旅行時には欠かせない情報収集。寝泊まりする旅館やホテルを探すにも、観光地への移動方法を調べるにも、旅行ガイドブックやインターネットの情報は必要になります。日本の言葉や慣習に不慣れな訪日外国人観光客にとって周囲に尋ねることは難しく、これらの情報源はなおさら重要になるでしょう。
JTBグローバルマーケティング&トラベルとフリーのSIMカード、スマートフォン端末を提供するサービス「FREETEL」(事業社名:プラスワン・マーケティング)は、平成28年(2016年)10月9日から、訪日外国人観光客向けに便利なアプリを搭載したスマートフォン端末を貸し出す実証実験を開始しました。
情報提供をしたい日本の事業者と、自分に合った商品やサービスを見つけたい訪日外国人観光客をつなぐ狙いがあります。なぜ、このような取り組みが行われたのか。訪日外国人観光客のスマートフォン利用の実態からご紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
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海外のインターネットは使いにくい!:高額な通信料金を請求されるトラブルも
「フリーWi-Fiスポットを増やし、外国人が手軽にインターネットを使える環境づくりが必要だ」。このような話は、インバウンドビジネスの文脈でよく現れ、訪日外国人観光客の集客には欠かせないとさえ考えられています。これはなぜなのでしょうか。
もちろん、「自国内で習慣的にフリーWi-Fiスポットを利用しているから、使えないと不便」というのも一因です。都会には存在しない大自然が楽しめるアメリカのグランド・キャニオン国立公園やヨセミテ国立公園、イエローストーン国立公園でさえ、「Wi-Fiが飛んでいない」と苦情が来ているそうです。少しくらいインターネットを我慢しなさい、と思わず言いたくなってしまうところですが、それ無しでは生活できない現代人らしいエピソードです。
しかし、海外旅行として日本を訪れる訪日外国人観光客の場合、この他にもフリーWi-Fiスポットを必要とする理由があります。リオデジャネイロ五輪に出場した内村航平選手が、ブラジル国内でスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」をプレイし、50万円もの通信料金を請求されたという話を覚えていますでしょうか(その後、幸いにも救済措置が取られました)。
この手の通信料金のトラブルは、海外旅行ではよくある話です。スマートフォンには「データローミング」という機能があり、契約しているau、ソフトバンクなどのキャリアの電波が届かない海外などでも、現地の携帯会社の電波を使って、通信できるようになっています。しかし、定額料金プランが適用されないなどの事情で、高額な利用料金が発生することがあるため、無料で使えるWi-Fiスポットを利用しようというわけですね。
こういった事態を避けるには、日本で利用できるプリペイドSIMカードを購入する、空港でスマートフォン端末をレンタルするなどさまざまな対応策が可能ですが、フリーWi-Fiスポットを利用する人が特に多いと言われています。特別な契約がいらず、自分のスマホ端末がそのまま利用できるので、おそらく手軽なのでしょう。
スマートフォンに訪日外国人向けのアプリをインストールして提供
しかし、訪日外国人観光客が情報収集するうえで課題になるのは「インターネットが使えるかどうか」だけではありません。インターネットが使えても、必要な情報が手に入らないのでは意味がないのです。JTBグローバルマーケティング&トラベル、プラスワン・マーケティングの実証実験の狙いは、この2つを解決することにあると思われます。
スマートフォンの貸出を行うのは、JTBグローバルマーケティング&トラベルと業務提携しているフランスの旅行会社。スマートフォンは日本滞在中に使えるアプリがインストールされた状態になっています。このようにすれば、訪日外国人観光客はインターネット環境と情報収集の方法を同時に手に入れることができます。
また、この取り組みは、インバウンドビジネスに取り組む事業者が発信している情報が訪日外国人観光客までなかなか届かないという課題の解決も目指しています。せっかく予算を掛けて専用アプリを開発してもダウンロードしてもらえないなどの問題があるのだそうです。
まとめ:情報収集に頭を悩ませず、旅行が楽しめる取り組み
JTBグローバルマーケティング&トラベル、プラスワン・マーケティングが、訪日外国人観光客向けにアプリを搭載したスマートフォン貸出サービスの実証実験を開始しました。国内事業者の情報を訪日外国人観光客まで効果的に届け、双方のニーズを結びつけることを目的にしています。
「せっかく旅行に来たのだから、情報収集やスマホの通信料金に頭を悩ませたくない」と考え、このようにネット環境から使うべきアプリまで一揃えになったサービスを利用する訪日外国人観光客は多いのではないでしょうか。
旅行者の負担を減らしつつ、より観光を楽しんでもらうための工夫として浸透するかもしれません。実証実験後は、訪日外国人観光客に対してアプローチしたい事業者向けの事業も行われる予定です。
【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント
2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。
しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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