多くの訪日客を誘致する際には、まず情報を配信するところから始めるべきでしょう。では、海外の人々はどのような手段で日本に関する情報を得ているのでしょうか?このシリーズでは、2017年2月に公益財団法人新聞通信調査会が実施した「諸外国における対日メディア世論調査」と、観光庁の「平成28年消費動向調査」の2つのソースを基に、訪日主要国(中国、韓国、タイ、アメリカ)の人たちが一般的にどのように日本に関する情報を得ているのか、また観光目的の情報収集となるとその傾向がどのように変わるのかについて比較・分析していき、旅マエの各訪日外国人に情報をPRするための施策について解説 していきます。初回は、訪日中国人観光客編。
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シニア層も含め日本に関する情報を取得する際もっとも利用されるのはインターネットという結果に
公益財団法人新聞通信調査会が実施した「諸外国における対日メディア世論調査」によると、日本についての知識や情報の入手先として中国人の延べ83.3%が「インターネット」と回答しました。次に多かった選択肢が 「自国のテレビ・新聞・雑誌(77.6%)」。その後は「学校教育(23.9%)」、「自分の家族や親戚・知人(23.7%)」、「日本人の友人(16%)」、「訪日経験(10.9%)」 と続きます。
他の調査対象国(アメリカ・イギリス・フランス・韓国・タイ)では、1位となった選択肢が「自国のテレビ・新聞・雑誌」であったにもかかわらず、中国人の間ではインターネット経由で日本に関する情報を仕入れる場合が多いことがわかります。
年代別に見てみると20代の中国人の間ではインターネットを情報入手先として利用する割合が84.5%と他の年代層より高い結果になりました。40代以上のシニア層でさえ、自国のマスメディアよりインターネットを利用して日本に関する情報を入手する人の割合が高い結果になっています。
中国人が一般的に日本に関する情報を得る際、どの年齢層でもインターネットがもっともよく使われている選択肢であることが把握できました。これの傾向が観光情報を得る際にはどう変わっていくのでしょうか?
旅マエの訪日観光に関する情報収集に役立つものとしてSNSがトップ!知人からの口コミも重要な要素に
観光庁の「平成28年消費動向調査」によると、訪日中国人観光客が訪日旅行をする前の観光情報収集手段としてもっとも役に立ったと答えたものはSNSでした。回答率は延べ20.2%にあたります。 次いで回答率が高かったものが旅行会社のホームページ(19.7%)。その後は、中国国内の親戚・知人(19.1%)、個人のブログ(17.4%)と続きます。
他の訪日主要国では、「日本政府観光局ホームページ」 やトリップアドバイザーなど「口コミサイト」が、情報源として人気となる傾向にありますが、中国人の場合、ソーシャルメディアや中国国内の親戚・知人、個人のブログが観光情報の仕入れ先として最も人気の結果となりました。
スマホ文化、SNS文化、ブログ文化が発達していることに加え、先述の通り 日本に関する情報を入手する際にインターネット利用率が高い傾向が、訪日旅行の際の情報収集においても反映 されている形になりました。また、中国国内では 政府による情報検閲が厳しいため公的情報に対する不信感が少なからず存在しています。そのため、「口コミサイト」ではなく親戚・友人など知人からの実際の口コミによって観光情報を収集する傾向にあることが予測できます。中国人に情報を発信する際はどのような方法が有効なのでしょうか?上記2つのデータをもとに、考察していきます。
旅マエの訪日中国人への情報発信:ポイントは「SNS」&「口コミ」
旅マエの訪日中国人観光客にアプローチする場合のキーワードは「SNS」と「口コミ」の2つです。
先述の通り、中国人は日本に関する情報を仕入れる場合インターネットを多用する傾向にあります。そのため、旅マエでは、中国国内の有名ブロガーや中国で人気となっている微博(Weibo)、微信(wechat)などWebサービスを活用することで効果的に情報を発信できます。
また、「口コミ」も非常に重要です。口コミは直接の対話を通じる場合とSNSやネットを通じる場合の2つが考えられます。いかに中国人にとって満足度の高い経験を提供するかを考えることが「口コミ」を広げる大前提となりますが、後者の場合はの場合は、SNSでシェアすることで特典を与えるなどすることでより効率的に訪日した中国人の知人・友人にまで情報を届けることができます。
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インバウンドに情報発信する際はターゲットにあった手法で
今回は、旅マエの訪日中国人観光客に情報をとどけるための施策についてご紹介しました。
中国人は、日本に関する情報を仕入れる際、自国のマスメディアよりも政府からの検閲が入りにくいインターネットを利用しており、訪日旅行に関する情報を集める際にもSNSをもっとも活用する傾向にあります。
そのため 旅マエの情報発信としては中国国内の有名ブロガーや中国で人気となっている微博(Weibo)、微信(wechat)などWebサービスを活用、口コミを拡散させる仕組みづくりなどが重要 になります。
インバウンドに情報を配信する際は、ターゲットとする外国人が日本に関する情報をどのように仕入れているのかを頭に入れ、それに沿った媒体・ツールを活用していく必要があります。
<参照> - 観光庁:平成28年における訪日外国人の消費動向【国籍・地域別】 - 公益財団法人新聞通信調査会:第3回 諸外国における対日メディア世論調査 調査結果
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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