年々増え続ける訪日外国人観光客の増加を受け、日本国内の各企業、自治体は訪日外国人観光客誘致の取り組みを行っています。
訪日外国人観光客の訪日目的として、「日本食を食べること」「ショッピング」「日本の歴史・伝統文化体験」などが多い傾向にありますが、最近ではスキーや、登山、海水浴などを楽しむために訪日する訪日外国人観光客も増え、スポーツを観光資源とした旅行形態である「スポーツツーリズム」が脚光を浴び始めています。
大手旅行会社である株式会社ジェイティービー(以下、JTB)では、スポーツツーリズム関連事業を展開するために他社との提携を発表しています。
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JTB、スポーツツーリズム事業でGDOと提携:ゴルフツーリズム強化で業界・地域活性化へ
2016年11月1日、JTBはインターネットでゴルフのワンストップ・サービス(見る・買う・行く・楽しむ)を展開する株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)との提携を発表しました。
ゴルフツーリズム強化でゴルフ業界と地域の活性化を狙います。
海外旅行会社にインバウンドゴルフツアーのPR強化、海外旅行会社専用WEBサイトの構築を実施
GOLF IN JAPAN by JTBより引用
今回の提携で、両社は海外の旅行会社に、日本におけるインバウンドゴルフツアーのPRを共同で実施します。
また、JTBとGDOは、海外旅行会社向けのWEBサイトも構築。専用WEBサイトは”UNFORGETTABLE GOLF IN JAPAN by JTB”(日本で忘れられないゴルフを)と名付けられており、英語で情報が配信されています。
サイト内では”How to Enjoy Golf in JAPAN”(日本でのゴルフの楽しみ方)と題された動画が配信されています。「チェックイン編」「準備編」「コース編」「チェックアウト編」の4編にわたり、訪日外国人観光客向けに日本でのゴルフの楽しみ方を紹介しています。
加えて紅葉や花見など、ゴルフ後に楽しめるアクティビティーに関しても情報が提供されています。
- 海外旅行会社へのPR
- インバウンド専用WEBサイトの構築
この2つを軸にゴルフツーリズムの推進、ゴルフ業界および周辺地域の活性化を目的としたインバウンド受け入れ環境の整備を行っていきます。
今回のJTBとGDOのゴルフを通じたスポーツツーリズムでの提携。背景には何があるのでしょうか?
背景にはゴルフ市場の低迷が:3兆5000億円ともいわれるインバウンド消費は縮小傾向にある業界を救うか
2015年3月8日の東洋経済ONLINEによると、ゴルフ人口は1994年の1200万人から840万にへと減少しています。ゴルフ場、ゴルフ練習市場、ゴルフ用品市場も約10年前と比較すると大幅に縮小しています。
理由は、バブル期と比べ経済が悪化したことから高額な費用を要するゴルフを人々が敬遠する傾向があること、若者のゴルフ離れなど様々ですが、国内のゴルフ市場は低迷に歯止めがきかない状態です。
このような状況にある国内のゴルフ業界の起死回生の案として、JTBとGDOはインバウンド市場に目を付けました。
日本政策投資銀行によると、2015年の国内のインバウンド消費総額は、対前年比71.5%増の3兆4,771億円となっています。経済波及効果を試算するとその額は約7.6兆円に及びます。
現時点では、インバウンド消費は日本人を含めた国内旅行消費額全体の約10%ですが、訪日外国人観光客数が年々増加していることを加味すると、長期的には人口減少による国内消費の減退を補完するものとして、拡大が期待されています。
日本は世界有数のゴルフ場保有国であり、そのコースも山岳、シーサイドや都市郊外など多岐にわたります。ゴルフ用品は訪日外国人観光客にも人気があり、ゴルフ場以外にも様々な観光資源を有しています。
それらをうまく海外にアピールすることで「ゴルフ市場の再活性化」と「インバウンド収益の確保」を実現しようという背景が予測できます。
まとめ:インバウンドはゴルフ市場を救うか:スポーツツーリズム推進が各地で本格化
JTBとGDOは、国内で縮小傾向にあるゴルフ市場に目を付け、インバウンド誘致を通じた
- 業界再活性化
- 地域の活性化
を目指します。大手旅行会社とゴルフに関連するサービスを提供する会社の提携による、スポーツツーリズム推進は吉と出るか凶と出るか、これからの動向に注目です。
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