【現地レポート】和歌山大学から発信!訪日客を地方に呼び込む最新のDMO実務事例とは?:観光教育研究セミナー in 東京 2017 Vol.2「これからの観光とDMO」より

12月2日に、和歌山大学国際観光学研究センターと和歌山大学観光学部主催にて、観光教育研究セミナー in 東京 2017 Vol.2「これからの観光とDMO」が開催されました。今回は、そのレポートをお届けします。

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DMOとは? これからの訪日外国人を呼び込むためのキーワード

テーマに含まれている「DMO」ということばは、Destination Marketing and/or Management Organization の略です。その場所にある観光資源を利用し、地域と協同して観光地域づくりをする法人のことのことをいいます。なお、日本版DMOについては、観光庁が以下のように定義づけています。

「地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人」

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観光庁からの提言:リピーターを呼び込み、地域で稼げる力を。

観光庁からは、観光地域振興部長の米村氏が「地域づくりにおける観光の役割 ―DMOを中心に― 」というテーマで、詳細なデータまたグラフを使いながら、お話くださいました。

これから人口が減るなかで、観光は重要な産業です。また、観光は経済のためだけではありませんが、訪日外国人に、日本国内で消費してもらうのは、輸出と同じ経済効果があります。それには、観光資源の魅力を極め地方創生の礎にする 必要があります。また、観光産業を革新し、国際競争力を高めて日本の基幹産業にします。それには、すべての旅行者がストレスなく快適に観光を満喫できる環境 にしなくてはいけません。

DMOということばが国内で使われはじめて、まだ数年ということもあり、地域住民、関連事業者の関係者の巻き込みが、今の段階ではまだ不十分です。リピーターを呼び込み、稼げる観光地をつくるためには、多様な関係者との連携が不可欠です。

熊野古道に訪日外国人を!現場からの提言とは

行政や学術的見地からだけではなく、現場からの現状報告をかねた提言もありました。「熊野古道に訪日外国人を呼び込む着地型観光」とのテーマで、一般社団法人田辺市熊野ツーリズムビューローの多田会長が、熊野古道が世界に開かれた上質な観光地になるために日夜奮闘なさっている様子を、実感を込めてお話くださいました。

熊野ツーリズムビューローには、外国人目線で作り上げたウェブサイトやパンフレットがあります。日本人からみたらありきたりなものが、訪日外国人には新鮮に感じられるのですが、地元にいるとそのよさがわかりません。そこで、カナダ人スタッフ に入ってもらい、訪日外国人向けのプロモーションをしています。

また、外国との観光協力協定を結んでいることも特色のひとつです。熊野古道はスペインのサンティアゴ巡礼の道との共同プロモーションとして、共同の巡礼手帳(クレディンシャル)を発行し、双方の観光客を増やす取り組みをしています。

▲一般社団法人田辺市熊野ツーリズムビューローの多田会長の講演

▲一般社団法人田辺市熊野ツーリズムビューローの多田会長の講演

地域コミュニティをむすび、問題解決を。

また、多田会長は、まだ克服しなくてはならない問題についてもお話くださいました。まずは、決済(支払い)の問題、ことばの問題 です。決済に関しては、ウェブ上で予約と決済ができるシステム をつくりました。ことばの問題については、地域を巻き込み、教育の一環として小・中学生が訪日外国人に英語で観光案内をするという 語り部ジュニア が登場しました(※)。さらには、地元の消防は5か国語で24時間対応可能です。

景観を守るための努力も必要です。耕作放棄されている棚田でコメ作りをし、景観を守ろうと立ち上がった移住者がいます。農村の風景の保全にとって、日本全国で耕作放棄が大きな問題になる可能性が高いです。

(※)また、地元高校生が観光センターで訪日外国人に英語で対応するボランティアも行われています。

最新の研究報告:観光学の見地から見たDMOとは?

和歌山大学は、国立大学としては唯一、観光学の高度化を目指して、先進的な共同研究活動を進める本格的な国際的研究機関である、国際観光学研究センター、そして学部から大学院(博士前期・後期課程)へと至る一貫した観光学の教育課程を有する観光学部を備えています。その和歌山大学観光学部の永井講師と和歌山大学国際観光学研究センターのアダム・ドーリング准教授より「DMOの歴史と役割 ―ニュージーランドの事例―」とのテーマでお話がありました。

DMO は、欧米の観光学を学ぶ学生にはおなじみのことばです。最近は、日本でもよく聞くようになりました。DMOは国レベル、州・県レベル、市町村レベルとあり、ブランディングと競争力の維持が基本的な活動 です。

古くはスイスのサン・モリッツが1864年にDMOを行っています。当時は、夏場にしか観光客が来なかったものの、英国にプロモーションをかけてスキーリゾートとして成功しました。国レベルでは、ニュージーランドが1901年に行ったものが成功例として知られています。

ニュージーランドのダニーデンの事例について

DMOが成功したニュージーランド国内では競争が激しくなります。ダニーデンでもこの競争のために問題が持ち上がります。現地では30ものRTO(Regional Tourism Organization)がありましたが、30のうちの18は観光に特化しないようになり、町をどう売っていくか考えるようになりました。そこで、ダニーデンという町のブランド化を進め、イベント、投資を呼び込み、またスキルを持った移住者を募るなど、地域住民の意見を聞きながら、今まさに変わりつつあるところです。

▲パネルディスカッションの様子。左が米村氏。右が多田会長。

▲パネルディスカッションの様子。左が米村氏。右が多田会長。

まとめ

講演のあと、登壇者全員が参加し、和歌山大学観光学部の竹林教授をモデレーターとして「これからの観光とDMO」と題してパネルディスカッションが行われました。そこでは、聴講者からの質問を受ける形で行われ、熊野ツーリズムビューローに宿泊予約サイトとの競争についての質問などが飛び出しました。多田氏の答えは、旅行会社としては厳しいものの、それだけ熊野に集客力があるということであり、地域のためになっているというものでした。DMOとは、地域のためになること。この答えに集約されていると感じました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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