウンド対策として、行ってきました。

日本食」のユネスコ無形文化遺産登録や、訪日外国人観光客の増加を背景に、「日本茶」「抹茶」も持つ可能性を最大限に活用。多くの訪日外国人観光客のニーズを汲み取り、インバウンド収益をあげてきたことがわかります。

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
  • 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに