2018年9月6日未明に起こった北海道胆振東部地震は、北海道全域で停電となる史上初の「ブラックアウト」をもたらすなどの被害がありました。北海道電力の尽力もあり、電気も問題なく使えるようになり、すでに観光客を受け入れられる体制に戻っています。
ところが、北海道旅行のキャンセルが続き、現地からは悲鳴が聞こえてきます。京王プラザホテル札幌、宴会料飲部宴会予約支配人の宮谷定義氏に地震当時の様子、現在の状況をお聞きしました。
【北海道地震】観光への影響は94万人キャンセル・292億円の損失のダメージ/「風評被害」が秋の観光シーズンを直撃の北海道 今後どうすべき?
今月9月6日の明け方、北海道で震度7を観測する地震がありました。およそ10日を経て、現地の北海道ではさまざまな場面で日常に戻りつつありますが、秋の観光シーズンを直撃したのが94万人以上と言われる宿泊キャンセルです。その影響は全体で292億円と推定されています。(北海道庁調査より)北海道ではさらなる風評被害拡大を心配する声があがっています。「北海道はもう元気だよ、と伝えてほしい」との現地からの発信が始まりつつありますが、現状の復興の様子と、SNSで外国人がこの地震にどれぐらい影響を受けている...
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北海道は広い。震源地から離れた地域では観光可能。
北海道ということで、大きな地震があったところということでひとくくりにされてしまいがちですが、北海道はとても広いのです。北海道の面積は83,450 km²あります。
対して、関東の一都六県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・栃木県・茨城県・群馬県)の合計は32,430 km²で、北海道の面積のわずか39%ほどにすぎません。最大震度7を観測した厚真町は、札幌市から約80km離れています。残念ながら、北海道全域で電気が使えない事態はありましたが、今は復旧していて観光は可能です。
電気がつかない!非常事態でもベストな対応を
2018年9月6日早朝は大変でした。地震の後、朝、自家用車で職場であるホテルに向かいましたが、信号機もついていないという状況でした。
ホテル内では、エレベーターも動いておらず、ロビーで過ごされているお客様が目につきました。朝食を用意するにも、ガスも使えませんでしたから、温かいものが用意できず、ハムなどの冷製のものをお出ししました。自家発電で夕刻には電気が復旧しました。
ホテルに備蓄されていた食材を使って無料で炊き出し
当時、札幌市内のコンビニも閉まっていて、食べ物や飲み物を買うことすら、ままならない状況でした。ホテルには、冷凍のパンが備蓄されていますので、お客様にそれを解凍し飲料水と一緒に提供することができました。
ガスが使えるようになってからは、ホテルの食糧庫にあった食材を使って温かい豚汁もお出しできました。これは炊き出しで、もちろん一銭もお金は受け取っていません。
京王プラザホテル札幌以外にも、無料で炊き出しをした施設もあり
京王プラザホテル札幌には、幸いにも自家発電の設備がありましたから、お客様の対応ができました。ところが、自家発電が無く、ロビーも手狭な宿泊施設はお客様をお断りせざるを得ない状況でした。
ですので、どの施設がよいとか悪いなどということはありません。当ホテル以外にも、無料で、休憩場所・電源・炊き出しの提供をした施設は多数あります。なお、9月10日からは、滞っていた流通も次第に元通りになりました。
訪日外国人は、落ち着いて情報収集
当日は約700名のお客様がおられ、その半数が訪日外国人でした。台湾、香港、韓国、中国などのアジア圏のお客様がそのうちの8割を占めていました。
皆さま、落ち着いてスマートフォンを使って情報収集をしておられました。ホテルのロビーには、ふだん案内版として使っているモニターがあり、それをテレビにつないで常時ニュースを流してホテル側でも情報提供をいたしました。
観光シーズンを迎えても、稼働率は半分
地震後、キャンセルが大量に入りました。例年、この時期は満室続きなのですが、今の稼働率は50%前後です。日本人からも訪日外国人からも、同程度の割合でキャンセルの連絡が入りました。
また、秋は学会(MICE)のシーズンなのですが、学会自体が中止になったり、規模を縮小して開催するようになったのも痛いです。確かに、地震直後は大人数のパーティ料理はお出しできる状況ではありませんでしたが、今は問題ありません。札幌市内の観光地も開いていますし、問題なく観光ができます。
まとめ
インタビューは電話で行いました。大きな地震でしたので、現地の状況をたいへん心配していたのですが、まったく問題ないと現地の方が太鼓判を押してくださり安心しました。
日本人ですら、北海道がどれだけ大きいか知らなかったりしますが、震源地から離れた地域では問題なく観光ができます。北海道は、広大な景色、美味しい食べ物を楽しめ、観光客に人気です。一刻も早く、いつもの北海道に戻ることを願ってやみません。
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<参考>
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