着手の早さが圧倒的なブランディングに繋がる。人力車えびす屋に聞くインバウンドへの心構え【1】

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全国に10店もの人力車の店舗を展開する「えびす屋」。人力車が巡る観光地は店舗も同然という考えから、地域との連携を深め、観光地からもお客様からも愛されるサービスを展開しています。

そんなえびす屋もここまでインバウンドが伸びるとは想像もしていなかったと言います。

想像もつかないマーケットにおいて、どのように観光地=人力車というブランドを確立してきたのか。具体的には、6つの取り組みを実施していると言います。

そこで、今回はえびす屋嵐山總本店、営業企画部の笹井さんと社員兼俥夫の金谷さんにお話を伺いしました。

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全国に10店舗 俥夫が伸び伸びと働ける会社を目指して

―えびす屋について教えください。

笹井さん(以下笹井): 創業は1992年、ここ京都嵐山から始まりました。1997年と2000年には、現在の東山店の前身となる左京店と清水店をオープンさせています。

その後、関東に浅草店と鎌倉店、北海道に小樽店、九州に湯布院店を出店しています。さらに、弊社公認の俥夫が運営するFC店が関門店、宮島店、倉敷店、函館店の4拠点にあり、合計で全国10店舗を展開しております。

―FC店を始めた理由は何ですか。

笹井: 俥夫に安心して長く勤めてもらえる会社を目指したかったからです。その結果、現在はキャリアが20年以上の俥夫も在籍しています。そこには、「家族や親戚、社会に認めてもらえる、また応援してもらえる仕事・会社でありたい」というオーナーの願いが込められています。 また、えびす屋の屋号でFC店を出店することで、まだ届いていない地域のお客様に各地域の魅力を伝え、人力車を身近なものに感じてもらおうという思いも、理由の1つにあります。

地域への感謝と実践 京都、浅草のお客様の3人に1人は外国人観光客

―最近特に力を入れていらっしゃることは何ですか。

笹井:最近に限らず、創業時から全店で最も大事にし、力を入れていることは 「地元地域への感謝と実践」 です。そのため街の清掃活動や防犯、地域行事へも積極的に参加しています。私たちの仕事は地元ありきですし、各地域は店舗の延長も同然です。ですからお客様には、より綺麗な街で観光を楽しんでいただきたいと考えています。

また、街を巡回していることから、警察や消防と協力し、こども110番など防犯の役割も果たしています。行事に関しては、小学校・幼稚園の運動会や、地域の祭りなどに参加しています。その影響もあってか、最近入社する若手俥夫の中には、小学生の頃に街中でいつも声をかけてくれていた俥夫に憧れて入って来る人も増えています。

地域の規模に関係なく、各コミュニティとの関係を大切にし、こどもや地域を育てていきたいという気持ちで取り組んでいます。

―現在の外国人観光客の利用状況を教えてください。

笹井:2017年5月までのデータでは、直営店のお客様のうち、全体の約28%が外国人観光客 となっています。中でも 京都嵐山は37.5%、浅草は31.5%とインバウンド売上を牽引している 店舗となっています。欧米豪訪日観光客はもちろん、台湾、韓国、中国からの外国人観光客が顕著な伸びを示しており、おかげさまで第二外国語が話せるスタッフは大忙しです。

全てのレビューに返信 インバウンド対応は着手の早さが大切

―外国人観光客を受け入れるにあたってどのような取組みをされていますか。

笹井:以下の6つの取組みを行っています。

  1. 海外のアクティビティー予約サイトでの事前予約対応
  2. 日本国内の旅行代理店とのタイアップ
  3. 海外の旅行代理店の日本支社とタイアップ
  4. ラグジュアリーホテルコンシェルジュの定期的意見交換会への情報提供
  5. 通訳ガイドとの連携の強化
  6. 海外向けSNSのアカウント運用とトリップアドバイザーでのレビュー返信

