京都市が平成29年(2017年)1月、アニメ、ゲーム、映画、映像などのコンテンツ産業に注力する「京都市コンテンツ産業振興に向けた指針」案を発表しました。同市は京都府の中心地であり、清水寺、金閣寺、二条城といった歴史的建造物があることでも有名。いわゆる京都らしさが感じられる地域です。
今回の指針発表は、同市が伝統文化のみならず、現代文化の拠点にもなることを目指すということを意味します。こちらの記事では、この指針発表の背景や、今後の施策内容などを分かりやすくご紹介します。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
現代文化の活性化、産業化に注力してきた京都市
「京都市コンテンツ産業振興に向けた指針」案を見ると、その冒頭には対象となる「コンテンツ」について「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラム(電子計算機に対する指令)」と記載されています。「コンテンツの創造,保護及び活用の促進に関する法律」から引用しているため、かなり分かりにくいですが、要するに「現代人に親しまれているコンテンツ」くらいの意味のようです。
京都府では、これまでにも現代文化の活性化、産業化に注力しており、以下のような取り組みを行っています。
- 京都国際マンガミュージアム(平成18年~):昭和初期のマンガなど約30万点を所蔵。また、博物館としての役割も
- KYOTO CMEX(京都シーメックス)(平成21年~):マンガ、アニメ、映画、ゲームなどのイベント
- 京都版トキワ荘事業(平成24年~):シェアハウス型の育成拠点による漫画家の育成事業
- 京都国際マンガ・アニメフェア(平成24年~):マンガ、アニメの総合見本市。京都と首都圏企業のマッチングなどが目的
このような取組の背景にあるのは、現代文化において強みがあるという京都市の自負です。「スーパーマリオ」シリーズで知られる任天堂は同市内に本社を構えているだけでなく、芸術系学部生の割合が全国平均の約2倍にのぼり、コンテンツ作りを得意とする若者を大量に有しているそう。また、取材、ロケなどの要望に対応する「京都市メディア支援センター」が存在するため、映像制作などがしやすい環境も整えられているといいます。
「MANGAナショナル・センター」が京都に誕生する可能性も?
指針案発表の裏側には、近い将来、東京都に建設される可能性がある「MANGAナショナル・センター」の存在もあるようです。
「MANGAナショナル・センター構想に関する有識者会議報告書」(平成27年12月18日発表)によると、近年、「MANGA」(マンガだけでなくアニメ、ゲームも含む)を収集する博物館が世界各地で建設が進められているとのこと。日本でも同様の取り組みが行われているものの、中心地となる拠点がない、貴重な資料が散逸しつつあるといった問題が発生しています。「MANGAナショナル・センター」はこの課題解決に応える国立施設で、訪日外国人観光客の誘致にも貢献することが見込まれています。
プロジェクトが動きだせば、東京がクールジャパン戦略の一大拠点となることは明らかですが、「MANGAナショナル・センター」はあまり評判が良くなく、かつて計画が頓挫しています。「京都市コンテンツ産業振興に向けた指針」案の中には「MANGAナショナル・センター機能の誘致」という項目があり、東京の代わりにその役割を担おうというアイディアが明らかにされています。京都市には文化庁が移転することが決まっており、たしかにふさわしい地域なのではないでしょうか。
その他の施策として挙げられるのは、京都国際マンガミュージアム、京都を舞台とした作品の活用など。「京都国際マンガミュージアム」は日本初のマンガ文化の総合拠点で、漫画を描くワークショップなどの体験型企画を増加させる予定です。また、訪日外国人観光客の呼び込みなどにも力を入れる方針です。また、関係団体と連携しながら、いわゆる「聖地巡り(マンガ、アニメなどにおけるコンテンツツーリズム)」にも注力するとしています。
まとめ:京都は文化庁を有するコンテンツ産業の一大拠点に
超党派の議員が動いているものの、なかなか実現に向かわない「MANGAナショナル・センター」。京都市が、その誘致を含む施策を盛り込んだ「京都市コンテンツ産業振興に向けた指針」案を発表しました。同市には文化庁の移転が行われる予定で、伝統文化のみならず現代文化をも集積する一大拠点になるかもしれません。
漫画、アニメ、ゲームといったコンテンツはクールジャパン戦略でも重要視されているため、インバウンド市場の動向にも大きな影響を与えることが予想されます。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!