訪日外国人にも知ってもらいたいドローンの取扱に関する日米の違い:何故彼らはドローンを飛ばしてしまうのか

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近年日本に観光目的で訪日する訪日外国人観光客の中に、ドローンを使用して桜や城、仏閣などを撮影したいと思う人が増えています。日本ではまだまだあまり一般的ではないドローンも海外では非常に人気が高く、中でも中国のDJI、フランスのParrot、アメリカの3D Roboticsは3台ドローンメーカーと呼ばれ、この3社が世界の8割のシェアを持つと言われています。

世界ではこうしたドローン人気を受けて様々な法整備が進んでいますが、日本のドローンに関する法律は世界の中でもわかりにくいと言われています。実際に昨年11月には、訪日外国人観光客が操作するドローンが姫路城に激突する事件が置きており、インバウンド需要が高まるなか、民泊と同様に法整備と周知が必要になってきそうです。実際に日本とアメリカでどのような違いがあるのかみてみましょう。

 

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ドローンの定義

一般的なドローン

一般的なドローン

日本ではドローンに関する法律を取りまとめているのは国土交通省航空局で、アメリカではFAA(連邦航空局)となります。

日本の改正航空法においてドローンは 無人航空機 に該当し、 「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」 と定義されています。なお、重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)200 グラム未満のものは、無人航空機ではなく「模型航空機」に分類されます。この「模型航空機」に関しては空港周辺や一定の高度以上の飛行について国土交通大臣の許可等を必要とする規定のみが適用されます。

一方アメリカでは UAS(unmanned aircraft system)無人航空機、sUAS(small UAS※主に商用) と呼ばれ、「 地上にいる人間によって操縦される無人航空機 」としています。また、UAV(Unmanned aerial vehicle)という言葉もドローンを指す言葉としてしばしば使用されますが、UAVは主に軍用の無人航空機を指します。

 

飛行に関する免許、登録など

日米ともにドローンを飛行させるにあたり特段の免許などは必要ありません が、アメリカの場合は趣味でドローンを使用する場合、「13歳以上であること」、「アメリカ市民、もしくは法的に永住権があること」となっており、商用にドローンを使用する場合、「Remote Pilot Airman Certificateと呼ばれる免許の取得」、「16歳以上であること」、「犯罪歴のバックグラウンドチェック」などが必要となります。

機体の登録に関しては日本は必要ありませんが、アメリカは0.55ポンド(※約250g)以上の機体は趣味、商用に関わらず登録が必要となっています。

 

飛行の禁止空域

日本の場合は

  1. 地表又は水面から 150m 以上の高さの空域
  2. 空港周辺の空域
  3. 人口集中地区の上空での飛行

に関しては原則禁止 となっており、これらの空域での飛行を行う場合は安全面の措置をした上で、国土交通大臣の許可を受ける必要があります(※屋内飛行の場合は不要)。

なお、人口集中地区に該当するか否かについては、航空局ウェブサイトを通じて確認が可能です。

B4UFLY Smartphone App GPSを使用し、ドローンの飛行禁止区域であるかどうかなどが簡単にわかる。飛行場の管制エリアなどもわかりやすく表示される。

B4UFLY Smartphone App GPSを使用し、ドローンの飛行禁止区域であるかどうかなどが簡単にわかる。飛行場の管制エリアなどもわかりやすく表示される。

アメリカの場合は、趣味として楽しむ範囲では

  1. 空港から5マイル(※約8km)より離れている場所での飛行が可能
  2. その場合は空港や管制塔への連絡は不要

といった区域制限になっています。

一方商用の場合はClass G airspaceと呼ばれる管制官が管理していない、人口や交通が少ないエリアでの飛行が可能です。なお、アメリカではこうした管制エリアに関してはClass A airspace、Class B airspace、Class C airspace、Class D airspace、Class E airspaceなど細かく規定されています。

 

さらにアメリカの場合、自分がこれからドローンの飛行を行おうとしている場所が飛行禁止区域であるかを簡単に確認出来る「B4UFLY Smartphone App」というアプリがあり、スマートフォンでGPSを使用して、自分のいる場所でドローンを飛ばす事が出来るのかどうかを簡単に確認することが可能です。

 

飛行の方法

日本の場合、飛行させる場所に関わらず、

  1. 日中(日出から日没まで)に飛行させること
  2. 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
  3. 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  4. 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
  5. 爆発物など危険物を輸送しないこと
  6. 無人航空機から物を投下しないこと

と定められており、 こういったルールによらずドローンを飛行させる場合は国土交通大臣の承認を受ける必要があります

一方、アメリカの場合は、趣味で飛行する場合は

  1. 常に有人飛行機の飛行を優先すること
  2. ドローンは55ポンド(※24.9kg以下)であること
  3. Academy of Model Aeronautics(AMA)作成のセーフティガイドラインに従うこと
  4. スポーツイベントなどの上空を飛行しないこと
  5. 飲酒、ドラッグの影響下では飛行を行わないこと
  6. 空港から5マイル(※約8km)で飛行を行う場合は必ず空港と管制塔への連絡を行うこと

となどのルールが存在し、商用の場合は

  1. 目視出来る範囲内で飛行を行う
  2. 高度400フィート(※約122m)以下で飛行を行う
  3. 日中に飛行させること
  4. 速度100マイル毎時(※約160km/h)以下で飛行すること
  5. 人の上空を飛ばないこと
  6. 移動中の車両から飛び立たないこと

などとなっています。

 

まとめ

日本とアメリカを比べてみると、アメリカはドローンを飛ばす場合に、「趣味目的」「商用目的」で明確にルールが別れており、0.55ポンド(※約250g)以上の機体の場合は趣味、商用に関わらず機体の登録が必要になっています。

飛行禁止区域に関しては専用のアプリで簡単に確認が可能となっており、「どのような目的で使用するのか?」「誰が使用するのか?」「どこで使用出来るのか?」といったルールが非常にわかりやすいのが特徴です。

一方、日本の場合、例えば飛行が原則禁止されている「人口集中地区」がどこなのかを調べるだけでもかなりの労力が必要となり、機体の登録も必要ありません。

世界の基準から考えるとドローン関連のルール、飛行しても良いエリアなどのわかりにくさが目立ちます。そのため、インバウンド需要が高まる現在では、日本人向けのみならず、訪日外国人向けにも、日本国内での正しいドローンの運用方法をわかりやすく説明したルール、ガイドライン、GPSを使用したアプリなどの整備が望まれます。

 

<参考>

 

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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