年末になると日本人であれば思い浮かべるのは年越し蕎麦、おせち料理です。温泉を楽しむには最適な季節であること、日本の年越しという習慣が興味深いという事で、年末年始に日本を訪れる訪日外国人も多いわけですが、外国人からするとこうした 日本の年末年始、代表的な料理「おせち料理」はどのような食べ物と捉えられているのでしょうか?
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欧米出身の訪日外国人からすると、年末年始に特別な食べ物を楽しむのは興味深い
欧米諸国と比較した場合、年末年始に特別な食べ物を食べるという日本の文化は、それだけで興味深いものです。欧米の場合、こうした時期に合わせて特別な料理を食べる習慣があるので有名なのは「感謝祭」でしょう。アメリカの場合11月の第4木曜日、カナダでは10月の第2月曜日を祝う感謝祭では、メイン料理となるのは七面鳥の丸焼きで、その他にはマッシュポテト、コーンブレッド、デビルズエッグ、マカロニ&チーズ、家庭によってはグリーンズ(カラードグリーンズ、ケールなどの野菜とスモークベーコンの炒め煮のような料理)、キドニーシチュー、ブラック・アイド・ピーズなどが振る舞われます。
越境ECをする上で知っておきたい「アメリカの年末セール商戦」
日本ではあまり馴染みが無い感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデーですが、アメリカにおいては、1年間で最も消費者の購買意欲が高まる年末セール商戦を構成する重要な日となります。年末セール商戦の期間は小売店だけでなくオンラインでの売上も伸びるのが一般的ですが、実際はどの程度の金額が動いているのでしょうか?目次ブラックフライデーの由来アメリカの年末セール商戦アメリカの年末セール商戦のEC売上まとめブラックフライデーの由来11月の第4木曜日である感謝祭(サンクスギビングデー)の翌日金曜日がブラ...
日本の感覚ではクリスマスには何か特別な料理を食べているのではないか?と思いがちなクリスマスですが、欧米諸国では一般的にクリスマスにどの家庭でもこれを食べるといったものはありません。日本人のようにクリスマスにフライドチキンを食べるなどというのはもっての他で、カップルや夫婦がレストランでお洒落なディナーを楽しむということも、ほぼありません。これは基本的にクリスマスは学校も職場もお休みとなるホリデーシーズンとなりますので、当然ほとんどのお店が閉まっているためです。そうなると、基本的にクリスマスはお母さんがキッチンでじっくりと手間ひまかけて作る家庭料理が食卓に登場するため、クリスマスに食べられているものは家庭によって異なるというのが実際のところです。
それでは年末年始はどうかというと、欧米では年末にカウントダウンなどをして楽しむという文化、元旦が基本的に休みであるという文化はありますが、日本のように大晦日の除夜の鐘、皆で初詣に出かける、正月休みにおせち料理を楽しむ、家族皆で紅白歌合戦を見る、箱根駅伝を見るというように、家族で共に過ごす特定のイベントはほぼありません。そのため年始までも一連のイベントとして家族で共に過ごし、どの家庭でも「おせち料理」という一定のフォーマットの料理を食べるという文化が興味深く感じられるわけです。
外国人でおせち料理を正確に理解している人は少数
訪日外国人をおもてなしする場合、日本を訪れている外国人の友人がいるなどの場合は「おせち料理って知ってる?」と聞いても、知っている人は恐らく半数ほどでしょう。知っている人であっても「箱に入っている豪華な食事」程度の認識しかないでしょう。中には年越し蕎麦、鏡餅と混同している人もいます。日本を数回訪れている、日本に現在住んでいる外国人であっても「エビと卵焼きと豆?」くらいの認識であることがほとんどです。日本人であっても正確に何種類の料理があるのか、また料理ごとにどのような由来があるか把握している人は少数でしょうが、それぞれが縁起の良い食べ物であるということはなんとなく把握している人がほとんどだと思います。
