観光庁では2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を踏まえ、広域観光周遊ルートを作成するなどして、増え続ける訪日外国人を東京、大阪、京都などのゴールデンルート以外にも呼び込むことが必要と考えています。しかしこの実現を図るには、実際の訪日外国人の行動履歴、ルートなどを詳しく把握する 必要があります。今まではこうした情報を得ることは難しかったものの、近年、情報通信技術(ICT)を観光に活用し、収集されたビッグデータを読み解くことで、観光振興に利用出来るようになってきています。
これについて、観光庁が平成27年度に行った「ICTを活用した訪日外国人観光動態調査 事業実施報告書」から、基地局情報を活用した観光動態分析についてみていきましょう。
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基地局情報(ローミングデータ)を活用した観光動態分析から何がわかるのか
この 基地局情報(ローミングデータ) というのは「なんとなく聞いたことがあるが意味は知らない」という方も多いと思いますが、これは、訪日外国人が日本の通信サービスを利用し、自国から持ってきた携帯電話を使用すると蓄積されていく基地局情報の事 を言います。集まった基地局情報を統計処理することで、日本時間において 1時間ごとの人口分布を把握 することが可能です。また、一定期間内の延べ滞在人数 などを把握することも可能で、マクロな動きを把握する際に有効だと言えるでしょう。また、出国から入国までデータを終えること、訪日外国人が少ない地方部においてもデータが取得出来る 可能性があります。
訪日外国人の大都市中心の観光スタイルを裏付ける結果に
日本人観光客と訪日外国人の観光時間帯(10時〜17時)における訪問先都道府県を見ていくと、外国人は日本人よりも圧倒的に都市部に集中する 傾向があり、特に 東京都、大阪府 にその観光先が集中しています。訪日外国人のほうが圧倒的に多い都道府県としては スキー、雪景色などが外国人に有名な北海道、また海、ビーチの美しさなどが魅力の沖縄 が目立ちます。
北海道のインバウンド需要
北海道は数値も全体的に高く日本でも有数の高いインバウンド需要を誇るエリアです。北海道は様々なサイトにてニセコなどのスキー場の雪質についての口コミがあり、欧米圏の人たちにとって日本でも有数の観光名所となっています。
沖縄県のインバウンド需要
沖縄県は、その面積の小ささに対して、訪問率、訪問者数、宿泊人泊数共に高い数値を誇っています。1人あたり消費金額も全国第4位の47,163円となっています。
また、午後4時台の宿泊時間帯にどのような場所に日本人と訪日外国人がいたのかを表すデータを比較してみると、日本人の場合は東京、大阪、愛知県、長野、九州、沖縄、北海道と幅広い分散が見られるのに対して、訪日外国人の場合は、東京と大阪という2大都市への宿泊が圧倒的に多く、地方では九州、沖縄、北海道に集中している ことが伺えます。
国や出身地ごとに、どの都道府県を訪れていた人が多いのかを見ると違いが明確
まず、台湾 に関しては全体傾向と比較して大阪を訪れていた人が多く、さらに沖縄を訪れている人が多いようです。対して 中国 はほぼ全体傾向と同じ形をしており、韓国 は東京も多いながらも、大阪府への訪問が全国平均よりも高く、九州によく訪れているということがわかります。香港 に関しては地理的にも近い沖縄をより好む傾向にあり、アメリカ の場合は東京を訪れる人の割合が多いことが顕著です。
都道府県別に訪日外国人が訪れる季節には差が存在する
季節ごとに都道府県にどの程度訪日外国人がやってきたのかという内容を見ていくと、東京都 は 夏 に訪れている人が多いこと、大阪府 は 秋 に訪れていた人が多いこと、北海道と長野県 は圧倒的に 冬 、沖縄県 は意外にも 秋 に最も多くの訪日外国人が訪れていたことがわかります。また、京都府 は 冬 の人気が高く、神奈川県 は 春と夏 、福岡県 は 春と秋 、千葉県 は 年間を通じてほぼ同数 の訪日外国人が訪れていることがわかります。
まとめ
基地局情報を活用した観光動態分析からは、今まで何度も言われたいた訪日外国人の都心部、ゴールデンルート中心の観光の実態が改めて明らかになりました。それぞれ訪日外国人の国や地域ごとに訪れる都道府県に特色があり、また季節ごとにこうした動きも変化することが明らかになりました。地方においては季節ごとにどのような魅力があるのか?どのような国籍の訪日外国人に魅力をアピール出来るのか?などを考える良いデータとなるでしょう。
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<参照>
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