「ロボットレストラン」…インバウンド業界に身を置く方なら、この名前を聞いたことない方はいないのではないでしょうか?総工費100億円をかけ建設され、新宿歌舞伎町にある、夜な夜な外国人観光客が非日常を体験するために集う場所として、ロボットレストランは数年前から知名度を上げています。
そのド派手な内装や外装から話題にされやすく、日本や世界各国から取材が数多く、ロボットレストランには来ています。しかしながら今までの取材では、ロボットレストラン内情についてなどをお伺いしているものは多くはありません。
そこで今回は、今まで秘密のベール包まれていた、ロボットレストランの内情を探るべく、訪日ラボがロボットレストランのインバウンド営業部部長 田中寛典氏に独占インタビュー。ロボットレストランの当初から今までの歴史を根掘り葉掘りお伺いしてきました。
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「色物ショー扱いされていた」最初は嫌われ者だったロボットレストラン
-歌舞伎町の外国人観光客向けスポットと言えば、ロボットレストランとなっているようですが、始めた当初はいかがでしたか?
ロボットレストラン インバウンド営業部部長 田中寛典氏(以下、田中氏): 今ではやっと、知名度も上がり、ロボットレストランが外国人の方や日本人の方にも認知されてきました。しかしながら、ロボットレストランを始めた2012年当初は、とても大変でした。
-具体的にはどのように大変だったのでしょうか?
田中氏: 「色物ショー扱い」されていましたね。旅行代理店やホテルなどにご紹介に行くと「歌舞伎町で行っている変なショーでしょ?」ということはよく言われました笑。新宿歌舞伎町という場所柄仕方がないと思います。また、トラックや歌舞伎町で看板を出していてよく見かけるが、実態はよくわからないし、ロボットレストランのSNSやWEBサイト見てみると、中の内装はすごいことになっている。
ロボットレストランの内装や外装は非常に目立つので、近くの歌舞伎町の方々からも少し煙たがれていたかもしれません。さらに、SNSなどで見てみるとレストランと書いてあるけど「料理はまずい」と書かれていることもありました。
当初は席数も40席しか無く、歌舞伎町で遊ぶサラリーマンをターゲットにしていました。いわゆる「オジサン」達を狙っており、フランスのキャバレーショーにオジサン世代が好きそうな「ロボット」や「アニメ」「バトル」をごちゃ混ぜにしたショーを日本で初めて行っていました。
新しいコンセプトで行っていたものの、認知度は少なかったです。現在であれば、世界的に認知され、全世界に向けて日本が誇るエンターテイメントショーという誇りを持ちながら、演者やアルバイト、社員のみなさんは働いていますが、当時はそのようなモチベーションでは働けていなかったです。
演者の皆さんは当時からレベルは高かったものの、新しい取り組みでもあり、戸惑いながら日々のショーに取り組んでいたようです。これらがロボットレストランの当初の実情でしたね。
改めて振り返ってみると、当初はとても苦労しましたね。そんな中でも私達は諦めず、ロボットレストランを広めるために、旅行代理店やホテル各種OTAにアプローチをしていましたし、演者やアルバイトの方たちは「どうしたら来てくれた方が満足してくれるか?」を追求して、日々仕事に取り組んでいました。
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今では外国人観光客といったら、ロボットレストランというイメージはありましたが、当初から狙っていのたでしょうか?
田中氏: 全く狙っていませんでした。当初は「歌舞伎町にいるサラリーマンを元気づける」というコンセプトで行っていました。ある時、一つのきっかけから外国人向けにターゲットを絞ることになったのです。
-そのきっかけとは?
田中氏: アンソニー・ボーディン氏が訪れたのが最大のきっかけですね。アンソニー・ボーディン氏という世界的にも有名な辛口のコメンテーターがいます。日本で言う所のマツコ・デラックスさんみたいな方ですね。その方が「ジャニス・ジョプリンを見た時以来の衝撃だ!」「今までの人生で見た中で、一番のショーだ!」と大絶賛していただけました。
それをきっかけにハリウッド映画監督のティムバートン氏やJ・J・エイブラムス氏が訪れてくださいました。ちなみにこの二人は、偶然ロボットレストランで鉢合わせをしたみたいです。
ハリウッド映画監督の方がさらに、評価をしてくださり、そうするとロボットレストランの噂が、監督たちの映画に出ていた俳優の方々にも伝わり、世界的にも有名な方々が続々と来店するようになりました。
来店された方々は、毎回自分達のInstagramやTwitterにあげてくださり、口コミが広がり、外国人観光客がどんどん増えてきました。そこから私達も完全にターゲットを日本人から外国人観光客にシフトしました。
年間来場者が20万人をこえる超人気スポットに
-そのようなきっかけがあったのですね。今では年間でどのくらいの方が訪れるのですか?
田中氏: 現在ではほとんどが外国人観光客がお客様です。年間で約20万人の方が来店頂くようになりました。ロボットレストランを始めた当初から考えると信じられないくらいに、訪れていただく方が増えました。
スペインのちいさな島からダンサーへファンレターが届いた
-年間20万人も訪れるのですね。外国人観光客から絶大な人気を得ていますね
田中氏: 嬉しいことに外国人観光客の方々からとてもご好意にしていただいています。最近だと、スペインの方にある小さな島の女の子から、ダンサーの方へ「ロボットレストランであなたのダンスを見てとても元気をもらいました!ありがとう!」というメッセージの入った手紙を頂いたりもしました。当初は本当に苦労をしていたので、ダンサーの方々はメッセージをもらってとても喜んでいましたね。
「新卒で働きたい!」応募も多数:従業員のモチベーションが変わった
これもまた、嬉しいことだったのですが「ダンサーとして新卒で働かせてくれないか?」「外国人の方たちとコミュニケーションを取りたいのでロボットレストランで働きたい」という声も沢山いただくようになりました。
また、ロボットレストランはとても目立つので、テレビや雑誌などに取り上げられることも多々、あります。外国人から評価されているということが、日本人の方々にも伝わり、ロボットレストランが認められるようなってきたのかなとも思います。
そうすることにより演者や従業員やアルバイトの人たちが、自分たちの仕事に誇りを持って一生懸命働いてくれていることが、私自身、とても嬉しいです。今、働いているメンバーは非常に志が高く、頼りになるメンバーばかりです。
ロボットレストランがうまく行ったことを共有していきたい
-今後はどの様な展望をお考えですか?
田中氏: まだまだ道半ばですが、ロボットレストランが行ってうまく行ったインバウンド対策を他の方にも伝えていきたいと考えています。というのも、インバウンド対策と言っても1社だけでは完結することはできず、様々なプレイヤーと共存していく必要があると考えています。
私達であれば、旅行代理店やホテルやOTA、JNTOなどの各行政機関の様々な方たちにも助けられて、ここまで外国人観光客が集まっていただけるようになりました。さらに、日本はナイトタイムエコノミーが少ないと言われています。ロボットレストランもナイトタイムエコノミーの部類に入るので、私達がうまく行った手法を共有して、もっと外国人観光客が楽しめるような日本づくりに貢献できればと考えています。
次回は「なぜ、ロボットレストランは年間20万人の外国人観光客を集めることができるのか?数字データから紐解く!【独占取材】」というテーマでロボットレストランを数字データという観点から分析をお届けいたします。乞うご期待ください。
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