食に文化や背景を求める人にはウンチクを教えてあげると喜ばれる
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代表的なおせち料理とその意味合い
おせち料理の由来は古く平安時代にまで遡ると言われています。この時代に季節ごとの収穫を感謝し、元旦などの節日を祝うために神様にお供えした料理を御節供(おせちく)と読んでおり、これが江戸時代には一般大衆にも広がり「おせち料理」と呼ばれるようになります。また「おせち料理」と言えば重箱ですが、これは諸説ありますが、箱を重ねることで「福が重なる」「保存が効きやすい」といった理由から始まったようです。また、「おせち料理」はどれも保存が効く料理となっていますが、これは年神様に静かに休んでいただくために台所をあまり使用しないようにする、かまどの神様に休んでいただくため、神聖とされていた火を使わないために保存が効く料理が多くなったとも言われています。
「おせち料理」は正式には4段重ねで、一番上の段は壱の重と呼ばれます。この段にはもっとも正月らしい料理が詰められており、子孫繁栄を願った「数の子」、いわしを肥料にしていたことから豊作を願った「田作り」、まめに働き、体の丈夫さを願った「黒豆の煮物」、ごぼうのように根を深く張る、家系が代々続いて行くことを願った「たたき牛蒡」、めでたさ、紅の魔除け、白の清浄を表す「紅白かまぼこ」、巻物から知識、文化の発展を連想させる「伊達巻」、よろこぶにかけた「昆布巻」、黄金色であるため縁起が良い、蓄財を象徴するとされる「栗きんとん」などがこの段に入れられます。
上から二段目は弐の重と呼ばれ、縁起が良いとされる海の幸の焼き物が中心となります。この中で「ブリ」は成長によって名前が変わる出世魚として知られるもので、立身出世を願った料理。そしてめでたいにかけた「鯛」、腰が曲がるまで元気に過ごせることを願った「海老」がこの段に入れられます。
上から三段目の参の重には山の幸の煮物である「煮しめ」が入れられます。「煮しめ」の具である「れんこん」は穴が空いていることから、未来の見通しがきくことを願ったものです。この他にも小芋が沢山つくことから子孫繁栄を願った「里芋」、頭角をあらわすことを願った「八角」、大きな目が出るため、めでたさ、子孫繁栄を願った「くわい」、根が張ることで子孫繁栄を願う「ごぼう」などが、家族が仲良くあるように、一緒に煮しめられるわけです。
4段目は死を連想させる四の段とは呼ばずに与の重と書きますが、この段には日持ちがする酢の物が入ります。代表的なのは紅白で縁起が良い「紅白なまず」です。また、邪気を払うことで仏壇などにも備えられる菊を模った「菊花かぶ」、出世魚であるコハダ、くちなしで黄色く染めた粟を使用し五穀豊穣を願った「小肌粟漬け」などがあります。
基本的にはおせちは4重であることがほとんどですが、控えの重とも言われる五の重は、神様から授かる福をいれておくために空にしておくか、家族の好物の料理、1段目から4段目の料理の予備をここにいれておきます。
まとめ:日本の文化をより深く理解しておもてなしに活かそう
よく海外に出ると日本の歴史や文化を深く聞かれて、改めて日本の歴史や文化を見つめ直すきっかけになったという話を聞きますが、日本は中国や欧米諸国などから様々な文化を輸入しているとは言え、料理を含めてお正月やお盆といった文化が長く続いている国です。
今回取り上げた「おせち料理」にしても、江戸時代頃から基本的にはそのフォーマットが変わっていない料理であり、外国人からすると非常に珍しく、ご説明したような料理ごとのいわれ、込められた願いなどを説明すると大変喜ばれます。日本人にとっては当たり前、習慣的にやっていることが訪日外国人にとっては非常に興味深いものになりうるという典型的な例であるとも言えます。今年のお正月に訪日外国人をおもてなしする場合、こうした「おせちの料理」のウンチクを語って、おもてなしに活かしてみてはいかがでしょうか。
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