近年世界中で利用者数が増加していうシェアリング型エコノミーサービス。旅行者に空き部屋を貸し出す民泊サービスや、アプリを通じて個人タクシードラーバーを手配することができる配車サービスなどが有名です。前者の代表例としてはAirbnb、後者の代表例としてはUberやGrabなどが挙げられるでしょう。日本人旅行者の間ではこうしたサービスの利用率は未だに高いものではありませんが、外国人観光客の間ではごく一般的に利用されており、観光庁の「民泊利用の訪日外国人」の動向調査によると訪日外国人観光客のうち 12.4%が民泊サービスを使って宿泊場所を確保 しているといったデータまで存在しています。日本のインバウンド市場においてメインターゲットとなっているアジア・オセアニアの旅行客の間ではシェアリングエコノミー型サービスの利用動向はどうなっているのでしょうか。Amadeusの資料をもとに解説していきます。
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アジア・オセアニアの海外旅行客のシェアリングエコノミー型サービスの利用動向はどうなっているのだろうか
スペイン・マドリードに本社を置くIT企業Amadeusでは「Amadeus Journey of Me Insights」を作成しています。これは、Amadeus社がイギリス・ロンドンのリサーチ会社YouGovと共同で 2017年5月に実施 した調査をもとに作成された アジア太平洋地域の海外旅行者に関する調査レポート です。アジア・オセアニア14か国(オーストラリア・中国・香港・インド・インドネシア・日本・韓国・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・台湾・タイ・ベトナム)出身かつ過去1年間に飛行機で旅行した人6,870人が調査対象となりました。本資料を基にアジア・オセアニア出身の海外旅行客の間でのシェアリングエコノミー型サービスの利用動向をご紹介していきます。
[①利用率]極めて高い利用率 全体の70%以上が利用経験ありと回答
アジア・オセアニア出身の海外旅行客はシェアリングエコノミー型サービスの利用率が高い傾向にあります。Uber、Grab、Lyft、Ola、Didなどの移動型アプリに関しては、海外旅行中に利用したことがないと回答した人は全体の 25% にとどまります。一方、Airbnb, Couchsurfingなどの滞在型アプリに関しては利用したことがないと回答した人は 32% でした。
程度の差はあれど 約70%のアジア・オセアニア出身の海外旅行客はシェアリングエコノミー型サービスを利用 していることが把握できます。全体でみてみると、滞在型アプリよりも移動型アプリの方が利用率が高い ことも併せて把握できます。
[②属性別の利用率]利用率が高いのは「旅行を頻繁にする人」「ミレニアル世代」「ビジネス目的で旅行する人」の3つ
アジア・オセアニアの海外旅行客の間でシェアリングエコノミー型サービスの利用率が特に高かったのは 「旅行を頻繁にする人」「ミレニアル世代」「ビジネス目的で旅行する人」 でした。
「旅行頻度ごとの利用率」に目を移すと旅行を頻繁にする人ほどシェアリングエコノミー型サービスを頻繁に利用していることがわかります。特にUberなどの移動型アプリに関しては 年に3回以上旅行する人のうち60%以上が利用 している結果になりました。「年齢ごとの利用率」に着目すると ミレニアル世代の利用が多い ことが把握できます。1980年初めから2000年ごろに生まれた世代を指します。ミレニアル世代は別名デジタルネイティブ世代とも呼ばれており、SNSやスマートフォンの利用率が高い ことで知ら得ています。こうした傾向がこの数値にも反映されているといえるでしょう。
また、意外にも ビジネス目的で海外旅行をする人の方がシェアリングエコノミー型サービスの利用率が高い 結果になりました。以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように、米Airbnbは、2017年4月28日より既存の民泊物件の検索フィルターに、新たな物件ジャンルとして 「Business Travel Ready(出張対応機能)」を追加 しています。これはビジネス目的の旅行者の利用者拡大を目的にしているもので、世界最大の民泊プラットフォームであるAirbnbでもビジネス目的の海外旅行者の利用率の高さに目をつけ、新たな取り組みを始めています。
[③利用する理由]「使いやすいさ」「安さ」がキーポイントに
アジア・オセアニア出身の海外旅行者がシェアリングエコノミー型サービスを利用する理由は 「使いやすいから」「安いから」の2つ に集約されそうです。Uberなどの配車アプリはアプリ上で現在地と目的地を入力するのみでドライバーが迎えにきてくれオンライン決済も可能なので、海外旅行時に不慣れな土地でドライバーを探すよりも手っ取り早いという利点が挙げられます。また、乗客がドライバーを評価するシステムになっており、ぼったくり等の被害も少なくなっていることも利用率の高さに貢献しているでしょう。
Airbnbなど民泊アプリに関しては、46%が「安いから」 と回答しており、一般的なホテルを予約するよりも安価で宿泊場所を確保できることが利用する理由になっているようです。また、移動型アプリと比較して「ローカルな体験を味わうため」との回答率が高くなっており、 ホストとのふれあいやその土地独自の住環境を求めて民泊型サービスを利用する海外旅行者が多いことも把握できるでしょう。
まとめ:話題のシェアリングエコノミー型サービスの利用動向 インバウンド担当者なら把握しておくべき
Amadeusの資料を基にアジア・オセアニア出身の海外旅行者のシェアリングエコノミー型サービスの利用動向に関して解説してきました。アジア・オセアニア出身の海外旅行者のうち 70%がAirbnbやUberなどのシェアリングエコノミー型サービスを利用 しており、中でも 「年に3回以上旅行する人」「ミレニアル世代」「ビジネス目的の海外旅行者」 の間で利用率が高い傾向にあります。「使いやすさ」「安さ」 といった点がアジア・オセアニア出身の海外旅行者に高評価のようです。
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