日本を訪れる訪日外国人観光客にわかりやすいメニューは何なのかということを考えると、「宗教戒律上食べてはいけないもの」、食物アレルギーや個人の嗜好などで「食べられないもの」をしっかりと明記してあげる必要があります。特に食物アレルギーについては知らなかったでは済まされない問題ですので、改めて食物アレルギーとは何なのか?外国人観光客向けにわかりやすく表記するにはどうしたら良いのかを見ていきましょう。
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食物アレルギーとは?
そもそも食物アレルギーとはどういったものを言うのかというと、「食べた食物が原因となってアレルギー症状を起こす病気」であると言えます。
通常は食べものは栄養として体に吸収されるのですが、免疫反応の調整に問題があったり、消化吸収の機能が未熟であるなどで、食物を異物として認識することでアレルギー反応が現れます。この異物と判断されたもの(アレルゲン)を体から排出するためにアレルギー反応が起こり腸から吸収されたアレルゲンが血流に乗って全身に運ばれるため、眼、鼻、口、喉、肺、皮膚、胃腸など様々な部位で症状が現れます。
食物アレルギーの症状
食物アレルギーは様々な症状が存在し、皮膚症状(かゆみ、じんましん、むくみ、湿疹など)、呼吸器症状(くしゃみ、鼻づまり、鼻水、せき、呼吸困難、喉の閉塞感など)、粘膜症状(眼の充血、眼のかゆみ、涙が出る、口腔、唇、舌の違和感や腫れるなど)、消化器症状(下痢、吐き気、嘔吐、血便など)、循環器症状(脈拍の上昇、手足の冷え、血圧低下など)、神経症状(意識朦朧、尿や便をもらす、元気がないなど)、全身症状(アナフィラキシーショック)があります。この中でもアナフィラキシーショックは意識障害を起こすなど重篤な症状であるため、もし起こった場合にはすぐに病院に連れていく、救急車を呼ぶなどの対応が必要です。
食物アレルギーを起こす食べ物
厚生労働省では、食物アレルギーによるトラブルを防止するため、以下の食品の表示義務について次いように規程しています。
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【必ず表示される5品目※微量でも表示が義務づけられている】
- そば、落花生、卵、乳、小麦、
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【表示が勧められている 20品目】
- あわび、いか、イクラ、エビ、カニ、サケ、サバ、オレンジ、キウイフルーツ、桃、りんご、バナナ、くるみ、牛肉、鶏肉、豚肉、大豆、まつたけ、やまいも、ゼラチン。
原因食品の割合
アレルギーを引き起こす原因食品の割合としては以下のような内訳となっています。
鶏卵(39%)、牛乳(21.8%)、小麦(11.7%)、ピーナッツ(5.1%)、果物類(4.0%)、魚卵(3.7%)、甲殻類(3.4%)、ナッツ類(2.3%)、そば(2.2%)、魚類(2.1%)、その他(4.6%)
訪日外国人観光客にもアレルギーをわかりやすく「食品ピクトグラム」
日本語が読めない訪日外国人向けに、メニューに「宗教戒律上食べてはいけないもの」、「食べられないもの」があるかどうかをわかりやすく伝えるために考案されたものとして、食品ピクトグラムと呼ばれる絵文字があります。
「EAT東京 多言語メニュー作成支援ウェブサイト」ではこうしたピクトグラム35項目を用意しており、 「東京都に住所を置き、東京都福祉保健局が定める営業許可種類の内、「飲食店営業」及び「喫茶店営業」を営む事業者」 であれば、無料でこうしたデータの使用が可能で、13言語の中から5言語を選んで多言語メニューを作成することが出来ます。
なお、これらの35項目のピクトグラムに関しては、「アレルギー特定原材料および特定原材料に準ずるもの、宗教上、ベジタリアンに特に考慮すべき項目」から選定されています。
まとめ
日本人向けのメニューに今回ご紹介した食物アレルギーを引き起こす食べ物の表示は義務付けられていますが、さらに宗教の戒律に基づいて各国の言語で表記するとなると大変な作業になります。しかし「食品ピクトグラム」を使用すれば、外国人の方にも「この料理にはこの食材が含まれている」ということを簡単に伝える事が可能です。こうした情報を効率的に利用して訪日外国人観光客をおもてなししたいですね。
<参照>
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