国土交通省官公庁が平成26年に発表した訪日外国人消費動向調査(平成26年1-3月期)によるとタイ人の「訪日前に期待していたこと」のうち「自然・景観地観光」についで 「温泉入浴」がランクイン しています。また 「期待して行動した人の満足率」も81.3%と「四季の体感」80.0%より高い満足度 を示しています。今回はここバンコクに新しくできた温泉施設に実際に行き、タイの温泉事情についてレポートしたいと思います。
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タイ人にとっての温泉とは
タイでは一般的に湯船に入る文化はありません。 タイは年中暑いため、わざわざ熱い湯船に入ろうという感覚がないというのが一番の理由のようです。確かに一歩外に出れば、炎天下なのに敢えて熱い湯船に入ろうという発想にならないのは自然なことに思えます。
タイにも温泉がいくつかありますが、タイ人のほとんどは温泉卵をつくるために温泉に行きます。 日本人からすると驚きしかありませんが、タイ人にとっての温泉のイメージに「癒し」「リラックス」がない ことが分かります。また、タイも他の多くの国と同様に他人に裸を見せるということに慣れていません。
日本では「温泉」という特殊な場所に行くと不思議と恥ずかしいという感覚はなくなる人が多いのではないでしょうか。そう考えると「温泉」という施設はタイ人にとって、とても日本らしい文化を感じられる場所なのかもしれません。
タイ人にとって温泉に入ること自体が異文化体験
恥ずかしいという気持ちはありつつも、温泉に興味があるタイ人も多く、先ほどのデータで見てもわかるように温泉は日本に来たら体験してみたいアクティビティの一つになっています。
実際にタイ人の声を聞いてみると、温泉入浴は日本人のように疲れを癒したり、リラックスのために行くという感覚ではなく、一度は体験してみたい日本文化 だという声をよく聞きます。また、タイ人の知り合いとは一緒に入りたくない という気持ちがあるようで、あくまでタイ人にとって温泉は異文化体験であるわけで、そこに同じ文化的なバックグラウンドをもった人がいれば、たちまち恥ずかしいという気持ちが生まれてしまうようです。
その証拠に先ほどご紹介した、国土交通省官公庁が平成26年に発表した訪日外国人消費動向調査でも温泉入浴を期待していた人のうち行動しなかった比率が40.7%と比較的多くの人が温泉入浴をしなかったという結果が出ています。
タイの首都 バンコクにも温泉施設が増加中 タイ人にも温泉文化が浸透し始めている?
そんな中、今バンコクでは温泉施設が少しずつ増えつつあります。タイの温泉施設はどのようなものか体験したいと思い、実際に行ってみることにしました。
バンコクで人気の温泉施設「 Let’s Relax Spa&Onsen 」に行ってみた
今回行ってみたのはGrande Center Pointの5階にあるLet’s Relax Spa&Onsen。まずは入って驚いたのは施設の綺麗さ、非常に清潔感があり日本と比べても全く見劣りしない雰囲気でした。
入浴料650バーツ(2,100円)と料金は日本と比べても少し高い印象はありましたが、中に入っていざ体験してみると納得のクオリティー。それもそのはず、温泉システムの設計を担当されたのは日本の温泉専門家の 河野 好高 氏が手がけられているようで本格的な作りになっています。
浴室には、「サウナ」「スチームサウナ」「下呂の湯」「冷水風呂」「シルク風呂」「炭酸泉」「マッサージ風呂」などがあり内装含め随所にこだわりが感じられました。
Let’s Onsen and Spa紹介動画
さらにマッサージの本場タイならではのマッサージ施設も完備しており、日本の本格的な温泉を楽しんだあとにタイマッサージを受けることも可能です。当日の利用者は、日本人を含むアジア系30%、欧米系10%、タイ人60%というような割合で意外にもタイ人の利用者が最も多かったです。
※入浴料の650バーツ(約2,100円)は、バンコクで働く会社員が食べる屋台の平均的なランチ代が飲み物代込みで50〜60THBですので、10日分の昼食代に匹敵 します。日本人の平均昼食代を700円とすると、7,000円の日帰り温泉施設という感覚 でみるとなかなかの特別な体験ですよね。
では、訪日タイ人観光客向けに温泉施設はどのようなインバウンド対応を取るとよいのか。
1、混雑していない時間帯を伝える
前述したように、人前で裸になることに慣れていないタイ人が、恥ずかしがって大浴場へ行かない ということもあります。より多くのタイ人に温泉の魅力を体験してもらうために、比較的人数の少ない空いている時間を教えてあげる とトライしやすくなるかもしれません。
2、男女入れ替え制は写真を使って説明する
温泉によっては男湯と女湯が時間帯によって入れ替わる温泉施設もあるかと思いますが、温泉に慣れていないタイ人にとっては、なぜ時間帯によって変わるのか理解することが出来ません。 また、「注意書き」や「のれん」の文字まで確認する人が少なく、 日本語を読むことが出来ないので入れ替えのシステムがある場合は、
- 湯船の種類や雰囲気が異なるのでどちらも楽しめるように入れ替えのシステムがあること
- のれんの色を必ず確認してから入浴すること
上記について 写真やイラストで解説する、Webサイトでお知らせする などの配慮をしてあげると良いかと思います。
【まとめ:温泉という文化をバンコクでも楽しむタイ人の増加に注目】
まだまだタイで「温泉」という文化が一般的になっているとは言えないものの、訪日タイ人観光客の増加に伴って日本で体験した温泉をタイでも楽しみたいというニーズは少しずつここバンコクでも広がりを見せそうです。タイで初めて温泉を体験し、本場の日本の温泉に入るために日本に訪れる、そんな流れができる未来も近いかもしれません。
≪参照≫ - http://www.mlit.go.jp/common/001046320.pdf
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