―国内の旅行代理店と取引を始めたきっかけは何ですか。

笹井:外国人観光客が徐々に増え始めた2010年頃に、弊社の受け入れ体制が整ったことがきっかけで、まずはお声掛けいただいていた国内の旅行代理店から、もう一度連絡を取ろうということになりました。国内大手旅行会社とは、インバウンド事業の拡大や強化のタイミングが我々と合致したため、多くのご利用を得る機会が生まれました。

国内の旅行代理店とのよくある取引の例としては、現地法人の日本企業様から、日本の本社工場に招き見学する際に、京都での観光もということで、ご利用をいただくということが多くあります。

―なぜ海外の旅行代理店とも取引を始めたのですか。

笹井:海外の旅行代理店は、2003年のVisit Japan Campaignの運営開始がきっかけです。その際、海外に本会社のある旅行代理店が、訪日のニーズが増えたことを機に、日本国内の交通や宿泊施設の手配を可能にするため、現地で法人化し始めました。その準備段階で、「外国人観光客の旅行のアクセントにしてもらおう」と、我々からアプローチをかけました。現在は、国外と在日のエージェントを合わせて、17社と直接取引をしています。

※Visit Japan Campaign:国土交通省が中心となり、関係省庁、民間団体・企業が運営している。海外での日本旅行の広報や、国内における外国人観光客向きインフラの整備などを行っている。

―ホテルコンシェルジュとの情報共有を行うメリットを教えてください。

笹井:高級なホテルには、常にハイヤーで移動されるようなステータスの高いお客様が多いため、人力車がどういったものか伝わっておらず、何もしないままでは中々ご乗車に繋がりません。 そのため、全国のホテルコンシェルジュが、お客様に安心しておすすめできる飲食店や施設の情報交換を行う場に、弊社の情報も提供し、電話1本で専用のスタッフの配属、またお客様の到着と同時に配車を行えるようにしました。

快適なエアコンや音楽等も無い人力車ですが、ハイヤーに勝るためには、我々ならではのおもてなしの心が求められます。現場は大変なことも多いですが、苦労を見せず、お客様の不安を少しでも軽減することがプロの仕事だと思います。

その結果、我々の仕事ぶりがお客様の満足度、コンシェルジュの方からの信頼に繋がり、最終的にリピーターになってくれています。長年培ってきたおもてなしを、外国からお越しいただくお客様に対しても、そのままさせていただいているだけです。

―海外向けのSNSとは、具体的にどのようなことをしているのですか。

笹井: Facebook、微博大衆点評の公式アカウントやページ作り、運用をしています。 Facebookは、全10店舗が各店の情報をページに更新していて、それを外国籍の弊社社員が英語翻訳を行った上で発信しています。

トリップアドバイザーにおいては、前出の彼女が4カ国語(英・仏・独・日)を担当し、同じく弊社中国語スタッフと協力して、全てのレビューに返信しています。

微博大衆点評は着手したばかりで、まだまだ反響が少ない状況ではありますが、インバウンドの取組みで最も大切なことは着手の早さだと考えています。

正しい方法など誰も判らないので、やっていく中で失敗しながら改善と工夫を行うことが、一番の近道だと思います。

まとめ

インバウンドの対応を始めようにも、何から始めればいいのか分からない方も多いと思います。ですが、取材時に笹井さんは、「正しい方法を、いいタイミングでやることが難しい」とおっしゃっていました。近年は各社が様々な取組みを行っているので、まずはそちらを参考に、失敗しながらも挑戦してみることが大切なのではないでしょうか。

後編では、外国人観光客の集客の秘訣や、インバウンド対応をする上で俥夫の方にどのようなサポートをしているのかについてお話いただきました。是非ご覧ください。

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この記事の筆者

株式会社インデン

株式会社インデン

株式会社インデン マーケティング事業部。インバウンド領域において、BtoB企業を総合支援し、日本経済の更なる活性化を目指す。2012年からインバウンドに取り組んでいる知見を交えながら、海外の方々の目線を通して見えてくる日本の「良さ」について発信していきます。

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